槍-穂縦走(槍ヶ岳--大喰岳--中岳--南岳--大キレット--北穂高岳--奥穂高岳--前穂高岳)
長野県
岐阜県
hnagashi
- GPS
- 59:00
- 距離
- 32.8km
- 登り
- 3,031m
- 下り
- 3,029m
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6:00 バスターミナル出発
6:51 明神館
7:40 徳澤キャンプ場
8:43 横尾山荘
9:36 一ノ俣
9:43 二ノ俣
10:09 槍沢ロッジ
10:40 槍沢ロッジ出発
11:10 ババ平
14:52 播隆窟
15:31 殺生ヒュッテ
【2日目】
5:12 殺生ヒュッテテン場出発
5:54 槍ヶ岳山荘
6:23 槍ヶ岳山頂
7:28 槍ヶ岳山荘出発
7:57 大喰岳
8:38 中岳
10:16 南岳
10:30 南岳山荘
10:40 大キレット出発
12:05 Hピーク
12:28 A沢のコル
14:11 北穂山荘到着
14:17 北穂高山頂
15:27 テントで休憩
【3日目】
6:21 北穂--奥穂分岐
7:20 最低コル
8:22 カラサワ岳
8:50 穂高山荘
9:17 穂高山荘出発
10:03 奥穂高山頂
10:16 南稜の頭
11:46 紀美子平
12:28 前穂高岳山頂
13:15 紀美子平出発
15:25 岳沢小屋
16:46 風穴
17:29 河童橋
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2011年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
バス タクシー 自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
今回追加した経路には雪渓は多くありましたが、軽アイゼンを付けるまでもなく行動できました。 登山ポストはバスターミナルにあります。 PM6:00にはバスターミナルの売店は閉じます。 沢渡駐車場地区にさわんど温泉「梓湖畔の湯」があります。JAF会員であれば500になります。 |
| 予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
拍手
釜トンネルの沢渡側にある二輪用押しボタン。土砂が左から流れてきて押されて斜めになっている?しかも根元は泥が渇いたごつごつ状態。
感想
昨年登った北穂高岳山頂から見た槍ヶ岳、そして槍に通じる登山道はとても美しかった。しかしその間には大キレットがある。ヤマレコを始め多くの記録では「大キレットは恐ろしい、怖い、上級者向き」と書かれている。昨年、北穂--奥穂を縦走した際に結構危険な縦走路と思った。この縦走路を「大キレットよりも怖いと感じた」と書いている人もいる。であれば行けるはずだと思い槍--穂縦走を計画した。
(テント荷で)
[1日目]
沢渡に車を止め、5人で相乗りし上高地で向かう。この時に御一緒させていただいたSさんにいろいろ助言をいただくことになる。
当初の計画ではババ平にテントを張り、2日目に槍の肩にテント泊、3日目に大キレットを通過しカラサワ経由で下山する予定だった。
Sさんの話では、ババ平は見晴らしが良くないので殺生でテント泊にする予定であるとのこと。連休前とはいえ、槍の肩のテント場は数も少なく、空いていても良い場所が無いかもしれないとの理由からであった。
槍沢ロッジの広場の樹の間から槍の穂先がみえる。望遠鏡も設置され、槍の穂がよーく見れる。頂上にいる人影まで見えた。同時に槍の穂先まで、標高差が1000m以上有る点を痛感した。
槍沢ロッジを越えババ平を見たが水は出ているものの見晴らしが良くない点と、ここで泊ると本日の時間が余りすぎるため、殺生ヒュッテを目的地とした。
ババ平を越え、なだらかな登りを暫く進むと雪渓が現れる。雪渓の上には大小多くの岩が転がっている。雪渓上の岩は音も無しに転がってくると来ているので上を見ながら進もうと思うものの、疲れて下ばかりみてしまう。
雪渓自体はキックステップで進めばアイゼンは必要ない程度。先行者に続き進んでいき、沢の岩場を登っていく。暫く進むと、Sさんが下から呼んでいる。「この沢は別の尾根に続くからおそらく間違っている」とのこと。私のところまで登ってきてくれた。涙が出る程申し訳ないと思うとともにありがたかった。
