北アルプス大馬蹄形縦走(立山〜薬師〜黒五〜鷲羽水晶〜読売新道)
- GPS
- 30:01
- 距離
- 67.9km
- 登り
- 5,842m
- 下り
- 6,800m
コースタイム
室堂7:11→7:45一ノ越山荘→8:14雄山→8:26大汝山→9:46鬼岳東面→10:29獅子岳→11:23五色ヶ原山荘→11:50鳶山→13:02越中沢岳→14:23スゴ乗越→14:57スゴ乗越小屋(テント泊)
8月17日:
スゴ乗越小屋3:04→4:52北薬師岳→5:50薬師岳→6:18薬師岳山荘→7:05薬師峠→7:29太郎平小屋→8:37北ノ俣岳→11:11黒部五郎岳→12:22黒部五郎小舎→13:58三俣蓮華岳→14:20三俣山荘(テント泊)
8月18日:
三俣山荘3:51→4:54鷲羽岳→5:59水晶小屋→6:32水晶岳→7:11温泉沢ノ頭→8:19赤牛岳→10:28奥黒部ヒュッテ→11:26平ノ渡→(12時20分の渡船)→14:08ロッジくろよん→14:28黒部ダムレストハウス
天候 | 8月16日 曇ときどき小雨、少し晴れ間 8月17日 晴れのち曇・雨 8月18日 晴れのち雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
さわやか信州号 新宿(22:30発)〜室堂(7:15着) http://www.sunshinetour.co.jp/alpen/tokyo/online.html 帰り: 黒部ダム〜扇沢 14:35トローリーバス1500円 10kg以上の荷物量200円 扇沢〜大町温泉郷 バス 15:00 990円 大町温泉郷〜信濃大町駅 バス16:15 510円 信濃大町駅〜松本駅 信濃大町駅16:44 白馬花三昧NODOKA号(臨時列車、全席指定) |
コース状況/ 危険箇所等 |
※奥黒部ヒュッテからダムまでの道は、直前にコース状況確認が必須です。電話で問い合わせをした室堂山荘のスタッフの方によると、毎年雪のために登山道は崩壊?するそうです。そして毎年補修して通行可能にするそうです。8月18日の時点で「7割程度の修復だが通行は可能」(奥黒部ヒュッテの御主人より)とのことです。実際、木製梯子の修理をされている方が複数名いらっしゃいました。また一度通行可能となっても集中豪雨等で沢にかかる橋が流されて通れなくなることもあるようです。 ・室堂〜一ノ越山荘〜大汝山:山荘までの遊歩道に途中小さい残雪歩きあります。立山までは観光客?も登ってきて混雑します。 ・一ノ越山荘〜五色ヶ原山荘:数か所雪渓歩きありますがアイゼンは不要です。鎖・梯子少しあり。 ・五色ヶ原山荘〜スゴ乗越小屋:越中沢岳から下りがきつく岩・ガレで注意が必要です。ロープ場の急な下りありちょっと注意です。この区間、アップダウンが少々きつく頑張りどころです。 ・スゴ乗越小屋〜薬師岳:北薬師手前から岩場になってくる。やせているところもあり足元注意です。 ・薬師岳〜太郎平小屋:薬師岳からの下りは広いのでガス時は注意が必要らしいです。薬師峠手前は沢状態になっています。 ・太郎平小屋〜黒部五郎岳:問題ありません。 ・黒部五郎岳〜三俣山荘:カールルートは晴れていれば問題ありません。沢を数回渡ります。三俣蓮華岳の巻き道分岐やや手前がちょっとザレがあり滑落注意です。 ・三俣山荘〜水晶小屋:問題ありません。 ・水晶小屋〜赤牛岳:水晶岳からしばらくの下りまで岩場が続きます。水晶岳〜赤牛岳まではマーキングが乏しいないし古くわかりづらくなっている場所が多くなり、ガスった時は要注意です。途中のピークも巻き道と稜線上の道があるのか、西側に巻いたところ、上のルートと合流しました。 ・赤牛岳〜奥黒部ヒュッテ:赤牛岳を過ぎるとマーキングが逆に多くなりこれは安心度高いです。赤牛岳からしばらくいったところに崩壊地がありロープがはってあります。ここは注意。その後はガレや大岩の上を歩き、その後しばらくして樹林帯になってきます。樹林帯の上部は苔のついた石がとても多く滑りやすいです。3/8あたりから歩きやすい道になってきますが2/8の道標がでてから急下降で梯子・ロープがでてきて、それを過ぎるとまた歩きやすくなってきます。下りオンリーだと思ったら実は少し登りもあります。長いですが思ったほどではありませんが、雨後などだと滑りやすく大幅に時間がかかりそうです。この日はぬかるみはあったものの、思った程ではありませんでした。 ・奥黒部ヒュッテ〜平ノ渡:最大の核心部と思われます。切れ落ちてしかも道幅のあまりない登山道が続き、よくぞこんなところに道を作ったなというところに木製の梯子・橋が多数のアスレチックコース。