槍穂縦走・テン泊・2泊3日・晴天
長野県
岐阜県
mrorange
- GPS
- 60:43
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 2,632m
- 下り
- 2,629m
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5:40上高地→6:15明神→6:20穂高神社奥宮→7:10徳沢→7:55横尾着→8:20横尾発→8:57一ノ俣→9:28槍沢ロッヂ→10:05ババ平→10:40大曲→11:45天狗原分岐→13:15坊主岩宿分岐→13:57殺生ヒュッテ分岐→15:01槍ヶ岳山荘(16:00-17:00槍ヶ岳山頂往復)
8/10(土)
7:50槍ヶ岳山荘テン場→7:55飛騨乗越→8:42中岳→9:30天狗原分岐→9:45南岳→10:07南岳山荘発→11:25長谷川ピーク→11:48A沢コル→13:20北穂高小屋→北穂南稜テン場
8/11(日)
6:25北穂南稜テン場→7:37最低コル→8:45涸沢岳→9:26穂高岳山荘→10:25奥穂高岳山頂→12:10紀美子平→12:50前穂高岳山頂→13:20紀美子平→16:40岳沢小屋→17:40風穴→18:23上高地・小梨平キャンプ場
8/12(おまけ)
8:00小梨平→8:40明神→9:20河童橋→9:25小梨平
| 天候 | 8/9:快晴 8/10:ガス 8/11晴→曇 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2013年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
バス
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
槍沢に雪渓通過箇所あり。雪はゆるい。 |
| 予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
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感想
持って行ってよかったもの：皮手袋
持っていけばよかったもの：リップクリーム
夏のテント山行。日程は8/9-8/12 3泊4日。行先は北アルプス南部。
ここまで決めたところで同行予定者は仕事がはいり脱落、予想外の単独行となってしまった。
さてルートどうするベと地図を眺めて考える。
明神の穂高神社奥宮でお参り→奥穂山頂の穂高神社嶺宮でお参りするか。
地図の北側に目をやる。
槍ヶ岳。
ここも外したくない。となると大キレット通過もセットだがおっかないのは嫌だ。結局出発前日まで悩んだあげく、「ご利益が増えそう」との理由で槍穂縦走決定。信仰の方向性は違うんだけども。
8/8の仕事を終えてから新宿発のバスに乗って上高地に5:30着。夜が明けるにつれて曇り空から晴天になっていく。
平坦な道を飛ばす。できるなら槍ヶ岳山荘に幕営したいが、そのためにはテント場が一杯になる前に到着しなければならない。
2年前の悪夢がよぎる。
燕岳に登った時のこと。燕山荘テント場についたのは16:00。すでに平地は一杯で、崖際の斜面に張る羽目になった。テントごと滑落する夢で何度も目覚めるという、ヘビーな夜だった。
そんな目には遭いたくないので、横尾まで飛ばした。途中明神の神社にお参りして御朱印もいただく。もろもろ願掛けもさせてもらった。交通安全の神様だそうなので、該当しない分は担当の方に回していただきたい。
が、槍沢の雪渓に差し掛かったあたりでペースが落ちる。
重い。
バックパック総重量は20kg。飯はレトルト・缶詰ばっかり。しかも水場でフルに給水してた。目指す槍は見えてるものの、登っても登っても近づかない。小屋泊するという男性と「(時間的に)やばいやばい」と声を掛け合いながらようやく到着。受付に走る。
俺「まだ・・・(息切れ)・・・テント・・・(息切れ)・・・張れますかっ？」
受付「大丈夫ですよ。」
俺「・・・っ(安堵)」
受付「危なかったですけどね。」
俺「は？」
残り5張分しか残ってないのこと。間に合ってなかった場合、この荷物を殺生ヒュッテまで担ぎ下ろせたかどうか謎だ。
テントを作ってから槍に登る。空いてて楽だったが、最後のハシゴがちょっと怖い。日が傾いて、槍の穂先の影がジャキっと西側の谷に映っている。
