数年前、川越(埼玉)を舞台にした「つばさ」が放映された時、NHKは「これで全都道府県が舞台になりました。」と発表した。それを聞いた山梨県人はみな「ええ?」と驚いたものだ。「いったい、いつ山梨が連ドラ舞台になったずらか?」と。
結局NHKは山梨のことは忘れていたらしい。それで今回ついにこの連ドラが始まることになったのだった。
第一回を見ると、さすがに見覚えあるところがいっぱい。花子の家からは鳳凰も甲斐駒も丸見えだ。うれしいな(^^)
「あまちゃん」の余勢を駆って、甲州弁も満載らしい。
そこで、この連ドラ開始を祝して、ヤマレコらしく、山で使える甲州弁を拾ってみた。
これであなたも山梨県民と話が通じる!!(^^)
【てっ!】[感] びっくりした時の感嘆詞。「あまちゃん」の時の「じぇ」と同じ。
とても驚いたら「て、て、てっ!」となる。
[用例]「今日、権現に登ってきた。」「てっ!すごいじゃん。」
【えらい】[形] 「偉い」ではない。「疲れる」ということ。
[用例]「今日、権現登ってきた。えらかった。」=これは褒めているんじゃない。「疲れたよ。」という意味。
【つっぺる】[動] 滑る。だが、単にスリップするというのではなく、その後悲惨な結末になる場合に使う。
[用例]「そんなに速く歩くとつっぺるよ!」=「滑って滑落するよ。」
【だっちもねえ】[形] くだらない。
[用例]「山梨で電話をかけるとこれが本当の甲州電話。」「だっちもねえこと言っちょし。」=「くだらないこと言うな。」
【いなよう】[形] 元は「異な様」だろう。つまり「なんとなく異常な感じがする。」
[用例]「足が攣るような、いなような気がする。」=「なんとなく足に異常を感じる。」
【行けし/行っちょし】[命] 「〜し」は「〜をしなさい」という命令形。「〜ちょし」は「〜するな」という否定の命令形だ。
ただ、語感としては強い命令ではなくて、弱く「〜したら(しないのは)どう?」という程度。
[用例]「今日は雨が降りそうだから山なんか行っちょし。」「天気がいいから山にでも行けし。」
【いくじ】[名] 「いく」は甲州弁では「何」のこと。「いくじ」は「何時?」の意味。
[用例]「いま、いくじ?」=「育児」じゃない(^^)。「いくにんで山登るだね?」=パーティーの人数を聞いている。
【ずくがない】[形] じつに解説が難しい。「根性」というほど偉そうなものでなく、ちょとしたことをいとわずにするマメな性格のことだ。
[用例]「今日は寒いから山なんか行かない。」「て!ずくがないねえ。」
【はんで】[副] 急いで、の意。また「頻繁に」という意味も。「繁で。」か?
[用例]「天気が悪くなりそうだから、山行くじゃ、はんで行ってこうし。」=「山に行くなら、早めに行きなさい。」
「今日は日曜だから登山者にはんで会うね。」=「登山者に頻繁に会うね。」
【せいたらこく】[動] よけいなお節介をする。
[用例]「人のリュックを持つなんて、せいたらこいちょし。」=「余計なお節介はするな。」
【ごっちょう】[形] 面倒くさい。
[用例]「山ですれ違う人にいちいちあいさつするなんて、ごっちょうだ。」
【ぶちゃる】[動] 捨てる。ただ廃棄するというよりは「壊して捨てる」感がつよい。
[用例]「この靴、ソールがはげたから、そろそろぶちゃるかな・・・」
【ずら】[接尾] 「〜かな?」という疑問符として使うのが正しい。
ただし、まったく自信が無い場合は「ずらか?」といい、「ずら」はある程度(半分くらい)確信がある場合に使う。
[用例]「あの山、金峰ずらか?」「金峰ずら。」=「あの山は金峰かなあ?」「多分、金峰だね。」となる。
余談だが、当然だと断定する場合は「じゃん」を使う。
[用例]「あの山、金峰ずらか?」「金峰じゃん。」=「あの山は金峰かなあ?」「当然、金峰だよ。」となる。
写真は「花子とアン」オープニングタイトルの最後に吉高由里子さんが立っている場所。
某施設内のため詳しくご紹介できないが清里で私が一番お気に入りの場所だ。(おそらく)
おはようございます。
山梨弁ってどういうものか想像できなかったので面白いですねー。
えらいは三河弁でも使いますよ。
あと、ずらは奥三河山間部の人が使いますね。
方言は本当に面白いですね。
朝早くからコメントありがとうございます。
murrenさんが「EK指数」を作られた時、「えらい=大変疲れる」のニュアンスでしたので甲州弁と同じだなあと思っていました。これ案外全国で使うのでしょうかね。
「ずら」も愛知で使うとは驚きました。こちらは完全な甲州弁と思います。
甲州弁は武田信玄と一緒に普及したとかで、長野県の中部、南部や静岡の一部でも通じるようです。
「奥三河山間部」というと飯田のほうから伝わったのかも知れませんね。
また「〜じゃん。」は横浜弁だと思っている方が多いようですが、これも元は甲州弁で、山梨の生糸商人が行って流行らせてしまったのだそうな。
pasocomさんおはようございます。
私は、山梨にある高校に通っていました。
地元の同級生が、体育の時間に「ジャッシー」というのが「ジャージ」のことだというのが最初解らず、他都県から通っている友達と何のことだろうと思っていました。
おや、Chilicaさん、そんなご縁があったのでしたか!
