西穂高岳〜ジャンダルム〜穂高岳〜北穂高岳〜大キレット〜南岳 憧れの難ルート行路
- GPS
- 26:23
- 距離
- 34.5km
- 登り
- 2,551m
- 下り
- 3,211m
コースタイム
- 山行
- 1:21
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 2:38
- 山行
- 6:16
- 休憩
- 2:47
- 合計
- 9:03
- 山行
- 4:44
- 休憩
- 1:39
- 合計
- 6:23
- 山行
- 6:57
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 8:12
天候 | 1晴 2晴 3雨 4晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
写真
感想
とうとうジャンダルムに登頂する日が来ました。
岩山登り好きは自覚してたものの、西穂からのバリエーションルートなんてレベルが違い過ぎてはなから論外だとずっと思っていました。その考えが少しずつ変わり始めたのは妙義山系に通うようになってから。毎年ここで鍛えられ、いつの間にやら技術と度胸がレベルアップ。戸隠山やら剱岳やらの岩陵帯の難所もこなせるようになりました。そうなると自然と食指が動くのは山登り共通のかなしい性。ここ数年チャンスをうかがってましたが、この初秋ようやく日本一難しい一般登山道に挑むこととなりました。
1日目。東京から高速バスでお馴染みの平湯温泉へ。のんびりと‘けいちゃん’でランチをとってから路線バスで新穂高に移動。そこからロープウェイで一気に2156mまで上がる。西穂高口駅から登山開始して1時間ほどで賑やかな西穂山荘に到着。ひとまず荷物を置いて、展望の良い丸山まで上がる。6年前に来た時と全く同じパターン。今日一日は穏やかに過ぎる。山荘の美味しい夕食を頂き、明日も天気が保つことを願いつつ就寝。なにせ明日からが本番ですから。
2日目。希望通りの晴れ模様。ただ天気予報は下り坂らしい。日の出とともに山荘を出発。
西穂高岳までは一度経験してるルート。連続するアップダウンを思い出しながら歩くが、‘あれ、こんなに楽だった?’感をずっと引きずりながら西穂高岳山頂に到着。これは成長の証なのだろうが、どうにもテンションが上がらない。
一抹の不安を抱えつつ、未知なる難ルートに突入する。P1からの連続するクサリ場で若干気が引き締まる。
間ノ岳、天狗ノ頭と厳しい岩場のアップダウンが続く。終始気が抜けない大変なルートではあるが、まだまだその難しさを楽しむ余裕がある。前半の懸案事項だった逆層スラブも案外登りやすく、しっかり踏みしめて越えて下る。
天狗のコルを過ぎたあたりからガスが湧き始める。逸る気持ちを抑えつつ慎重に進む。基本的にはペンキの印を外さなければ問題はない。浮石も段々と何となく怪しいやつは見分けがつくようになり、変な踏み外しはしなくなる。
とうとうジャンダルム直下まで来る。周りはガスって真っ白だが、気を持ち直して左巻きから登っていく。
出発から6時間半でジャンダルム登頂。あいにくのガス模様だが、感激の天使とのご対面を果たす。
30分以上粘ったが、隣のロバの耳が見える程度で景色は好転せず、諦めて先に進む。
難しい状況は変わらない。特に頭を使ったのはロバの耳の脇のクサリの無い長い下り。ホールドや足場は確実にあるので冷静にルートを見極める。
馬の背は上りのせいか思ったより分かりやすかった。
1時間ほどで奥穂高岳に到着。すっかりガスが晴れる。振り返るとジャンダルムの勇姿が聳え立つ。この時間差ちょっと悔しい。
