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2014年04月28日 07:36山の雑学全体に公開

続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」

先日、日記で「八ツと南アの地質がぶつかるところ」を書いたところ、yoneyamaさんから「花崗岩の山並みと七里岩などの火山岩を分ける境界線が糸魚川静岡構造線ですね。」というコメントや「産総研のサイトで地質図が閲覧できる」というリンクを頂いた。
https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php
http://www.yamareco.com/modules/diary/21844-detail-70837

「八ツと南アの地質がぶつかるところ」の冒頭に書いたように、日記を書くに当たって何も科学的な下調べをしていなかったので、yoneyamaさんご提示のサイトやその他サイトをあれこれ調べて、ようやく話の全体が理解できてきた(と思う・・)ので、再度このことについて書いておこうと思う。

「糸魚川静岡構造線」は日本列島のほぼ中央部を南北に貫く大断層線だ。その名のとおり、北は糸魚川市に始まり、南端は静岡市まで。静岡県内でははっきりした位置が不明らしいが、山梨県内での位置はかなり明確にわかっているらしい。
そのおおよその位置は諏訪湖付近から富士見を通過、釜無川に沿って南下するものの、白州で釜無川から離れて日向山の東を通って御座石鉱泉や青木鉱泉のある谷を抜け、大ナジカ峠当たりで早川側に出て、ほぼ早川沿いに静岡に抜けていくというもの。(写真左)

これに対して七里岩は当然ながら釜無川に沿ったまま小淵沢から韮崎まで続いている。
yoneyamaさんからご紹介いただいた「地質図」(写真中)を見ると、この様子がよくわかるようだ。
日向山や鳳凰山がある南アルプス側、ピンク色の部分は比較的古い(1500万年前〜700万年前)花崗岩質の地質。そのちょうど東の脇を糸魚川静岡構造線(赤線)が走る。その東のベージュや黄色部分(甘利山など)は主に古い(1500万年前〜700万年前)堆積岩地質だそうな。
これに対して、釜無川を挟んだ東側の薄茶色部分は全面的にずっと新しい(170万年前〜現在)火成岩(私の説によれば安山岩)が山体崩壊で流れた「岩屑なだれ」の堆積物だとのこと。
私が日記に書いたように釜無川の東西でまったく地質が異なっていることがよくわかる。

自分なりに理解したこれらの地質の断面イメージを書いてみたのが写真右だ。
おそらく、山梨の韮崎あたりを東西に切ってみれば、こんな状況か・・・。
八ヶ岳連峰というのは古い地層が陥没してできた「フォッサマグナ(大地溝帯)」の中にずっと新しくマグマが吹き上げてできた火山群ということになるようだ。

余談だが、糸魚川静岡構造線と混同されるが、フォッサマグナは別物だ。フォッサマグナは「地溝帯」といって陥没によって生じた溝状の低地のこと。フォッサマグナを提唱したのは明治政府によって招かれたドイツ人の地質学者ナウマン博士だという。
彼は飯盛山山麓の平沢峠(獅子岩のあることろ)で景色を眺めた際にその発想を得たのだそうだ。峠には博士の着想を記す碑が建っているらしい。
http://silent-forest.cocolog-nifty.com/ht/2008/11/no64-78bf.html
ふふふ、ナウマン博士も私と大差ないんじゃないかい???

「フォッサマグナとは」
http://www.city.itoigawa.lg.jp/dd.aspx?menuid=4564
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コメント

RE: 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
おはようございます

なるほど・・です

根本的に地質の成り立ちが違うのですね・・

編笠からくだりの岩と、西穂高への岩の感触の違いは、そこだったんですね

せっかく、いろんな山に行くんだから、ちょいと鉱物に興味を持って、調査するのも一興ですね

ふふふ・・普通でも下山が遅いのに、余計に遅くなるかも・・ですね

        でわでわ
2014/4/28 8:03
RE:uedaさん/ つい石を拾ってしまいます
コメントありがとうございます。
私は穂高などの北アルプスはほとんどわかりませんが、地質図を見ると、西穂山荘付近は「花崗閃緑岩」、そこから西穂高に向かう稜線や山頂周辺は「軽石や火山灰」とあります。
uedaさんがおっしゃる岩は花崗岩の方でしょうか。
ちなみに花崗岩ゴロゴロで有名な燕岳を調べると大天井岳あたりまで一面に「花崗岩」となっていますので、なるほどです。
山梨でも甲斐駒、鳳凰一帯、私が先日登った日向山などはすべて花崗岩ですね。

こうしてみると日本の山はあらかたは火成岩質ですね。ただそれが花崗岩などの深成岩(深いところでゆっくり固まったもの)だったり、安山岩など急速に冷えたもの、果ては噴火で出た溶岩や火山灰そのもの(富士山、浅間山、桜島など)という違いくらいで。