滑落要注意ですし滑落したらさようならです。ストックはしまいましょう。またザックの横にテントマットなどつけている方は左側にしたほうがいいかも(ダム右岸を歩くため)。 ・平ノ渡〜黒部ダム:平ノ小屋からは左岸を歩きますがやはり片側が切れ落ちている道を主に歩きます。梯子は長いのがありますが、全体には少なめ。沢を数回木製の橋で渡ります。アップダウンも適度にあります。ロッジくろよんからは遊歩道です。遊覧船乗り場からは観光客が大勢いるので、ロッジくろよんで体裁を整えましょうw ☆下山後の温泉:大町温泉郷バス停留所から歩いてすぐの薬師の湯 http://www2.plala.or.jp/yakushino-yu/guide.htm ☆テント場: スゴ乗越小屋500円 水場は小屋前の蛇口、トイレは小屋内(小は小屋外にもあり) 三俣山荘500円 水場はテント場にあり、トイレは小屋内 ☆北アルプス大馬蹄形について: ・馬蹄形縦走といえば谷川馬蹄形縦走が有名ですが、その他にも丹沢馬蹄形縦走等各地に馬蹄形の形に縦走できるルートがあります。しかし、このコースほど大きい馬蹄形縦走ができるルートはなかなかないように思います。馬蹄形縦走のよいところは、自分の歩いてきたor歩くルートを横に見ながら歩けることです。 ・今回のルートのみではなく水晶小屋から先を裏銀座〜後立山につなげていくとこれも馬蹄形縦走になりそうですがこれもきつそうです。 ・高橋庄太郎さんの「北アルプス テントを背中に山の旅へ」を最近読む機会がありましたが、この本に「挑戦的長距離縦走ルート」として4つのルートが紹介されています。そのうち2つの立山〜薬師と読売新道。この2つを一度に歩ける非常にお得なコースどりです。しかも、この2つのルートは比較的人が少なく静かな北アを楽しむ会向きです。 ・読売新道を歩くには一般的には2泊は必要ですが読売新道のコースタイムが長いため、通常は前泊は雲ノ平か三俣山荘か水晶小屋にする必要があると思われます。又はルーファイができれば高天原山荘に泊まって温泉沢の頭経由で行くのもありかもしれません。三俣山荘泊の場合は鷲羽でご来光のパターンがお勧めです。なお14:20までの平ノ渡の渡船に乗船できれば最終までのトローリーバスで当日下界に辿り着ける可能性がありますが危険箇所がある道なのであせらずにいったほうがいいです。 <参考山行> ・こちらの記録は登山道の状況など詳細で大変参考になりました。 http://www.geocities.jp/madokadreamheart/tozan/2004ok/00.htm ・ヤマレコ内の記録で参考にさせて頂きました。 kae0701さん、wallabeeさん http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-127551.html takukinoさん http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-95562.html |
写真
感想
昨年の同時期に計画していたソフトMプラン、「北アルプス大馬蹄形縦走」。昨年は早月尾根からはいって剱岳をこえてそこからぐるりと馬蹄形にする予定でしたが強風に恐怖(きょうふ)して早すぎ(はやつき)る撤退。今年も同時期に夏休みを申請していましたが1週前から天気予報にやきもきしました。初日の剱と、薬師越え、水晶〜赤牛はなんとか風雨は避けたい。しかし数日前の天気予報で早月尾根は断念、安全に室堂から入ることにしました。初日は立山は強風だったのと前日雨が降ったので、剱を避けた選択は正解だったと思いました。
当初の予定は、スゴ乗越小屋、三俣山荘、平ノ小屋ないしロッジくろよん、と3泊4日の行程の予定でしたが思いがけず条件に恵まれて快適に読売新道を下れ、1日残して下山できました。
8月16日:
さて、室堂には予定より早く7時前に着きます。残念ながら曇り。湧水でペットボトルを満たしてまだ人出がそれほどでもない朝を一ノ越山荘へ歩きます。立山に登る際には残念ながら完全にガスりました。そして下山時には大量のハイカーが・・・。こんな天気の途中丁度バスで隣だったソロ男性とお会いします。スゴ乗越小屋でした。この方は(多分)ULハイカーで、ザックはゴッサマーギアの軽量、テントはおそらくテラノバの超軽量のでしょうか。結構勉強になりました。この日は凡ミスを・・・。お花の写真を撮りながら普通の登山道を歩いていたらいきなり登山道からプチ滑落(笑)本当にびっくりしました。いきなり泥だらけになりテンションも下がりましたが、無事でよかったです。
