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「八ヶ岳キレットから横岳縦走」(2015/6/14〜15)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-661748.html
八ヶ岳の中で権現岳と赤岳の間にあるピーク、「ツルネ」というのも確かに謎な名前だ。
その名前については以前ちょっと調べかけていたのだが、決定的なことが分からずその後放っていたのを思い出した。
で、少々中途半端な考察だけど、この際ちょっと書いてみようと思う。
図書館から借りた「日本山岳案内 八ヶ岳火山群」(昭和18年=1943年)の中の地図をスキャンしておいたのだけど、それを見直していたら新しい発見があった。その地図には「蔓根岳」とあるのだ。
現在のツルネ山頂にある標識には「ツルネ」とカタカナ書きされているし、一般にもツルネと呼ばれているのだが、そうか戦争前は「蔓根」と書いていたのか。
で「蔓根」を調べて見たのだが、この単語に関する情報はほとんど見当たらなかった。あのピークが「蔓根岳」と呼ばれていたという話は見当たらない。
その代わり、日本中のあちらこちらに「ツルネ」という地名があることを発見した。八ヶ岳に関係しそうな茅野市豊平塩之目というところには「中ツルネ遺跡」という縄文遺跡があるらしい。地図で見ると昔の「豊平村」はずいぶん広かったようで、八ツの稜線、横岳から硫黄岳、天狗岳、中山まで全部豊平村だったらしい。ただしツルネがあるのは現在の富士見町であって茅野市ではないが。
「ツルネ」とは何か?
どうも、それは「蔓の根」ではないらしい。日本の地名の場合「音(おと)」があって、漢字は後付けで与えられることも多いから漢字から意味を探すのは間違っていることも多い。たとえば白根(しらね)山という山があるけど、あれは「白い峰(嶺)」のことであって「根」とは何の関係もない。
ツルネは権現岳・赤岳の間のキレットにあって、標高2550m。両側の威風堂々な山に比べると、山というよりも尾根の一部をちょっと釣り上げただけのところ、という感じだ。また権現と赤岳を結ぶ(連ねる)嶺とも言える。
こう考えると「ツルネ」は「吊る嶺」「釣る嶺」「連る嶺」などという嶺の形を表しているんじゃないだろうか。
全国の他の「ツルネ」という地点からどのような山が見えるのだろうか。
ツルネ山頂周辺は、夏にはコマクサが咲く砂礫帯になっている。今度の夏には久しぶりに訪れてみたいものだ
上図左)「日本山岳案内」の中の「蔓根岳」
上図右)コマクサの咲くツルネ付近
こんにちはpasocomさん。
豊平塩之目の住人です(笑
考察興味深く拝見させていただきました。
ツルネってたしかに何だろう…?とはおもっていましたが蔓根岳だったとは…「吊り」が一番しっくりくるように感じますが、古の人はどのような意味で名づけたのでしょうね?
しかし面白い地図持っていますね。
左上の青薙小屋も気になります。昔の人は立場川を遡行していったのですね。
「豊平塩之目の住人」! それは奇遇でした。(^^)
私も「吊り嶺」が一番しっくりすると思います。キレットの中でいかにもちょいとつまみ上げた、という感じをしていますよね。
北アには「吊り尾根」というのもある。これと同じかもしれません。
「日本山岳案内」を手にした経緯は私の過去の日記に書いてありますが、昭和18年発行という珍しい本です。
http://www.yamareco.com/modules/diary/21844-detail-88632
付いていた地図やこれはという文章はスキャンしたり書き留めていたのですが、本当は実物が欲しいです。
いまの「旭岳」が「東朝日岳」なのも興味深いですね。
立場川というと私は行ったことがないのですが、「旭小屋」という廃屋もあるようですね。「青薙小屋」は地図の位置からしても青ナギの真下あたりにありそうですね。立場岳の南面に古道があるのでしょうか?興味尽きません。
この頃の地図で不思議なのは権現も西岳もいまとかなり標高が違う。これが謎です。
こんにちは。
私のもっている古い「世界山岳百科事典」だと、
「ツルネ(地名) 長野県、八ヶ岳連峰の権現岳とキレットの間にあるピーク。中略。名の由来は蔓根でツルのように長く伸びる峰の意だが、実際には丸い小峰。後略。」(神崎裕治)
と出ていました。
続けて、
「つるね(古語) 連嶺、つらなった根の意。山の稜線が著しい高低もなく続いている形。ツルは尾蔓のツル、ネは尾根のネ。大菩薩の鶴寝山や鶴峠のツルはこれである。長野伊那でオオツルネは主稜をいう。」(岩科小一郎)
と出ていました。
冬山以外の季節は数回程度しか登ったことのない八ですが、コマクサも咲いているんですね。
詳しい情報ありがとうございました。
「世界山岳百科事典」とはすごい名前の本ですね。
「ツルネ=連嶺、つらなった根(嶺?)の意。」なら私が書いた「連る嶺」に該当しますね。
「山の稜線が著しい高低もなく続いている形。」はまさにツルネの山容に合致します。
私はキレットを通して歩いたことは少なく、赤岳からツルネまで歩いて東稜を下るのが定番的なルート。これはこれで結構楽しいバリ風ルートで私好みなのでした。
pasocomさん、ありがとうございます!!
まだ、八ヶ岳のコメレス書けなくてごめんなさい。
ツルネ!なるほどです。私も当然調べましたよ。でも、手掛かりが何も出てきませんでした。それで、Doctor八ヶ岳のpasocomさんに。
山の地名には語源が必ずやあるはずです。それが時を経ていくにつれ文字が変化し言葉が変化していく。これは日本の方言や民族学に似ています。
はまったら抜け出せなさそうです。
でも、本当におもしろいですね。
ありがとうございました!
また、聞きます!(笑)
お忙しい中でコメント入れて頂きありがとうございました。
本文に書いたように、makasioさんのレコ以前に少し調べてあったので、レコの後タイムリーな話題として書いてしまいました。
そのため多少中途半端ですが、全国に「ツルネ」という山や地名があることから、さほど珍しい山名ではなく何か全国共通な名前ルーツ(それが「つるね(古語)」ということかも)があるらしい感じがしますね。
またこういう話を公開するとm_asaiさんのコメントのように別の手がかりを与えて下さる人もいて、一人では調べきれないことが共同作業のようにはかどることも多いです。
まるで雪山の「交代ラッセル」みたいな気がしますよ。おもしろいです。
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