穂高岳は以前大雨に岳沢経由で登頂し、先々代のiPhoneを水没させた因縁の地。今回はきっちり嶺宮の祠にお詣りさせて頂き、ゆっくり山頂で過ごす。
最後の急降下もこなして穂高岳山荘に到着。相変わらず人が多くて賑やか。こちらでも美味しい夕食を頂く。暗くなってから雨が降り始めるが、予報では朝には止むらしい。明日は大キレット、そう願いながら就寝。
3日目。前日の天気予報が外れて生憎の雨模様。風は弱く、予報も回復傾向なので予定ルートで行くことにする。あまり良い判断だとは思いつつも覚悟を決める。
まずはテント場地帯を抜けて涸沢岳に上がる。三角点だけ撮って即通過。
そこからの下りがクサリあり、ハシゴありのアクロバティックな展開。それ自体はさして問題ないが、雨で濡れて滑ったり、やたら浮石で滑ったりと厄介。気を抜かず慎重に下っていく。徐々に対処のコツを掴む。
涸沢のコルを過ぎると、奥壁バンドの長いトラバース帯に入る。滝谷側にかなり切れ落ちてる箇所のようだが、視界が悪過ぎて判らずじまい。
北穂高岳への登り返しあたりから雨が強まるが、特に難しい岩登りではないので気を配れば技術的に影響は少ない。されどテンションは落ち気で、真っ白な北穂高岳も即通過。
直下の北穂高小屋でコーヒーを飲みながら暫し雨宿り。
雨が止み、再出発。ここから一気に下る。クサリ、ハシゴが連続で、しかもなかなかテクニカルな設定。道もザレていて不安定感が半端ない。とにかくホールドと足場を絶対に確保して進む。
冷たい西風が強まる。丁度飛騨泣きの箇所。断崖をトラバースする恐怖心ではなく吹きつけの寒さで泣きたくなる。長谷川ピーク手前もクサリが続く。ピークを過ぎると若干難易度が下がるが、また雨が降り始める。時々岩陰で雨風をやり過ごしなら行く。
大キレットを通過。というか特に表示が無かったので最低のコルをスルーしてしまう。慌てて戻って確認。
南岳への登り返しも長ハシゴ、クサリが連続するが、前半に比べるとかなり取っ掛かりやすい。緊張感はキープしつつもうひと頑張り。
出発から6時間ちょっとで南岳小屋に到着。なんとか無理を通した感じで大キレットを踏破する。
まだ13時過ぎで暖房も乾燥室も起動しておらず、とりあえず濡れた物を着替えて布団に包まって暖まる。こちらでも美味しい夕食を頂く。ぐっすり就寝。
4日目。一転して良い天気。大キレットの全貌も望める獅子鼻展望台からご来光を拝む。
小屋を出発して15分ほどで南岳山頂に到着。北アルプスの名だたる山々に囲まれる眺めがとても素晴らしい。
後ろ髪を引かれつつ歩みを進めるが、これまた風光明媚な稜線が待っていた。槍ヶ岳へ続く道の美しいこと。
天狗原までの道は最後のアトラクション。クサリ、ハシゴとこなし、ゴロゴロした岩の上を渡り歩く。気を張り詰めた岩稜帯ともこれでお別れと思うと名残惜しい。
周りがうっすらと色づき始めた天狗池に到達。水面に映る逆さ槍を撮る。
そのまま登山道は槍沢へ合流。多くの登山者と行き交うようになる。横尾を通り徳沢へ。徳澤園にてカレーランチで休憩。
明神にて穂高神社 奥宮を参拝。無事下山に感謝して嶺宮の御朱印を頂く。
小梨にてひとっ風呂。4日間の垢を洗い流す。
河童橋周辺は相変わらずの賑わい。振り返ると穂高岳は雲隠れ。
上高地バスターミナルから15時の東京行きの高速バスに乗り込み帰途につく。
日本屈指の難ルートを踏破出来ました。特に中2日は危険な岩稜帯を最大限に集中しつつ楽しく踏破することが出来ました。無事で済んでいるものの、3日目の雨中強行は反省してます。オープンフィンガー手袋を使っていたので、若干指先が痛いのも心地良いものです。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する