さて、この日は前半ガス+小雨でしたが途中から一部晴れ間も。馬蹄形反対側の赤牛と思われる山もみえてラッキーでした。しかしこの区間はアップダウンもそれなりにきつく、歩きにくい足元もありなかなか歩きごたえがありました。しかし予定に遅れることなく小屋につきました。結構賑わっていたのが意外でしたがいい雰囲気の小屋でした。
8月17日:
さて朝起きると満天の星。いそいそと撤収をして北薬師岳でのご来光狙いでナイトハイク開始です。こんな時間にここを出発するのは私だけ、と思ったら降り返るとライトが追ってくるのがわかります。安心のようなちょっと怖いような・・・いや、ちょっと怖かったです(笑)
北薬師で予定通りご来光。風雨強いと薬師越えは困難と言われるようで、この区間が穏やかで晴れて本当に良かったです。薬師からの展望も絶景です。薬師岳でトイレおかりしてここで日焼けどめたっぷり塗ってリスタートです。順調に太郎平小屋まで。このあたりは黒部五郎までゆるやかな稜線がみえてゆっくり楽しく歩けていました。しかし、北ノ俣岳に着くころに異変が・・・バテがまたきました。無理したつもりもないのですし、脱水でもシャリバテでもないよう。原因不明です。黒部五郎までは本当に牛歩となりました。2年ぶりの黒部五郎岳はまたもガス。ゆっくりカールを降りて黒部五郎小舎でCCレモンを飲んだらあら不思議、バテが完全に消えました(笑)。このあたりから小雨のためレインウエアを上下着て暑い中急登をこなします。ガスの三俣蓮華岳を過ぎたときに本格的に雨。雨の中なんとか三俣山荘に着きました。テント場は沢のような流れがあり、なるべく増水しても影響のなさそうなところにテント。設営時は雨があがっていて助かりました。山荘の天気予報は明日は雨。しかし夕方になり曇りのち9時頃から雨に変わりました。明日は長丁場なので天気悪ければ新穂高かな、そう考えながら眠りにつきました。
8月18日:
さて、撤収の物音が周囲からしだして、テントから空を見上げると今日も満天の星空です。いそいそと撤収して鷲羽岳でのご来光狙いで出発です。出発した時点で鷲羽の中腹にライトがみえ、結構早立ちの方多いんですね。昨日のバテが怖く、早朝はゆっくりゆっくりを心がけます。途中やはり読売新道を歩く方と一緒になりましたが、天気予報がはずれてお互い喜びました。鷲羽では丁度東に雲が多くご来光は残念。でも周囲の山々の朝の風景は素晴らしかったです。朝は体調も良いと言えなかったのですが鷲羽を過ぎてからはだいぶ体調も好調になってきました。水晶小屋までくると憧れの赤牛岳がしっかり見えます。そしてダムまでの状況の最後の確認。そして2年ぶりの水晶岳に。ここからの展望は最高ですね。ここからはガレを急降下して、赤牛に向かいます。途中から早立ちした先行者と結構お会いしました。赤牛手前でちょっとガスりましたが、西側(馬蹄形の反対側)は凄い展望です。北アルプスの最奥地にきたーっ!って感じでした。
さて読売新道。マーキングも多いですし、何よりこの日は前夜はほとんど雨が降らなかったためか岩もほとんど濡れておらず、ぬかるみは少しで、結構歩きやすい部分も多かったです。雨後なら相当大変そうですが・・・。上部ではダムがしっかり見えてテンションあがります。ガンガンくだって結構あっさり奥黒部ヒュッテに。ここからがアスレチックコースで忙しいし結構怖い。ここも木が濡れているとさらに怖いでしょうね。平ノ渡に着いた頃に南のほうで雷があり、そして小雨が降ってきました。平ノ渡後もアスレチックコースなんですが、ここでは雨で蒸れて、そして暑さがきつかったです。ようやくロッジくろよんについたときはほっとしました。そして遊覧船乗り場からは大量の人人人。下界におりてきたのを実感します。そしてうきまくります。ダムに着くと遠くに(多分)赤牛の雄姿。あそこから1日で降りてこられるとは人間の足は素晴らしいと思いました(笑)。
下山後、薬師の湯で体重を計ると普段は登山で減らない体重が珍しくいつもより1.5〜2kgくらい減っています。これは肉を食わんといかん、と思い松本駅で一人焼き肉(笑) アルファ米と違って温泉後の生ビールと焼き肉って最高です。1日残して下山できたことを感謝しました(笑)そして電車の遅れ等ありましたが地元には日が変わったところで帰れました。
総括:馬蹄形縦走という響きに憧れて・・・昨年は憧れだけで終わりましたが、今回は予報よりもお天気にも恵まれて楽しく歩けて充実感・達成感が半端なかったです。帰宅してからもおもわずこの縦走を思い出してにやけてしまうような、そんな感じの山歩きでした。この馬蹄形ルート、最高です。
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