私はもともと鉱物探索から山歩きを始めたくらいなので、足元の石が気になって仕方ない。荷物になるのであまり拾わないようにしたいのですが、石は登りの時にこそ目につくのです。(鉱物探しの鉄則は山の方を向いて探せ!です。)眼に近いからですね。
従って余計な石をいくつも拾い込んで往復するなどと言うこともままあり・・・。遅くなりますねえ。
2014/4/28 9:12
RE: 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
鳳凰山の花崗岩(赤い部分)や八ヶ岳の安山岩は、どちらも火成岩といって、糸静線東西の新旧地層とは別物です。新旧境は2000万年です。年代的にもどちらもそれより新しいものです。1500万年の甘利山も新しい方です。
僕の前の記述も間違っていましたね。すみません。
鳳凰山の花崗岩体が新旧境に割り込み、この辺では、厳密には境が無いということになるのかな。でも右図の断層の赤線は花崗岩体との間に引いてありますね。
古い電話帳と新しい電話帳が、グニャグニャ切ったり貼ったり、曲げたりして合わさっているところの間にめり込んでいるのが鳳凰山の花崗岩体、新しい方の電話帳を突き破って、あふれちゃって固まっているのが八ヶ岳という感じでとらえています。
2014/4/28 8:23
RE:yoneyamaさん/ 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
この件では再三のコメントありがとうございました。
「鳳凰山の花崗岩や八ヶ岳の安山岩は、・・・糸静線東西の新旧地層とは別物です。」
そうですね。やはり、構造線(断層)と南アと八ツの地質の違いは別の話のようです。

そもそも、この地質図とはどの程度の深さまでの話なのか?それが良くわかっていません。地質・地層だって立体的に重層していると思うのですが・・・
「右図の断層の赤線は花崗岩体との間に引いてあり」ですが、地中深くでは花崗岩が赤線の東にはみ出ているとか、その逆だとか・・・。
この辺のわかりにくさから自分なりに断面図を書いては見たのですが、まだしっくりとはしないですね。
(断面図の色を地質図に合わせて直してみました。最初からこういう色にしておけばわかりやすかったかも)。
まさに「鳳凰山の花崗岩体が新旧境に割り込み、この辺では、厳密には境が無いということになるのか・・・」
まあ、地中のことですからあちこちでボーリング調査でもしなければ本当のことはわからないのかも知れません。
2014/4/28 9:21
RE:yoneyamaさん/ 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
>地質図とはどの程度の深さまでの話なのか?
地質図とは地表面に見えている岩石露頭を観察して作る地表図です。堆積岩はもと水平に積もった層が捻じ曲げられて波打っているので、層理面の傾斜と方角を測り、たくさんの場所で露出している情報を集め照らし合わせ、地下の褶曲具合を想像し、証拠を集めて仮説の図を描くのです。おもしろいものですよ。ボーリングすれば動かぬ証拠になりますが、金がかかるので、ダムや高速道路や原発でもつくる機会がなければそう全部はできません。
2014/4/28 10:59
RE:yoneyamaさん[2]/ 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
再コメントありがとうございます。
やはり私が思っていたように地質図と言っても表面上の地質だけなのですね。その地下では地層がどのように褶曲しているかはあくまでも想像だと。
ボーリングをたくさんすれば、と言うのは確かに予算が無ければできない話。私の仕事でも少ない予算で効率的に地下の様子(地震耐力など)を知るにはどこを掘ったらいいか?などと頭をひねったものでした。

今回、いろいろ調べたものの、私が書いたような断面図は見つかりませんでした。で、仕方なく自分の想像で書いたのですが、やはり「わからない」というのが本当なのでしょうね。
2014/4/28 11:22
RE: 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
とても興味深い日記で熟読しちゃいました
たまたま先日お酒の席で地質学者の方と南アルプスの地質や地層のお話で盛り上がっていたところなので尚更。

ボクはド素人ですのであまり難しいことや正確な事は詳しく分かりませんが地質の調査は沢に沿って断層を事細かに調べて行くようで、ボーリングまでしてる訳じゃなさそうです(お話しした方が年配の方なので一昔前の事かもしれませんが・・)掘り下げて行けばもっといろんな発見があるかもしれませんねぇ。
2014/4/28 10:34
RE:mamepyonさん/ 続「八ツと南アの地質がぶつかるところ」
ご訪問とコメントありがとうございました。
地質学者さんと酒席で盛り上がるなどとはなんともうらやましい話です。
私もまったく同じなド素人ですから、書いていることのレベルはあくまでも素人のレベルです。
yoneyamaさんは地質には相当詳しいようですのでいつも勉強させていただいていますが、やはり「地質の調査は沢に沿って断層を事細かに調べて行く」というような地道な調査だとおっしゃっていました。
ボーリング調査となると機械一式を山中に持ち込まなくてはならないし、足場の悪いところで櫓を組むのも難しいでしょうね。おそらく今も同じような手法で調査しているのではないでしょうか。

南アルプスでは今度、リニアのトンネルを掘ると言うことであちらこちらで地質調査もされるのでしょう。
ジオパーク登録という話もあるようですが、大事な自然を残しながら進めて欲しいものだと思います。
2014/4/28 10:45
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