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私の最新レコ「御題目尾根で登る三ツ頭、権現岳」の中、自分で「真教寺尾根だって相当いわくありそうな名前です。」と書いた。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-472177.html
このレコをきっかけにnori3さんからは八ヶ岳南麓の尾根名が詳細に記された地図が載っているサイトを紹介頂いたのだが、それには私が登った尾根は「材木尾根」と記されている。ネットでも「材木尾根」の方が多いくらいだ。
こう調べていくと、尾根の名前というのはとてもわかりにくい。
沢や谷については昔から明確な名前が付いていたらしいのだが、これは「川」の上流ということだからだろう。
一方「甲斐国志」や「甲斐国地名一覧」などを読んでも、どこにも「○○尾根」などという地名は出てこない。
してみると尾根に名前が付くようになったのは明治以降のことなのだろうか。
先日から読み始めていた「八ヶ岳、もう一つの魅力／祈りの峰への道と石神仏」という本の中に
「安都玉村（あつたまむら＝いまの北杜市内）にかつて『眞鏡寺』という寺があり、そこの修験者コジマシンキョウなる和尚が苦労して赤岳への道を拓いた。」という記録があるとのこと。
調べて見ると「甲斐国志」の「仏寺・修験の部」のところに確かに「眞鏡寺（長澤村東井出）」というのがある。寺とは言っても修験道の道場みたいなものだったようだ。
「もう一つの魅力」の方には、眞鏡寺はその後東井出に移転して、現在は「八峯赤岳神社」となっているとも。
してみると、もとの『安都玉村の眞鏡寺』は甲斐国志が書かれたよりも以前のことなのか。
しかし、どうも不思議なことが書いてある。
現在、この八峯赤岳神社の境内には「圓光坊」という修験者の名前が刻まれた石碑があるんだそうだが、県界尾根の大天狗のところにある自然石にも同じ名前が「開山圓光行者」と彫ってあるという。おそらく山梨側の赤岳開山行者であろうとのこと。
また、この眞鏡寺には大門沢に拝殿があったが流失したとも。「大門沢」？？
これらから考えると、この眞鏡寺の修験者達が拓いた登拝道とは、現在の「真教寺尾根」ではなく「県界尾根」じゃないのか。もしそれが本当ならそれが、どうして隣の尾根に名前が移ってしまったのか？
「もう一つの魅力」には、こんなことも書いてある。
「古地図などから昭和初頭には真教寺尾根は『五葉尾根』と呼ばれていたらしい。それが昭和7年の記録では『真教寺尾根」と変わっている。」と。
この昭和7年の記録というのは天女山下で青年道場を開き、真教寺尾根を本格的に開拓した坂本某氏の記録だという。
わずか数年で尾根の名前が変わってしまったと？
だとすると真相はこうじゃないか。
その坂本某氏こそが、それまで真教寺尾根と呼ばれていた（かもしれない）尾根の名を隣の尾根に移してしまった張本人。おそらく彼は自分が開拓した登山道に由緒ある名前を付けたかったのだ。
で、牛首山経由のその尾根を「真教寺尾根」とし、奪ってしまった方の「本当に由緒ある登拝道」の方には「県界尾根」という無味乾燥な名称を与えたのだ。どう考えたって「県界尾根」って取って付けたような名前だしねえ。
まああらためて考え直しても、真教寺尾根にはその名はともかく道中に遺構のようなものがまるでない。これはこのルートが新しい道だというなによりの証拠だろう。
一方県界尾根の方には小天狗、大天狗やら石碑やらがいくつも残っている。
「県界尾根」こそが本当の「真教寺（修験者の）尾根」だったのだ。
上写真は赤岳から見下ろす「県界尾根」（左）と「真教寺尾根」（右）。
おはようございます。
三週連続で八つ中止ですう。
愛する両尾根の歴史と推察、興味深く拝読しました。
草鞋姿を追って歩くのもおつなものです。
前回気づいたのですが、頂上山荘の裏手から見下ろすと県界尾根と真教寺尾根の間にも小尾根がありますね。
大門沢をひたすら遡るとあそこからも登れるのかなあ、と思いました。
意外に祠とかあったりして。
こちらは現在青空。良い天気ですぞ(^^)
でも午後には夕立、場合によっては激しくとの予報だから怖くて山には行けません。今日は中止で正解でしょう。
県界尾根のルートについて以前もmmgさんから小天狗に登らずに沢を遡上して大天狗あたりに一気に登る道があったんじゃないかという情報を頂きましたね。忘れていました。
「県界尾根と真教寺尾根の間にも小尾根があり」というと、それこそが、その問題の「古ルート」なのかもしれませんね。
「圓光行者」という石碑が小天狗じゃなく大天狗にあるのも、沢から登った尾根上こそが登拝道の入口だと考えたからとも思えます。これは確認したい話ですねえ。
「意外に祠とかあったりして」。もう私を釣るコツを心得ていますね（^^)
困ったなあ。だんだん考古学者みたいになってきた。
おはようございます
先だって夜中に真教寺尾根を行ったときに、ちょいと驚きました。
賽の河原・・これは塞の神からきたと言われる名前
ご存知のように親に先立って死んだ幼子が、親に先立つ不幸を犯したためにここで供養の石を積むという・・
