間違っていることがあっても当方は責任を負いませんので、他の人に吹聴などしないように。
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先日、日向山の古道探索に向かって国道20号線を韮崎から北上した。レコは下記。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-429429.html
このとき右手、東側に「七里岩」と呼ばれる断崖が見える。色は赤茶色の柔らかい岩だ。
おそらく釜無川の水流の攻撃を受けて削り取られたのだろう。これが八ヶ岳の地質。
しかし反対側、西側を見るとそれに似た断崖はまったく見られない。鳳凰三山や甲斐駒に至る長い登り斜面が広がっている。
こちらはご存じのように真っ白な花崗岩質の地質。花崗岩は固くてなかなか水の浸食を受けにくい。
西側のこの斜面からは流れとともに固い花崗岩が流されて尾白川などの「渓谷美」を作っている。
八ヶ岳側の地質はおそらく安山岩だ。比較的柔らかいので水の流れに浸食されやすく、そのせいで八ツの南麓に流れる川は小さいものでも驚くほど深くえぐられているものが多い。
石の色が赤黒いのは鉄分が多く含まれてそれが錆びたものだろう、そのせいで八ツの主峰は「赤岳」と名付けられたと言われている。
また八ヶ岳は阿弥陀岳付近を中心にして巨大な「山体崩壊」をしたそうで(おばばさま、古の言い伝えはまことであった!)、その裾野は壮大なる土石流のあとなのだそうだ。火山灰主体の地盤は水が浸み込みやすく裾野にはそもそも川の流れというのが少ない。
八ツの岩として典型的なのは野辺山にある飯盛山近く、平沢峠に鎮座している「獅子岩」だ。
飯盛山は山域としては奥秩父に属するのだろうが、地質はどうも八ツのものらしい。「獅子岩」に登って足元をよく見ると黒いシャープペンシルの芯みたいな鉱物がたくさん落ちている(写真右)。これは「普通輝石」という安山岩に含まれやすい鉱物だ。
奥秩父でも花崗岩質で水晶を多く含むような金峰や瑞牆山周辺とはまったく異なる地質らしい。
安山岩も花崗岩も火山岩(火成岩)であって、マグマが冷えて固まったものだが、その時の冷える速度が違ったことが主な原因で、こうも違った地質になる。花崗岩は非常にゆっくり冷えたもの。安山岩は比較的速く冷えた時に生成される。
この二つの地質区域がぶつかり合っている鞍部がちょうど釜無川となって流れているということだ。
国道20号線を走る時に両側の山や岩を観察するとこんなことが推察されて実に面白い。
こんちわ
編笠からのくだりの岩・・
ピョンピョン跳びながら下山すると・・
ふふふ・・がらんどうのような軽い音
西穂高や白出沢、秩父沢などとは異質な音ですね
鉱物のことは知らないのですが、根本的に違うことは感じます。
山の組成などを調べるのも山の楽しみかもしれないですね。
わたしの父が、紙箱を区切って石の収集をしていたのを思い出しました。
でわでわ
今回の日記はuedaさんの日記の中、「がらんどうのような軽い音」という一言から発想したものです。
その音はおそらく鉄分が多いための金属音だったのではないでしょうか。
八ヶ岳の周辺には鉄鉱石も多く産出されます。ひょっとすると「もののけ姫」の鉱山場面も八ヶ岳から着想したのではないかとさえ思えます。
赤岳鉱泉の下の北沢は底が真っ赤です。赤岳の山肌もかなり赤いですね。
いままであまり不思議に思わなかったのですが、南アルプス側は先日の私のレコのようにどこも真っ白な花崗岩の山。まったく様相が違うのです。
北アルプスの方は火山ではなく、造山活動で盛り上がった堆積岩(海の中で固まった岩)ではないでしょうか。
すると八ヶ岳とは成り立ちがまったく異なりますから石ころ一つ取っても違うはずですね。
私も数年間の鉱物採集の成果が区切りを付けた数箱に納まっています。
鉱物採集を始めた時に「山梨ほど鉱物採集に適したところはない。」と思いました。それほどこの辺は火山活動の跡が残っているのでした。
そのラインは、フォッサマグナの西の端、糸魚川静岡構造線ですね。ぼくは、明治20年頃、鉄道も無かった時代に、こんな日本を横断する構造線を見つけた地質学者ナウマンが凄いと思います。空から見れば、大きな地形図を見れば確かに線が見て取れますが、地形と、地質を地上から足で歩いただけで何故わかるのか?と常々思っていました。ナウマンの日本探検記のようなものがあれば、探してみなくては、と思いました。
昔の人は、今みたいに便利じゃない分、今よりも山や地面を良く見ていたのでしょう。
コメントありがとうございます。
残念ながら、七里岩と糸魚川構造線は別物です。
構造線の断層はこの辺だと西に10kmほど離れた石空(うとろ)川のあたりを走っているようですね。あの渓谷に断層が直に観察できるポイントがあります。
断層はそこからほぼ真南に向かい早川沿いにも「新倉断層」という名で地表に現れている場所があります。
私が書いたように七里岩は八ヶ岳の火山堆積物が釜無川の流れで削られてできたものと思います。