雪渓を登っていくと少しなだらかな場所に出る。グリーンバンドと呼ばれるところらしい。ここに入るとやっと槍の穂先が見えテンションが上がる。
殺生、大槍、肩の小屋が見え今日中に肩の小屋にテントが張れそうと思うが、体力的に殺生ヒュッテが限界だった。
到着するとともにカルピスウォーターを買って飲んだ。体の隅々まで浸み渡った。テント場(\500)。
テント場から見上げると、槍の稜線を大槍まで縦走している人がいる(表銀座のコース)。余りの天気の良さにテント内は暑くじっとしていられない。前室をタープ代りにもぐりこみ休憩し日が陰ってからテントに入り込んだ。
[2日目]
満月であるため夜中明るかった。4時前には槍ヶ岳山荘付近、表銀座にはヘッドライトが動き始めている。
朝日を浴びた橙色の穂先を眺めた後、テントをたたみ槍ヶ岳山荘へ向かう。結構な斜度があるように見えるが、綺麗にトラバースする道になっているため、楽に到着する。
山荘の目の前から穂先が生えている。早速登る。思ったとおりの怖さ。よく若い女性や老人が登れるなあと思いながら山頂へ。時間的に山頂には人が少ない時間であったようで、Sさんを始め3人程度しかいない。記念写真では槍のポーズして写真を取ってもらった。他人にも「槍のポーズ」を薦める。結構楽しい。
ここからが今日の悩みどころ。大キレット。とりあえず南岳(大キレット取り付き点)へ向かう。南岳はすごい。南岳自身は地味な山であるが、周りの超有名な山に囲まれ素晴らしい展望を見せている。本当に贅沢な山だと感じた。
南岳に付くと私を含め40歳台の方(前日に大槍に宿泊)が2名いた。これから大キレットに初めて挑むとのこと。
腹を決めて大キレットに望むことにした。南岳小屋の方に聞くと、2時くらいから雲が出て雷になることが多いとのことで、今からなら標準タイム(3時間)で通過すれば問題ないとのことであった。
大キレット入口そばの獅子鼻(大キレット展望台)からは、大キレット取り付きから一気に落ち込んでいる情景を見ることになる。心臓の悪い人は見ない方が良い。看板の注意書きを読み改めて気を引き締めて進む。
最初の下りは一気に降りるもののそれほど怖くない。順に進んでいけば下まで到着する。途中、大キレットを通過してきた方と数名会う。
切れ落ちている場所はあるが、下を凝視しなければそれほど怖くない。どんどん進んでいく。
その時岩が崩れる音がした。30分程度後に上空でバタバタ音がし出した。穂高小屋にいったんヘリが着陸し、その後岐阜県側に去ったと思ったら、すぐに戻ってきて岳沢を下から何かを探すようにゆっくりと上がっていく。ちょうど岩礁で何をやっているか見えない。その後岐阜県側に帰ったと思ったら戻ってきて再度同じ行動を行っていた。誰か落ちたのかもしれない。
あまりのヘリの騒音に注意力が散漫になっている自分を落ち着かせ進む。すると有名な「Hピーク」と書かれたペンキが現れた。長谷川ピークであったが、緊張の連続にテンションが上がりきっていたせいか、何の気もなしに過ぎてしまった。
部分的にエッジ部分はあるが、大抵の場所には2,30cm程度の道があるので何気なしに通れる。
飛騨泣きもそんなに危険を感じなかった。鎖が補助になるし、場所によっては岩にステップを付けてある。ただし、ステップに頼り過ぎると歩幅に関係でバランスを崩しやすいのでステップ重視よりも、指で岩をつかみ、足で岩の足場をメインにステップを部分的に利用する雰囲気。そうすると安全と思った。
後ろを見ると南岳でお会いした方が長谷川ピークを過ぎたところであったが、この風景にぞっとした。あんなに切り立ったピークにいたなんて・・・・。
「北穂まで200m」の看板が出たら後は直登有るのみ。テント荷の重さを感じながら慎重に腕、手、指を駆使して進んで行く。ほどなくして到着。最終的に南岳で会った私を含む3人が無事に到着でき、健闘をたたえ合う事ができた。
カラサワテント場は半分が雪で埋まっていた。相変わらずテントの数が多い。
2人は北穂高小屋で泊ることとのこと。うらやましい。私はテント受付(\500)を済ませテント場へ移動。
テント場は平らな場所は既に埋まっていて良い場所が無く、テント場の一番下の場所にテントを張ることにした。このテント場で隣のテントになったおじさんに3日目は良く会うことになった。
[3日目]