この日はあまりの好天っぷりに会う人会う人のテンションが非常に高かった。「晴れたねえ」「すごいねえ」「やばいねえ」
妻に無事到着の電話をかける。明神以来きれてた電波が稜線に上がったら復活。やるなau。
翌日のキレットに備えて重量軽減を図る。玉ねぎ・パプリカ・ソーセージ・白米・マッシュルーム・コンビーフ等を思い切って使ってしまう。あと水は500ml残してすべて消費した。次の給水は南岳小屋。
夜中は飛騨側から吹き上げる風が強くて、タープとテントがばたばたうるさかった。すぐ寝てしまったが。夜中まで晴天は続いてたので、星空が尋常じゃなかった。いま書いてて思ったが、3000Mで星を見たのはあれが初めてだ。どおりで感動した。
2日目。
穂高方面に南下する。ガスってて視界が悪く、飛騨側から吹き上げる風も弱まる気配がない。
南岳手前の天狗原分岐のところにテン場で一緒だった京都弁のにーさんがいた。この日の出発はこの人とほぼ同時だった。
朝目覚めると天井が明るかった。
やりやがった(俺が)。
腕時計は6:00を示している。4:30起床の予定が相当の遅れだ。
トイレに向かうと、緑ジャケットの男が声をかけてきた。一瞬分からなかったが、前日山荘直下で一緒に上ってきた人だった。同じくキレットを行くそうなので、北穂小屋で会いましょうと言って別れる。
この日は工程が短く、後発の方がキレットの渋滞避けれるかも・天候もよくなるかも、と考え8:00にゆっくり出発。
で、天狗原分岐。京都にーさんはこの風と視界でキレットに突入すべきか迷っていた。天狗原経由で涸沢に回り込むことも考えているという。俺もちょっと迷ってたので、南岳小屋まで行って様子みてから決めませんかと提案。
すぐに南岳小屋に到着。ここから大キレット南下が始まる。風は相変わらずだったかがガスが晴れ気味になってきてたし、岩も濡れてないようだったのでキレット突入することにする。腹ごしらえしてから後発するという京都にーさんを残して出発。
皮手袋を嵌めて岩場を下る。素手だったらたぶん一時間くらいで指が動かなくなってたと思う。そのくらい「四肢」を使っての移動、ずっと緊張しっぱなしだった。洒落にならん場所が多すぎる。「一歩踏み外したら落差数十mですよ。ふふふ。」なんてざらだし、「落ちたら2m下の斜面です」みたいなところもあるが、「でもその先200m滑り落ちるからね。」という二段構えもご用意されている。非常にありがたくない。
ただ、この先もっとすごいのが来るぞ来るぞと思いながら進んでたらいつの間にか北穂小屋が見えた。
なんだ。
全然行けたぞ。テラスに到着すると、同じくキレット南下組がくつろいでいた。今朝の緑ジャケットさん、赤ヘルメットのおじさん、テント前を通って行ったご夫妻。皆無事でよかった。
後着した京都にーさんと生ジョッキで乾杯、これから涸沢へくだるという。さらばさらば。
今日はここで幕営なので、妻に到着の電話を試みるがつながらず。がんばれau。小屋のケータイを一回\100で貸してもらえたので、無事報告完了。ここで北穂高ワインを購入、お土産にする。こんなところまで上げられた挙句また担ぎ下ろされたらワインも不本意だと思う。
テン場は15分ほど下ったところにある。水の補給とトイレのためには小屋まで15分登り返す必要があり、翌日朝に苦しい思いをさせられた。詳しく思い出したくもない。。。
3日目。
4:30起床。やればできる。
準備をしてたら赤ヘルのおじさんが出発、緑ジャケットさんも涸沢へ下って行った。
今日の目的地は、涸沢岳→奥穂→前穂→岳沢小屋。出発前に小屋に水汲みに行く途中、赤ジャケットの男と出会う。ちょうど日の出だったので稜線で朝日を見てたそうだ。本日のルートが一緒だったので、俺が後を追う形になる。
テントを撤収して出発。相変わらず飛騨側からの風が強い。槍からの稜線はそのまま長野と岐阜の県境なので、昨日からずっと右手(岐阜・飛騨)から風が吹き上げて来る。
奥穂までの道は険しい。今日は朝から快晴なので、視界が鮮明なためか高度をすごく感じる。あと何回も飛騨側・長野側に跨ぎ越す。特に長野側に乗り越す時は、風に押し倒されそうになる。押し倒されたら斜面に沿って涸沢まで500mノンストップなのでなんとか耐える。というか大キレットより怖いんですけどなんなんですかあなた。
ぐったりして涸沢岳に到着。赤ジャケさんが朝飯してた。優雅だ。西側を向くと、左手に槍・北穂、正面に常念山脈、眼下に涸沢カール&テント村、右手は奥穂、吊尾根、前穂&峰々。人も少なく風の音しかしない。優雅だ。