「ジャッシー」。私も高校まで使っていましたね。何の疑問も持たずに(^^)。東京で通じないと知った時は驚きでした。
すると、Chilicaさんは、ここに書いたような言葉はあらかた判るんじゃないでしょうか。
甲州弁、わかると「花子とアン」が楽しめるだけでなく、山梨に来た時、なにかと便利ですよ。地元の人と会話できたりして・・・。
pasocomさん、つけたしです。
「えらい」については昨年の今ごろにヤマレコの質問箱で質問させていただきました。
これは広域の方言のようですね。
http://www.yamareco.com/modules/plzXoo/index.php?action=detail&qid=1193
あと、「じゃん」もよく使います。
三河弁は「じゃん・だら・りん」と言われるぐらい、語尾に、そういう言葉を使います。
甲州弁とどのように共通点があるのか分かりませんが、奥三河から信州に塩の道があったようなのでそういう影響かも知れませんね。ほとんどが山道ですが所々に馬頭観音が残っているのは名残りのようですね。
少しアカデミックになったです
再度のコメントありがとうございます。
「えらい」についてのmurrenさんの質問と回答を拝見しましたが、ちょっとズレているところがあるようです。
(そんな細かいこと言っても仕方ないのですが・・・)。
murrenさんは冒頭で「「つらい」とか「きつい」とか。。。の意味で使う。」と書いておられる。
これ、甲州弁と同じです。
しかし、「どれりゃ−」というのは違う。これは「おおいに=super、ultra」という接頭語ですよね。
「山に登って、どえりゃあだ。」とは言わなそう。
「えらいこっちゃ」も同じで、こりゃ「大変なこっちゃ」であって「疲れるこっちゃ」ではないでしょう。
こういう意味の「えらい」は確かに全国的にあるようですね。
murrenさんの話からわかってきたのは長野と交流があった奥三河地方では意外と甲州弁が伝わっていたんじゃないかと言うことです。「じゃん」も使うし、「だら」は「ずら」に似ていますね。
こんちわ〜
甲州言葉・・いろいろ特徴ありますねぇ
「えらい」は大阪言葉と同じニュアンスですね
荷物を片して・・「あ〜えらっ!」
火事が起きて・・「えらいこっちゃがな!」
上司には・・「あの人は、えらいさんやがな」
ボーナスもらって・・「えらい、ぎょうさんもろぅーたわ」
・・ずらって、昔の「細腕繁盛記」で記憶にあります(古いですが・・)富士真奈美さんでしたね
いろいろと山梨にもスポット当ってきてますね。
ふふふ・・わたしの興味も・・八ヶ岳(笑
でわでわ
私の質問は読み返していないですが、どえりゃーとえらいこっちゃは言われる通りですね。私が間違ったお礼をしていた可能性はありますね。
あと、pasocomさんは、甲州弁が三河地方に伝わったと言われていますが、これは反対で、塩が塩の道を伝わって北上したことに付随して三河の言葉が伝わった可能性の方が高いのではないでしょうか?こちらの製塩はかなり古いですからね。平安時代?山梨の人たちがイノシシの毛皮を着ていたころですかね? (言い過ぎです失礼 )
大阪で、『荷物を片して・・「あ〜えらっ!」』というのは確かに「疲れた。」の意味が強そうですね。
してみると、「えらい」=「疲れた」も甲州弁に限らず、あちこちにあるのかも知れません。
「細腕繁盛記」、あらためて調べて見ると舞台は伊豆熱川。山梨から遠くはないですが、甲州弁が伝わっているほどでもないような。
昔、ジョージ秋山の「銭ゲバ」という漫画でも「ずら」が多用されていましたが、これも調べていると主人公は松本出身という設定らしい。
WIKIPEDIAによると
「口癖である「ズラ」は中部地方の静岡県・山梨県・長野県で使われる方言である(静岡弁・遠州弁・伊豆弁・甲州弁・信州弁)。」だそうな。
山梨に限らず長野、静岡、愛知まで広がっている方言のようです。
うむ、甲州弁が三河に伝わったのか、三河弁が甲州に伝わったのか?
そこまで行くと素人の私にはなんとも言えません。
三河弁が伊那に行ったとして、それがどうして甲州に来たのか?なぜ伊豆にまで伝わったのか?