カラサワに降りても良かったが、ここまできたら是非 前穂にも登ってみたいと考えた。昨年と同様に稜線沿いに穂高小屋へ進むことにした。険しいとは云えど、一度通過した道は安心がある。とはいえ、今回はテント荷をかついでいるためゆっくり慎重に進む。昨年より精神的に楽だった。
穂高小屋とザイテングラードを結ぶ地点では雪渓に階段が作られており、アイゼンも不要であったようだ。多くの方で穂高小屋はにぎわっている。映画「岳」の影響もあるのかなあ?と感じた(いや、連休はいつもうこうなのか?)。
穂高小屋でカレー(\850)を食べ奥穂高登り口を見ると唖然とした。取り付きから大渋滞している。前穂高へ向かうにはここを越えなければならないので、渋滞に並んだが、穂高小屋から見える地点のみ渋滞であり、その他は渋滞していなかった。
奥穂高山頂は人だらけであったので、祠と案内坂の間を華麗にスルーし、吊尾根へ向かう。吊尾根は結構ハードな面もあったが、ヘロヘロになりながら紀美子平へ到着する。途中で追い抜いたおばちゃんに「1時半のバスに乗れるかなあ」と聞かれたがそんな時間にバスターミナルに着けるはずが無い。大丈夫か?と思いながら「難しいと思いますよ」と言い、進む。
紀美子平直前(200mくらい?)の場所では結構な岩の下りがあり注意。
早速、紀美子平から前穂山頂へ進むがこれが結構ハード。疲れていた体に追い打ちをかける。北穂テン場での隣同士だったおじさんにすごい勢いで追い抜かれた。山頂は結構広いが、岩だらけで土は全くなし。眺望は良く横尾山頂から槍など良く見える。
紀美子平から重太郎新道に入るが、最初から長い鎖場であった。手袋をするのを忘れていたためいきなりすりむいた。鎖場をおりてすぐに手袋を付ける。
下を見ると岳沢小屋が遥か下に見える。長い下りには梯子、鎖場がいくつも現れる。
やばい、水が無いと思い、節約しながら進む。
やがて樹林帯に入り川音が聞こえてくると道がなだらかになる。もう少しで岳沢ヒュッテと思うがなかなか到着しない。やがて万年雪のあるテン場に到着する。この度で知り合った方が既に到着しており、万年雪から雪解け水を集めていた。
とりあえず岳沢小屋につく。どうも脱水状態だったようでふわふわしていた。カメラのスイッチを入れようとしたのだが入れ方が最初解らなかった。危険。そのことに気が付いて気合を入れ直し、ジュースを買いに向かった。甘いジュースで行き交った気分。雪解け水をボトルに詰め一安心。
岳沢小屋は宿泊は満杯であったが、あぶれた方は小屋前にある常設テントに泊まれるとのことであった。
さて後はバスターミナルへ向かうだけ。しかし、コースタイムで2時間程度ある。足はキレットなどでの打ち身と靴づれ3か所、血豆1か所、胸筋の筋肉痛、下りでの太ももの筋肉疲労を散々であるが、なんとか行けそうと思いゆっくりと進む。どうも明日は雨が来る予感がしていたためである。
何人かに抜かされながらゆっくりと下る。長い。止まると太ももとふくらはぎの筋肉から発する熱気が臀部にまでモワッと上がってくる。ちょうど風穴に到着したので、10分ほど体を冷やしリフレッシュできた。風穴サイコー。
数十分進むとやっと河童橋へ到着できた。コーラを探すも売店にない。牛乳を買い売リ子さんに聞くと、「コーラーは自動販売機にならある」とのこと。早速購入し飲み生き返った。河童橋たもとから穂高方面を見ると暗雲が山頂を隠していた。
バスターミナルでバスに乗り込んだ。昨年は荷物をバスの荷台に入れたが、今回は手持ちで乗車せよとのこと。テント荷を持ったまま乗り込むのは大変だった。バスの出発時に北穂のテン場で隣で会ったおじさん(これから九州へ変える人)が歩いていて手を振ったら気付いてくれた。
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6月末の土砂崩れの影響は既にないようだ。一部で片側通行もあり土留め工事も行われていると事。
タクシー運ちゃんの話では釜トンネルの復旧した後、黒い車が通ると、巻き上げられた泥で白く汚れるらしく、黒いタクシーは通行したがらなかったらしい。
ともあれ早く復旧できて良かった。
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山用の手袋は高いので、ワークマンなどで売っている作業用の手袋を使っている(\100-\200)。掌側がゴムコーティングされていて、甲側は軍手の布だけになっている。今回はキレット時から着けていたが本当に役に立った。
