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軽量化した装備はありがたいものだが、冬など長い山となると20kgを超えるのは仕方ない。夏の沢でも深い山なら最低4日くらいはかかるので12kgくらいか。ジカタビ、テントフリー、ストーブフリーで軽量化してはいてもメシは省けない。水は沢だから、ほぼいらない。
重い荷物を担いで日常生活を歩き回っていたヒマラヤの住民はたしかに、裸足の上にいい上半身と足腰をしていた。いま日本の山道で会う登山愛好家とは体つきが違った。人の体は暮らしぶりでできるから、これは当たり前だが、重い荷物を背に担ぐということは、いま日本では山でしか行われない。
ある程度重いもの(5kgくらい)をある程度(5分以上)移動させるなら、手に持ってはいけない。腱鞘炎になるし嫌になるから。背中の高いところか、首の後ろか頭の真上が一番楽だ。ヘソの後ろの臍下丹田という重心の真上に置くことができるからである。だから同じリュックの中でも、重いものは底の方ではなく、上の方に置けば、ちょっと前かがみになるだけで荷物の重心が臍下丹田の真上に来るから楽なんだ。冷蔵庫でもTVでも、重心の真上にさえ置ければ、驚くほど楽に運べる。天秤棒の支点は肩ではなく、首の後ろのところなのだ。あそこはツボ押しにも最適。
お盆の間、多くの旅行者を駅などで見たが、いまの流行りはトランクだ。あれは2000年くらいからだろうか。トランクはビルディング内の平らな床でのみ楽をできるが、ほとんどのガタガタ路上や階段では裏目に出るし、持ち上げるのに力もいる。乗り物の中では場所を取ってタイヘンだ。広げるのだって場所をとる。ほしくない。同じ体積なら70リットルのザックのほうが、機敏に動けると思う。
そもそも、なんで旅行ごときで、あんなにものを持ち運ぶのかな。街の旅行なら寝具も鍋も食料もいらないというのに。本当に全部使うのか?
トランクはきれいで、どこかツルツルしていてクルマに似ている。クルマ好きの心理と近いのかもしれない。クルマと同じで駐車場所、移動にも実は不便だ。
歳を取ったからと言って、軽量な荷物だけの山を登っていると、胸筋、肩筋が減る。
写真は、1996年マナスル山麓サマの村にて
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