逆は考えやすいんですが・・・・
パソコンさんこんちは。
ウチのP☆も←(嫁)今回は山梨だ〜ナンテ何故か喜んでましたよ!
山梨言葉といえば一番ウケたのは「行ってコーシ!」って言われた時でした(笑)
昔、山梨の観光ポスターで「山梨にコーシ!」ってのがあってそれを思い出し、失礼ながら吹き出してしまいました
コーシは行くにも来るにも使えるんですか?
まーニュアンスはなんとなく分かりますけどね。福岡県ではコレから行くことを「来る!」って言いますから(笑)本当は行くんだけど、、
週末は山梨に来るからね!ナンテ言います
コメントありがとうございます。
「コーシ」も代表的な甲州弁ですね。本文に載せるべきだった。
この言葉、分解すると「来(こ)−+し(しなさい)」ですね。
「コー」は来なさい、という強い命令です。「ちょっと、こっちコー」なんて言います。それに「し」が付いて穏やかな言い方「来なさいな」という感じです。
「山梨にコーシ!」は「山梨に来なさいな。」となります。
そして「行ってコーシ!」は「行ってきなさいな。」という意味。「こんないい天気だから、山でも行ってこーし」です。だから、こちらもおかしくないですね。「行ってきなさい」は「行く+「来る」という二つの方向をくっつけているのではないところは同じです。
CCRさんは山梨のお知り合いも多そうだから甲州弁はそこそこ使えるでしょうね。花子を見ると「ああ、なるほど」とわかってしまうことでしょう。
こんにちわ〜。
山梨が連ドラに初登場ですか
地元は盛り上がりますね!
私は長野県ですが、安曇野が舞台になった事が
2回あります。「水色の時」と「おひさま」ですね。
他にもあるかもしれませんが、その二つだけは覚えています。
方言も長野と似ているのがありますね。
えらい、いくじ、ずくなし、せいたらこく、ぶちゃる、ずら、はこちらでも使います。
だっちもねえ、は「らっちもねえ」と言います。
塩は長野へは日本海側からと太平洋側からと
両方から入って来たみたいですね。
塩尻市の他にも上田市にも塩尻という地名があります。塩を売りながら歩いて来て、塩が終わってしまった場所だから「塩尻」なんですって。
信州の方言情報をありがとうございました。
やはり、かなり甲州弁に近いものがありますね。
「だっちもねえ」が「らっちもねえ」とも言うなら「だっち」とは「ラチが開かない」のラチが訛ったものでしょうかね。
塩尻については聞いたことがあります。静岡から富士川を伝って塩を運び、鰍沢あたりからは陸を運んだ。その末端が「塩尻」だと。
佐久に以前「望月」という町がありましたが、あれなどは武田家の家臣の「望月氏」が移住したものだそう。
こういう話からするとやはり甲州弁が長野の中部あたりに流れ込んだと想像できます。
パソコムさん
力作一覧ありがとうございます。
甲府に来て二年、なんとなくときどきホンネ会話の時だけ耳にする言葉です。僕の出身松本と、ズラ、ズクは共通ですね。多分信玄の勢力下で共通なのかな。
「〜ということだよ」「〜っつうこんだ」というのもすんなり来ます。
「ずく」は「ズク出せ」という用法があるので、「面倒くさがらずに働く小さなエネルギーの事」と説明しています。人生で大切なのはズクがあるかどうかずら〜。
コメントありがとうございます。
私のカミさんも松本育ちですから言葉はまったくyoneyamaさんと同じですよ。
「ズク」の説明。他県の人には実に難しい。いつも悩むところですが「面倒くさがらずに働く小さなエネルギーの事」という説明は「まさに!」です。
山梨の人も最近は若い人を中心に標準語を話すことが多いようです。
ですが「本音の会話」になると思わず出てしまう、これもどこの県でも同じかも知れませんね。
こんばんは。
「行っちょし」「ぶちゃる」「ずら」等、
祖母からよく聞いたことがあります。
もう90歳近いのですが元気です。
両親はほぼ標準語でしょうか。
長い間、山梨を離れていましたから。
甲州弁が聞けるのも祖母が健在なうち
だけかもしれませんね。
コメントを頂いていながら見逃しており、失礼しました。
siriusさんは実家?が山梨だとか何かご縁があったように覚えています。
山梨のお年寄りはいまでも甲州弁べたべたで使いますね。貴重です。
若者はもう使わない人が多いですね。
私は山梨で18年過ごしたあと東京で30年以上過ごしたのに、山梨に戻ってみれば「そんなこんしちょし!」なんて出てきてしまいます。
山梨を離れていても「三つ子の魂」で頭にすり込まれているのでしょう。
でも、使ってみるとなんだか楽しい(^^)。標準語では表現できない微妙な感じがにじむところが実にいいです。
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