さらに南下すると穂高岳山荘。屋根に布団干してた。
ここから奥穂までの登り。涸沢から上がってきた人達と合流する形になるので、ファミリー層もたくさん。山頂は賑わっていた。
穂高神社の祠がある。嶺宮だ。祠はまわりより高い位置になっていて、祠を囲むように人が立てるスペースもある。そこにひざまずいて、お賽銭をおく。で
一礼
二れ・・
「おっしゃーついたー」
どっかの山岳部らしき団体が祠のまわりに登ってきた。しかも続々と。4人くらい登ってぎゅうぎゅうになっちゃってる。
いや、ひるんでないですよ。この御参りが今回の趣旨みたいなもんなんだから。
一拍手。
二拍手。
目を閉じて祈った。
その間「やったーもう登んなくて済むー」「きつかったー」と周りで感想が述べられてたけども、だからひるんでないですってば。
ただリーダーっぽい子が俺に気つかってくれたのか、「おめーらうるせー！山頂踏んだらとっとと降りろ！」て怒鳴ってた。
・・・リーダー・・・かたじけない。
そのまま吊尾根を前穂に向かって歩く。やや下り気味の道だが依然岩場が続く。手袋はまだ外せない。ちょうどこのころ、岳沢からヘリが急上昇してきて吊尾根スレスレを乗り越えて涸沢側へ急降下する、という挙動を繰り返していた。この時間帯に北穂で滑落事故があったらしいが、その救助ヘリだったのか・・・？
紀美子平に着くころには、ヒザにかなり痛みが来ていた。赤ジャケさんも先着しており、バックパックをデポして前穂山頂へ向かう。かなりガレガレの道のりで、落石にかなり注意が必要。山頂はガスり気味だった。iphoneのバッテリーも切れて写真も撮れないのですぐ紀美子平へ戻り岳沢へ下る。
赤ジャケさんは涼しい顔で下っていくが、俺はヒザと足首がポンコツ化しておりゆっくり降りて行った。途中足のスジを痛めたというおばちゃんがいて、近くにいたおっさんと相談して俺が一緒に岳沢まで行くことにした。荷物を持つわけでも、肩を貸すわけでもないが。で、だらだら歩いて16:30に岳沢小屋着。紀美子平から3時間かかった。今日はここにテン泊するつもりだったけども、もう上高地まで降りることにした。明日足が悪化してたら困るし。靴のソールもはげかけてるし。
上高地までのコースタイムは2時間。今の俺の足だとコースタイム+αかかる。ビール飲んでる赤ジャケさんも「日没までにつけるといいね」。まったくそのとおりだ。
そして俺はこの後この選択をちょっと後悔する。
早めに歩く。ゆっくり歩くより、リズミカルに左右の足に荷重移動させた方が痛みが少ない気がする。歩くのは樹林帯。だんだん薄暗くなってきて俺は思った。
怖い。
そういや藪に左右を覆われた道を歩くのは苦手だ。藪の向こうからナニカがこっちを見ながら追跡してくるようなそんな気持ちになる。あと右手に岳沢を見ながら歩くのだが、いままでなにもいなかったところに次に目線をやったらナニカいる、とかありそうですごく嫌だ←(2chで怖い話を読みすぎた)。そしてこの時間、登りも下りもほとんど人がいない。足が痛いし疲れるけど、怖いから止まれないという悲しい状況のなか、
河童橋に着いていた。岳沢小屋から90分。日没まであと30分。
余裕だった。
結果的に。
この日は小梨平キャンプ場に張らせてもらった。水&トイレ使い放題・ゴミ引き取り可で\700という夢のような料金体制に加え、疲労によりファミリーキャンプ場の賑やかさも気にならず5分で爆睡という安らかな幕引きとなった。
4日目(登山なし)
翌朝、明神の穂高神社に再度参拝。道中、今日から蝶ヶ岳ヒュッテの長期バイトに入るという宮崎の学生さんと一緒になった。看板娘になることを祈る。
河童橋に戻ると、赤ジャケさん(もう別の服だったけど)を発見。ソフトクリーム食べてた。食ったらバス乗って新穂高で車を回収して神奈川まで帰るとのこと。優雅なのかワイルドなのかよくわからなくなったが、お互い無事に降りれたことを喜んで別れた。
平湯BTに戻って風呂に入る。露天で笠ヶ岳が一望。ほぼ貸し切り。しかし口の端がものすごく痛い。鏡で確認すると日焼けと乾燥でくちびるが裂けている。初日の夜からメシのたびになんか痛いと思ってたらこれだったか。バスターミナルにリップクリームは売ってません。
ここに至るまでのバスの車中に登山靴を置き忘れてるんだが、このときはまだ気づいていなかった。
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