上高地に着いた時にはゴムはぼろぼろ、右人差し指には穴まで空いてしまった。
私は手が大きいのでLLサイズでもピッチピチになるのだが、手と一体化してとても良い。推奨。
(他の方は素手の人もいたが私がやったら手が血だらけだろうなあ・・・)
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最終的な感想
・槍
一日で何処まで登れるかで後の日程が大きく変わる。できるだけがんばるべき
・大キレット
正直、縦走中は怖くない(下を凝視しない)。とにかく緊張感を持って対処すればOK
でも、あとで振り返ると道が恐ろしすぎる。
三点支持が重要。
・北--カラサワ岳
キレットと同じくらい怖い。
三点支持が重要。
・前--奥穂高-吊尾根
なめていると恐ろしい。長いし。
三点支持が重要。
・紀美子平--岳沢
なめてかかるとのっけからKOされる。上から岳沢小屋が見えているだけに長く感じる。
・岳沢--上高地
岳沢で体調を整えないと意識が飛びそう。暑い時期には注意。
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大キレットに挑戦したいと思っている為、
非常に参考になりました。
やはり早めの時間帯に慎重に通過するのがポイントのようですね。
脱水症状に苦労されたようですが、水分は、岳沢の雪どけ水以外は、
どうやって補給したのでしょうか？(特に二日目以降)
水も山行成功のポイントになると思いますのでよろしければ教えて下さい。
キレット是非頑張ってください。私もsatoru-ktさんと同様に3年目なのですが、なんとか行けました。ポイントは指先をどの岩にひっかけるかですね。
水ですが、
私の山行スタイルは大きな口をあけフーフー言いながら登るので余計に水分が飛んでいるのかもしれません。
今回の山行での水は記憶の限りこんな感じでした。
前穂までの吊尾根と、前穂の登りを甘く見過ぎていたのが敗因でした・・・・。
1日目
持参水２L（１Lずつ小分け、１Lはアクエリアスの粉末溶かし）
槍沢ロッジ（水１L補給：無料）
グリーンバンド手前の沢水場（全部水入れ替え2L無料)
殺生ヒュッテ（カルピスウウォーター500ml-\500,天水１L補給\200）
2日目
槍ヶ岳山荘（コーラ缶350ml-\300)
北穂高岳（天水1L\200,CCレモン350ml\300)
中岳の南岳側雪渓融け水場（全部水入れ替え2L無料)
3日目
北穂高岳（なっちゃん350ml[\300]x3 をボトルへ充満）
穂高山荘（CCレモン350ml \300,ミネラル水500mlx2)
岳沢小屋（CCレモン350ml \300,雪渓融け水（全部水入れ替え2L)
ハイドレにジュースを入れるとダメですね。あまりに美味しくてガンガン飲んでしまう。高山病予防にガンガン水分を取り込もうと考えて入れたのですが飲み過ぎもダメですね。
詳細教えていただきありがとうございます。
なるほど、中岳に水場があるのですね！雪との事なので
秋に行く場合は、気をつけねばなりませんね。
北穂高から岳沢まで、水場はやはりないですよねー。
高いですが、小屋で充分買っておかないと
危険ですねぇ。
私は上高地、岳沢経由で穂高山荘へ歩いた事があるのですが、
とにかく長いですね。あの時は九月末で、
かなり涼しかったので良かったですが、真夏を
想像すると‥
自分はハイドレにはジュース入れないようにしてます。
洗うの面倒なんで（笑）
なのでペットボトルも腰辺りに下げておき、ザックを
下ろさずに濃いめに作ったアクエリと、
ハイドレの水を飲めるようにしてます。
ご丁寧な解説ありがとうございました。
南岳小屋のブログ（8/1)によると、中岳の水場は既に枯れているそうです。
http://www.yarigatake.co.jp/minamidake/blog/2011/08/post-56.html
中岳の水場は雪解け水で美味しかったなあ。
皆様ご注意ください。
写真、感想ともに、挑戦意欲が湧いてくる記録ですね！
歩きたくなりましたが、危険もともなうので、それなりの心構えが必要ですね。
いつか挑むときの参考にさせていただきます。
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