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地元民であまり気にしていなかったけど確かに珍名だ。
そこで山の珍名を調べて見ようと、図書館から「三省堂 日本山名事典」という分厚い本を借りてきて調べて見た。
この本、日本国内の25000の山、峠、山脈名などが収録されているそうだ。山名は20000程度か。基本は国土地理院の1/2.5万地形図とのことだが、地形図には掲載のない「チョキ」もちゃんと載っている。
読み始めてみると、2万の山名を端から調べるのは思わぬ時間がかかることがわかった。結局かなり「斜め読み」したに過ぎない程度の「調査」だ。
まず、珍名が多いのは北海道と沖縄だが、これは民族的な違いからの命名だろうから除外する。
また、標高の低い山は地形図や一般地図にも表記なく、裏付けが取れない。またそういう山名は地元の人だけに呼ばれている可能性も高いだろうから、一応標高1000m以下も除外することにした。
また、いくら珍でも「○○山(岳)」では少しも面白くないから原則除外(^^)。
そうやってフィルターをかけて調べてみたが、これが案外「珍名」というほどの山が見つからなかった。
結局yokowv様が指摘したように「ニュウ(2352m)」と「チョキ(1883m)」が2大珍名だ(独断)。
「ニュウ」は事典によれば「ニュウは入で、稲をハザ木に掛けた形に似ていることからの山名」とのこと。
一方「チョキ」については解説なし。下記サイトによれば「山名に起因する要素は何もない。この山名については、「山梨百科事典」「角川日本地名大辞典(山梨県版)」「三省堂日本山名事典」「新日本山岳誌」「甲斐国志」にもなく、そのほか、出ている文献の方が少ないくらいで、探ることは不可能としか言えない。」と。不思議な山名だ。
http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000130710270001
今回調べていて感じたのは、他県ではなく山梨県内に珍名山が多いこと。山が多いから当たり前だろうか。例えば・・・、
■トサカ(2047m/山梨市)
「鶏冠山」ではなく、かたかなで「トサカ」である。まあ、トサカのような形なんだろう。
■ほんじゃがまる(1631m/大月・都留市)
お笑いコンビではない。ましてポテトチップでもない。いや、漢字で書けば「本社ヶ丸」。しかし音(おん)で聞くとかなりの珍名だ。
「山梨百名山」によれば「丸」は古い朝鮮語の「山」である「モリ」が語源ではないかと。奈良時代頃大月周辺には多くの百済人が渡来した記録があるそうだ。確かにこのあたりに「○○丸」という山名が多い。
■高ドッキョウ(1134m/南部町)
「ドッキョウ」は、後述するがどうも「突峰」とか「突剣」かがなまったのでは?と推測。
昔、修行僧が山中に籠もって上から読経が聞こえたので、というのは返って珍説らしい(^^)。
■山伏(2014m/早川町)
「やまぶし」なら、さほどではないが、これが「やんぶし」と読むからちょっと珍名。
■牛奥ノ雁ヶ腹摺山(1990m/大月・甲州市)
「山」が付くから珍名じゃない?。「雁ヶ腹摺」ってのも楽しいけど「珍」なのは、その音数。
「うしおくのがんがはらすりやま」って14音。長い。「ニュウ」や「チョキ」はいわば「2音」だから7倍の違い。
『おれ今日、牛奥ノ雁ヶ腹摺山へ登ってくるよ』『ええ?何山?』『だからあ、牛奥ノ雁が・・イテッ舌かんだ!』なんて想像しちゃう。ほとんど落語の「じゅげむ」だ(^^)。
最後に他県、埼玉県で見つけた珍名を。
■芋掘ドッケン(1464m)
この「ドッケン」も上の「ドッキョウ」と同じじゃないだろうかと。つまり「高い山」のこと。それにしても「芋掘」とはなんぞや?
この辺、地元のmmg様、解説を!。
皆さん、珍山名ご存じだったらどんどんコメント下さい。
pasocom博士、調査ありがとうございます!
>ニュウは入で、稲をハザ木に掛けた形に似ていることからの山名
へ〜。ほ〜。
日本人らしい名前の付け方?山を漢字(の形)になぞらえるなんて。
「ハザ掛け山」とかにはならなかったんですね。
肝心の「チョキ」は謎のままでしたか〜。
謎のままのほうが面白味があっていいのかもしれませんね。
それほど珍じゃないかもしれませんが、雲取山のルート上に「芋木ノドッケ」という地名があったような気がします。
「ドッケン」「ドッキョウ」と同じ類ですかねー。
やっぱり八ヶ岳ですが「ギボシ」も。
早速のコメントありがとうございます。
私は「にゅう=乳」、これは「おっぱいの形の山」なのかと思ってました。いやいや冗談でなく・・・。「New」だと思わなかっただけマシでしょう(^^)。
「芋木ノドッケ(1946m)」は場所といい名といい「芋掘ドッケン」ととても似ていますね。面白い。こりゃ秩父の人に聞くしかありません。
「ギボシ」は欄干などの先端に付いている「擬宝珠」のことだろうと思いますが、形からはとてもそうは見えません。昔の人は想像力豊だったんでしょうね。
八ツといえばこの前行った硫黄岳のそばには「峰の松目」というだけの山がありました。「みねのまつめ」??なんでしょう?
