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こういう試験は会場に大学の教室などを借りる都合上なのか、8月が多いような気がする。
私もかつて8月に建築士の試験を受けたのを思い出した。しかしその直前にはこんなことが・・・。
もう何十年も前の8月のこと。シベリアあたりで皆既日食があるのだという。当時のシベリアは政治上の問題でそうそう簡単には行けなかった。
しかし北海道の北まで行けばかなり欠けた太陽を見ることができるのだと。
そこで、ドライブを兼ねて当時大学生で夏休み中だった弟を誘って北海道に出かけることにした。
今のように道路事情が良くなかったその頃、都内の渋滞にイライラしながら東北道の浦和ICに入る。
そこからはもうできる限り北を目指すばかりだ。しかしといっても徹夜で走るわけにもいかない。
宮城を過ぎ岩手県に入ったところでそろそろ今夜の宿を探そうかということになり水沢ICで降りた。
今のようにネットの発達していなかった時のことだ。
公衆電話ボックスに入り、職業別電話帳の「ホテル」を開く。ここが難しい。
「ホテル」の中には高級シティホテルからビジネスホテル、旅館、はてはラブホテルまで全部入っているのだった。
これを見分ける手がかりは名前だけだ。むろん「ホテル・ラブリーナイト」なんてのは即パスだ(^^)。また「○○グランドホテル」なんてのはちょっと敷居が高い。
そんな風に考えながら電話帳を見ていくと「水沢グリーンホテル」というのが見つかった。
「グリーンホテル」!なんていい名前だ。高そうでもなくいかがわしくもない。いかにも普通のビジネスホテル風!安心の名前。
で、電話して行ってみるとこれがもう想像通りの田舎のビジネスホテルで、値段もリーズナブル。すこぶる満足だった。
次の日は青函連絡船で函館に上陸、そのまま札幌まで走った。夜遅くなって電話帳から「札幌グリーンホテル」を見つけて電話。スムースにチェックインする。
翌日は旭川からさらに北の「比布」(ぴっぷ)なるところまで行って日食を観測。摩周湖を巡り釧路を経て帯広で時間となる。
ここでも「帯広グリーンホテル」へ。もう面白いように当たる(^^)
翌日は、阿寒湖、屈斜路湖などを観光して苫小牧に宿を取る。次の日にはフェリーで30時間かけて東京に戻る予約になっていたが、それはその数日後が私の建築士試験であって、せめて船内で勉強しようという魂胆があったからだ。
苫小牧の街に入ると例によって公衆電話ボックスに。これまた「苫小牧グリーホテル」を見つける。これチェーンでもないだろうにどこにでもあるなあ・・・。
で、電話して今夜二人で泊まりたいと言うと・・・
「はい、ああ、いいですけど・・・。トマコは初めてですか?」なんて聞くのだ。
「はあ?トマコ?」。ああ、苫小牧のことかい。地元じゃそう呼ぶんか?
「はい。」と答えたけど、なんだか不思議な感じだった。
教えられたようにホテルに着いてみると驚いた。こりゃ、どうみてもラブホテルだ。
しかし、いまさら別のところなど探しようもない。もう眠れるところならこの際どこでもいい。
怪しげなフロントでチェックインして部屋に入るとこれが和室。12畳くらいか。
しかし驚いたのは、その奥に一段高くなった4畳ほどの別の間があり、そこに二人分の布団が延べられていたことだ。「う〜む・・・。これが本当の『床』の間か!」と感心したりして(^^)。
またその布団の金糸銀糸のきらびやかなこと!とほほ。恥ずかしい。
まあ、そんなんで何とか眠った翌朝、枕元で鳴る電話で起こされた。
モーニングコールを頼んだ覚えはないけど・・・と思いながら受話器を取ると、
「お目覚めですか、いまからお部屋に朝食をお持ちします。」だと!