こういう崖は釜無川沿いだけでなく、東側の須玉川脇にも見られます。須玉ICを出ると真正面の崖などです。
八ツの火山堆積物が釜無川・須玉川(塩川)の両側で削られ、両川が合流するところではその台地がニラの葉先のように尖っている。そこで「ニラサキ」という地名になったそうな。
僕が書いた「そのラインは」の線は、花崗岩の山並みと七里岩などの火山岩を分ける境界線という意味であり、七里岩が糸魚川静岡構造線という意味で書いたのではありません。南アルプスの花崗岩帯が断層によって途切れ、それより東側の七里岩含む広い広い地域は山梨県すべてフォサマグナの中です。その断層線はおっしゃるように石空川あたりです。
再度のご説明ありがとうございました。私は「そのライン」=七里岩と読んでしまったので。
すると、私が書いた八ツと南アの地質を分けている線=糸静構造線ということでいいのでしょうか。
実は、最初に書いたように今回の日記ではほとんど下調べをしなかったので、これは初めて知りました。
すると地質は山域で別れているのではなく、石空川あたり(南アルプスの山域の途中)で東側は八ツの地質なのでしょうか。
そうであれば、釜無川は両岸とも八ツの柔らかい安山岩地層ということになりそうですが、見たところそうは見えません。
私の方でももう少し調べさせて頂きたいと思います。
糸魚川静岡線がどこを通っているのか自分でも漠然としていましたが、今は地質図がネットで見られる時代ですから、産総研(元通産省地質調査所)のサイトで
https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php
右にある背景地図を一番上の地理院地図にすると、地質図の背景にうっすらと地形図が見えます。
石空川の標高2590mに花崗岩類1272と60の堺目がありますね。
凡例表示にして番号のところでクリックすると凡例が出ます。夢の地質図ですね。
新旧の堺はこのあたりでは2000万年前くらいです。
1272(新しい方)
中-後期中新世(N2)の花崗閃緑岩
説明: 約1500万年前〜700万年前にマグマが地下の深いところで冷えて固まった花崗閃緑岩
60(古い方)
中-後期中新世(N2)の海成または非海成堆積岩類
説明: 約1500万年前〜700万年前に形成された地層
《年代としては新しい方に入りますが、花崗岩は、堆積岩ではないので別勘定》
510(古い方)
後期始新世-前期中新世(PG3-PG4)の付加コンプレックスの基質
説明: 約4000万年前〜2200万年前に海溝で複雑に変形した地層(付加体)
糸静線は、鳳凰山のあたりでは中腹を南下し大崖頭山を通って早川流域へ下りていき奈良田の下流、西山温泉くらいから早川に沿って下り、新倉には有名なよく見える露頭があるようです。そのまま塩島から左岸側の山を登り始め薬袋(みない)で早川を南に渡り七面山と身延山の間の谷を南下していきます。
おかげで僕も認識できました。今度からもっと地質図見て入山します。
pasocomさんおはようございます。
話のポイントが違いますが、その昔のこと、八ヶ岳と富士山が高さ比べをして八ヶ岳が高かったという昔話がありますが、大崩壊とか考えるとやっぱり今の富士山より高かったんでしょうかね?
八ヶ岳も高かった方が話が面白いですが、御嶽山を遠くから見るとさらに巨大な裾野を持っていますので、その昔は軽く4千を超えていたのでは?と思っています。ダラダラの溶岩の山だとダメっぽいでしょうが…。
「八ヶ岳と富士山が高さ比べをして八ヶ岳が高かったという昔話」は私の日記「稲子岳は移動中」の中でuedaさんへのコメントで書いています。
「「昔、八ツの神様と富士の神様が背比べをしようと互いの頭の間に樋を渡して水を流してみたそうな。
すると水は富士の方に流れていった。気位高く気性の荒かった富士の神様(女神)は怒り狂って樋を掴むと八ツの頭を叩きつけたんだと。
八ツは頭が割れて、以後、富士山よりも背が低くなってしまったんじゃ。どんと晴れ。」
調べて見たら下記のページが見つかりました。それによると
「今から20万〜25万年前に(略)現在の八ヶ岳連峰の最高峰赤岳の西にある阿弥陀岳付近を中心に数度の噴火を繰り返し、3,400m程の高さに達していた(略)古阿弥陀岳が、アメリカのセントヘレンズ火山や磐梯山のように大規模な山体崩壊を起こして・・・」
のだそうです。残念なことに富士山より高かったってことはないようですねえ。
http://www.ypec.ed.jp/yamakai/yamakai%20104.html
まあ、それにしても今の赤岳よりも500mも高かったわけで、いやあそれに登りたかったですね。
山体崩壊というと一番に会津磐梯山を思い出しますが、御嶽山も山体崩壊でしょうか。あれが尖っていたらすごいでしょうね。いつも八ヶ岳から眺めて「デカイ山だなあ。」と感心するくらい巨大ですから。
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