あと、日記には書きませんでしたが「野口五郎岳」。
例の事典によると「野口」は麓の集落(牛奥と同じことです)で五郎は「ゴーロ=石がごろついている」という意味だそうで。本当は「野口ゴーロ岳」なんですね。
いや、当然「昔のアイドルだろう」なんて思っていませんでしたとも。
そのアイドル、芸名を決める際「黒部五郎」と「野口五郎」どっちがいい?と問われたのだとか。
「峰の松目」もたしかに不思議です。「松目の峰」なら何ら疑問も抱かなかったかもしれませんね。
松目。松、目。うーん、なんだろう。
東北の飯豊連峰あたりは漢字の読み方が面白いな〜と思います。「大日岳」があるので宗教や信仰絡みかな?と解釈していました。
飯豊=いいで
梅花皮=かいらぎ
朳差=えぶりさし
などなど。
いやはや、地形や地名は面白い。
いや、すごいことを教えられてしまいました。
あのアイドルを知っているだけでなく(最近ほとんど見かけませんし)、当時を知っている私でも知らなかった命名のエピソードまでご存じとは。
「黒部五郎」じゃちょっとね、と一瞬思いましたが、確か彼はデビュー曲は演歌で(まったくヒットせず)、演歌歌手なら黒部もありかな、と思い直しましたが・・。
「五郎」が「ゴーロ」だと知ったら彼もさぞや驚くことでしょうね(^^)。
飯豊=いいで
梅花皮=かいらぎ
朳差=えぶりさし
どれも絶対!読めません。「朳」は漢字さえ初見です。
ちょっと飯豊連峰を調べたら「疣岩山」というのも出てきました。「いぼいわやま」だとか。読めません(^^)。
この次は「難読山名」でランキングしましょうか・・・・。
pasocomさん、こんにちは
面白い山名の日記、面白く拝見させていただきました。
奥武蔵に、見事な山名が1つあります。
○ 多峯主山
「とうのすやま」と読みます。
「多くの峯の主」と、なんとも山の王者であるがごとく、素晴らしい名前ですが、標高は270.8m。地形的に見ても、特に周囲の峯を束ねているような様子はありません
でも、地元住民のお散歩にもよく使われているほか、付近には常盤御前の伝説も残るなど、とても親しまれている名里山です
hirohisa様、はじめまして。
埼玉には珍名、多いようですね。
「多峯主山」さっそく調査させていただきました。
標高270mとは低山です!。
「トウノス山の語源は、「鶇(ツグミ)の巣」、「鴇(とき)の巣」、あるいは、「薹伸す」とも思えるがよくわからない。」というサイトを見つけました。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~n-baba/s-tounosuyama.html
そういえば、奥多摩や埼玉には「鳩ノ巣」とか「鴻巣」
「鷹ノ巣」などという地名や山名がありますね。
埼玉県の方々はよほど鳥に親しみを持たれているのでしょうか。里山ならではの命名かと感じました。
パソコムさん山梨県のおもしろ山名講座有り難うございました。先月までいた青森でヘンな山名を披露しますと、
ドコノ森・・・十和田湖の南東あたりにあります。森はマルと同じで、朝鮮語でも山ですがアイヌ語でも同じだそうです。この辺の山はほとんど名前が森だらけです。
ガジャポッチ・・・南八甲田の櫛ヶ峰の西にある岩ポコです。意味不明です。
トッチャカ・・・白神山地にある別名雁森岳(がんもりだけ)ですが、マタギはトッチャカと呼んだそうです。
大月の渡来人説、そうなんですか。甲府盆地西部の古い地名、巨摩(こま)郡も高麗など渡来人を指す語源だそうですね。由緒ある地名、町村合併でなくなるのはとても残念です。
遠く青森の山名をご紹介いただきありがとうございました。
・ドコノ森・・・青森にも「森」という山があるのですね。実は甲府にも「水ヶ森」という山があります。
「水が漏り・・」で珍名候補でしたが。「森」は「モリ=山」に通じるのですね。新発見です。
・ガジャポッチ・・・これを聞いた瞬間思い出したのは塩尻にある「高ボッチ」ですね。これだけなら珍名候補だったのですが、地図で調べると「高ボッチ山」と「山」が付くのが正式名のようで珍名からはずしたのです。
「ボッチ」「ポッチ」、どちらも何となく「盛り上がったところ」というイメージあります(^^)。
地名は歴史そのもの。地名を調べれば歴史が見えて来ます。その地名を捨ててしまうこと、まったく暴挙としか思えません。
高ボッチも地元ではタカボッチとだけ呼ばれているのですが、車で行けるし、よその人が高ボッチってなんずら〜っていうもんだから、後付けで山を付けた気がします。
ヘンな地名は人があまりいかない所というのが大事かもしれません。
国土地理院の地図にある山川の名前に間違いはけっこう多いですが、国土地理院によれば地元自治体の言う通りに書いています、との事でした。町村名変えてしまうのも地元自治体ですからねえ。
再度のコメントありがとうございます。
確かにこの山、山梨でも「高ボッチ」としかいわないですね。
>国土地理院の地図にある山川の名前に間違いはけっこう多い。
そうですか。私も2、3の例を知っていますが「多い」とは知りませんでした。
>地元自治体の言う通りに書いています、との事。
う〜ん。白州にある日向山の北を流れる川が昔「濁川」だったのを「神宮川」に変えちゃったようなものですね。確かに地名が不変である必要はないのでしょうが、動機が不純というか・・・。
納得できる理由があるとか、長い間にいつの間にかなら、わかるんですがねえ。
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