「いや、頼んでませんが・・」というと「これはサービスです。」とのこと。
あり得ないでしょ!ラブホテルで朝食サービス。それも部屋に。
普通、こういうホテルは会計時でさえスタッフと客は顔を合わせないようにできてるもんだ。それなのに・・・・
ホテルのご主人と奥さんが運んできた朝食はトースト、ハムエッグ、焼き鮭など。間に合わせの材料で一所懸命作った感が満載だった。
「今度またトマコに来たらお立ち寄り下さい。」と言われて宿を出た。
「二度と来るわけないっしょ!」と思いつつ、なんだかほっこりとしたトマコの一夜だった。
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現在「苫小牧グリーンホテル」をネット検索するといかにもビジネスホテルだ。私達が泊まった宿はどうなってしまったのか知る由もない。
ふむふむ・・いろいろやっておられますなぁ(大笑
若かりしころの思い出・・
二十歳前後って興味だけでパワー全開でしたね
土曜日に突然、「東京へ行こうか」なんて友達の車三台で意味もなく東京タワーに登りに行って、ボーリング場で遊んで帰ってきたりしてました(大笑
でも皆既日食なんて、pasocomさんらしいですね
でわでわ
若いときのそんなクセが抜けきれずに突然、北アに向かって走るのかも知れないですね(^^;
天文マニアでしたので、皆既日食というと見に行きたかったですね。本当はソ連船にのってオホーツク海に出る予定だったのですが、政治的問題で政府から出港禁止命令がでてしまったのでした。
その後皆既日食を求めてはジャワ島まで行きましたが、その珍道中はまた別の機会にでも書きましょうか・・・。
それにしても今となっては北海道まで車を運転していくのは無理かもしれませんね。やはり若気の至りでしょうか(^^)
uedaさんも東京まで出かけていたなら八ヶ岳くらいは半行程ほど、なにほどでもないでしょう。
当時はまだ高速道路がいまほどできておらず、東北道も盛岡の先で終わっていましたね。北海道にはまるでなかったので全行程一般道でした。
ネットもありませんから、こんな珍事件になってしまいますね。いまならあり得ない話です。
こんにちわ、pasocomさん
懐かしのジャケ写に釣られてしまいましたぁ〜(笑)
きっと、ホテルのご主人と奥さんは当時田舎ではまだ珍しかったゲイカップルを観察するために朝食のサービスと称して確かめに来たのかも・・・(笑)
コメントありがとうございます。
写真はいうまでもなくイーグルスの「ホテルカリフォルニア」。これに反応していただけるとかなり嬉しいです。
「ゲイカップルを観察するために・・・」。なるほどそういう風には考えませんでした。
もしそうだとしても、なかなか手の込んだ朝食を頂きましたよ。
私にとっては、おそらく人生で一度きりのホテルでしたが、思い出すとなんだか「ホテル・カリフォルニア」だったなあ、と。(意味不明ですが)、思うことでした。
pasocomさん、こんにちは。
私の近所にも立派なグリーンホテルがありますが、農協系のホテルだと思います。
「グリーンホテル」というのはそういう商標だと思っていたのですがどうも違うようですね。
それにしても、畳でしかも朝食付のラブホというのは確かにすごいことですね
コメントありがとうございます。そろそろ日本時間になれてきた頃でしょうか。
「グリーンホテル」というのはチェーンでもないようで、実にたくさんあるホテルのようです。
東京にも「水道橋グリーンホテル」なんてのがありましたが・・・。
こういうホテルは日本だけのものでしょうか。ヨーロッパでもある??
朝食はホテルの方が特別にあつらえてくれたんだろうとは思うのですが・・・。
北海道のグリーンつながりで一言。とても若い頃、函館グリーンホテルと小樽グリーンホテルに恋人と泊まったことがありました!選択の基準はやはりその、「安心の名前」の雰囲気ですね。函館の方は、二十年ほど経って住む事になって、記憶を頼りに行ってみたら、街全体の景気がさびれていたのもあるけど、そのホテルはさびれ放題ながらまだやっていました。しかも函館で一番安い古宿として。一泊3000圓くらいだったかな。手慣れた長期旅行者が使う、いい感じのホテルになっていました。今もあるでしょうか。
韓国では、出張でも連れ込みホテルでみな平気で泊まっていました。凄い内装だけど、安くて豪華でした。ご飯はでなかったですけど。
コメントありがとうございます。
グリーンホテルは「安心の名前」。まさにそういう基準でした。
それにしても二十年も前に泊まったホテルの名前を覚えていらっしゃるとは・・・・。
やはり「グリーンホテル」というのは案外インパクトというか印象に残る名前かもしれませんね。
函館にも小樽にもあると聞いて笑ってしまいます。本当にどこにでもあるホテルですね。しかも決して一流ではない。いい雰囲気です。
ラブホテルがこの名前を使ったら・・・・、やはり混乱しますねえ・・・・。
こんばんは♪
私の名前が出てて一瞬、驚きましたが
たのしく読ませていただきました。
試験は、やはり大学の教室を借ります。だから8月なのかな。夏休みと冬休みと、年2回あればいいのに〜
pasocomさんは、昔から自然が大好きで、好奇心があって自分の目で見たい!とそのまま現在に至ってるんでしょうか? 当時も師匠は男前だったんですね 笑
(あ、無許可で師匠と呼んでいますがいいでしょうか?弟子はとってないと言われちゃいますかね!?尊敬する人という意味です)
ところで師匠は月は見ますか?
今年のスーパームーンは8月11日03:09となっています!その日、晴れたら月をみたいなー♪と思っています。月なら自宅から見れるから、遠く離れた山友やいろんな人と共感出来るからいいですよね。
勝手にお名前を出してしまって申し訳ありません。
ado-yoさんの日記を読んで、コメントにも書きましたが自分の試験の事を思い出していたのでした。
いま思えば試験の直前にしては余裕の周遊旅行をしたものでした。
帰りのフェリーの中では弟はすごい船酔いでしたが、私はそれどこじゃない。テキストを持ってきていた(^^)ので、それを広げて勉強していました。いかにも泥縄です。
天文マニアになってまず誰もが望遠鏡を向けるのが月ですね。でも本当のところ、月があると星が見づらいので月がない時間を狙って活動するのがマニアです。
でも夏の夜に月が出ているとなんとなくうれしいですね。真夜中でもちょっと散歩に出かけたくなる。いや、狼男じゃありませんが・・・(^^)
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