「平賀文男」という名はまったく知らなかったのだが、「南アルプス登山の先駆者」なら大先輩。見に行かなければ、と思ったのだ。
年譜によれば、氏は韮崎市の生まれ(明治28年生)で旧制甲府中学(現甲府一高)に入学したそうで(在学中に東京に転居したので卒業はしていない)、これも私には大先輩ということになる。
氏は山梨をはじめ各地の山に登山し、その紹介の本を出版したり、地元の山岳会である「白鳳会」とも連携しながら南アルプスの登山道を切り開いていった。
(白鳳会は今もある。昨年、深田公園から茅ヶ岳に登山したとき、公園で案内していたのが白鳳会のメンバーだったのを覚えている。)
その登山には哲学があって、その一つは非常に簡素な装備で登山をしたと言うこと。
「ろくに登山もせないでいて、舶来のピッケルを振り回したり、岩登り用のザイルをひねくり廻したりして喜んでいるような人達・・・は、ピッケルマニア、ザイルマニア、或いは単なる山岳ファンとでも申すべきであるかと・・・」
を読んで私も大いに共感!。
偉大なる先人であったことを感じたのだった。
ところで氏の功績の中でおそらく多くの人が「なるほどそうか!」と思い当たるであろうものがあった。
「大正14年4月7日、白鳳会多年の懸案であった鳳凰−白根(広河原のことか?=筆者)を結ぶ近路を開くよう計画を立て道標を携えて・・・、高嶺の鞍部より野呂川に下ることができるのを幸い、これを白鳳峠と命名、樹木を伐り路を開いて道標200余枚を打ち付け・・・」(写真右)
展覧会の詳細は下記サイトで確認できるが、ここに概要を記しておこう。
http://www.nirasaki-nicori.jp/result.html?action=article&cid=1335
場所:韮崎市民交流センター1F(韮崎駅ロータリーに面す。)
期日:2012年10月28日〜2013年4月20日(土)まで。
駐車場:建物附属で4時間まで無料。
開館日:下記カレンダーにて。
http://www.nirasaki-nicori.jp/calendar.pdf
※上の写真は会場担当者の了承を得て撮影・ネット公開しています。
パソコムさんこんにちは
これ今週行きましたよ。平賀文男は、古書の「赤石渓谷」を読んでいました。大正〜昭和初期は日本のアルピニズム黎明期で、この早い探検的時代に地元、山梨県人として東京や京都の最先端の人達と同格の山登りをしていた人ですね。
北岳の積雪期初登(3月)が、たったの6日遅れで、京大山岳部の西堀栄三郎たちに越されてしまったのを北沢峠のキャンプで知ったけれど、相手を祝って交流したという話でした。
簡略な装備の思想は全く共感です。「日本の夏山は地下足袋で充分」との記述に僕も共感しました。
コメントありがとうございます。
会場のパネルで、平賀文男と交流があった山岳関係者として「西堀栄三郎」とか「槇有恒」など錚々たる名が記されていましたね。
地元にこのような先駆者にして文化人がいながらあまり知られていないというのは残念としか言いようがありません。
また会場には彼が使ったワラジなども置いてあり、「こんなんで登ったのか」と驚いたり・・。
強い意志や鍛錬した技能があれば道具などにこだわる必要なし、との考え方は私も強く共感したのでした。
山と人との交わりは地縁こそ良しと存じます。地下足袋で南アルプスの山を開いた先達を尊敬しつつ、穢れの少ない開拓期の山を歩いた人に嫉妬を覚えます。開催期間が長いようなのでぜひとも訪ねたいです。
はじめまして、jinzaemon様。
コメントありがとうございました。
まだ登山道が整備されていないような山を、まさに切り開いていくような仕事。本当に嫉妬するようにあこがれますね。
ただ、小さな展示でゆっくり見ても20-30分で見終えるような規模ですから、これだけを目的にいらっしゃるのはもったいない。山梨の山に登ったついでくらいが適当です。(開館時間は9:00-17:00です)。
場所は韮崎駅前ですからJR駅から歩いても1分(^^)。
もちろん車もOKです。
プロフィール写真を拝見したところ、平賀はjinzaemon様にピッタリの思想の持ち主のよう。
ぜひ展覧会をご覧になって下さい。
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