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知識人も芸術家もお構いなしにシベリア送られ処刑されたスターリン時代、行列の買い物に明け暮れたブレジネフ時代、ペレストロイカと体制崩壊を経て、何を拠り所にして生きるのかわからないエリツィン時代、各々の時代を通じた具体的でリアリティーアリアリの細かな記述にとても吸い込まれます。どれも読み始めると、あれこれはさっきの話のあの人かな?と思い始めるところが面白い。
マガダンはじめスタブロポリ、オデッサ、チェチェン、スベルドロフスク、スィクティフカル・・・。ロシアの地方都市で、名前と位置は知っているけど何も知らなかった町があちこち登場する。ロシアって広大だけど、こんなに西に東にダイナミックに引っ越したり強制移住になったりする。東経で30度から150度まで。これがやっぱり驚き。ソ連人の日常って、いまでも十分小説になる。中でも心に残ったのはイタリアの恋愛・バナナの行列、皮下の骨折、イチゴ色の口紅、上階の住人など。
yoneyamaさん。ロシアの作家の小説は、古典ともいえるトルストイ、ドストエフスキー、チェーホフを、そしてソルジェーニツインの小説を半世紀前に読んだきり読んでない。ソルジェーニツインの「イワン・デビソニッチの一日」とか「癌病棟」とかは面白かったと記憶している。これらを読んだ自分の感想は、いまだ、何かしら「古いシステム」から個人の解放が行われていないという、重苦しさを、ロシアの小説は表しているように見える。「古いシステム」とは政治・宗教などです。ロシア以外の西洋はすでに「古いシステム」から個人の解放は済んでいると思う。
やはぎさんの文脈ですとトルストイ、ドストエフスキー、チェーホフの時代は革命前の、イワンはスターリニズムの古いシステムとの葛藤が大きなテーマでしょうね。ロシア以外の国にはわかりやすい「古いシステム」は本当に無いのかな?今回の小説はそれを三世代100年近くを描くことで、普遍化しているように思えます。
いつの時代もどこの地域でも、古いシステムとの葛藤があり、それは現代日本のわたしにとっても大きなテーマであることを日々確認したいと思います。
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