ふふふ・・塞の神（さえのかみ）は、それこそ県界の意味です。
村の境界にある塞の神の石を取り合いしたような話もありますね。
これ、pasocomさんの推理とおりに真教寺尾根は元来、県界（境界）尾根だったように思いますね（根拠は薄いです・・賽の河原となずけたのが、塞の神の由来であるならですね）
なんか面白くなってきましたね
八ヶ岳って不思議な山です
法華経一部八巻二十八品
八葉蓮華の富嶽と競い合った話と、いみじくも八という名をいただいた山岳名・・
仏教的には爾前経といわれる峯が林立する経文と仏教最高峰の法華経の独立峰の対比でしょうね
ふふふ・・真教寺の名は頂に通じて、賽の河原は、そこで行止りと考えるのが、たぶん当時の宗教観でしょうね（自信はないですが・・）
大沢が三途の川ならそこから鬼が上がってきて積んだ石を壊したのかもしれないですね。
大沢が地獄谷とも言うなら、正解かもですが（笑
でわでわ
コメントありがとうございます。
「賽の河原」という場所。実際にはまったく大した景色の所じゃありません。大仰な名前だなあ、というほどにしか思っていませんでした。
今回の調べでは、いまの真教寺尾根ルートというのは昭和期になって開拓された比較的新しいルートのようだということです。
ただ、「もう一つの魅力」の本によれば、牛首山には明治時代に奉納された「摩利支天」の石碑が残っているそうですから、少なくともその辺までは古くから人が立ち入っていたのでしょう。「賽の河原」もその頃の命名かもしれませんね。
しかしuedaさんのコメントから「県界」は「結界」だったか？という推理も。
現在の真教寺尾根の西側、権現岳との間の深い谷は「地獄谷」という名です。いかがでしょうか？
あらら・・いろいろ出てきますね
山レコ考古学部の部長就任！ですね・・
名体具用（みょうたいくゆう）の原理という小難しい言葉があります。
仏教発で俗化して言うには、「名は体をあらわす」ですね
地方の覇者が、名前を変えない限り、古来の地元の神社、仏閣の神主、僧侶が命名したとすれば、かなりの根拠があると思えますね・・
地獄谷と賽の河原・・なるほど・・ますます興味深い山域ですねぇ〜
地蔵尾根の地蔵は子供の済度を助ける子供の守り神・・
わたし思うのですが・・権現・ギボシ・阿弥陀・奥の院、編笠、硫黄（＝地獄と判別して）などは明らかに曼荼羅の仏教に関する単語ですよね
赤岳の名は、そのまま見た目を言葉にしたような名前・・
わたしの知る限りの赤・・紅蓮地獄・・
調べてみると赤い蓮・・民衆救済の意味もあるらしいですが・・
赤岳の古来の名称などないのでしょうかね？
でわでわ
山岳考古岳部長殿
山岳考古学部、研究員 ueda
再度のコメントありがとうござます。
赤岳についてはうかつには書けなそうです。
なぜあれほどの山が江戸時代まで「開山」されなかったのか、山梨の方からはほとんど無視だったのか？またあっけないその名は？それ以前の呼び名はなかったのか・・・。
私もずっと以前は地面や岩が赤いから赤岳なんだろうと単純に理解していましたが、江戸時代に開山した修験者がそんな印象で名前を付けたとは到底考えられませんね。
ただ「赤」というのが現代人が考えるような単純な「色名」なのではなく、別の意味が込められていたのかもしれません。調べて見ると下記の神社の説明HPがありました。いわく、
「朱色は、魔力に対抗する色ともされていて、古代の宮殿や神社仏閣に多く用いられています。
神道いろはでは、
朱色は生命の躍動を現すとともに、古来災厄を防ぐ色としても重視されてきました。このため古くは御殿や神社の社殿などに多く用いられており、稲荷神社の鳥居の朱色もこの影響によるものと考えられます。
つまり、赤色（朱色）の意味としては、
朱色が魔力・災厄を防ぐ色と考えられていた。
神様のお力を高める役割りがある。
と、いうことが言えそうです。」
http://oonominato.or.jp/knowledge/20130822/
神社仏閣に使われる朱色を「ベンガラ色」などとも言うようですが、これ、インドのベンガル地方伝来の染料で酸化鉄の色だそうな。
http://www.kosyokunobi.com/benigara%20guide/benigara.html
赤岳の赤さも岩の中の鉄分が酸化した色でしょうから、まさに「ベンガラ色」なのでしょう。すると昔の人が「これは神社の赤だ！」と驚き、崇めたのかもしれませんね。
いや、これはまだ「仮説」にもなっていませんが・・・。
pasocomさん、おはようございます！
面白いお話ですねぇ。
中央分水嶺歩きもこだわっている身としましては、とても興味深いお話です
野辺山峠から赤岳へ向かう県界尾根の方が、中央大分水嶺ですからね。
分水嶺は国境として生活圏を分断し、見ると県境や市町村境となっている所が多いです。
確かに県境ではあるので、「県界尾根」ですが、そのまんまストレート過ぎますね。「県界五葉尾根」とかの方が良かったなぁ。
「五葉尾根」も素敵なのに。紅葉が美しいのでしょうか？
おはようござます。
火曜山行多いCasuminさんも今日は「自宅謹慎」な身でしょうか？
八ヶ岳の県界尾根は他の場所に比べると比較的におだやかで、見た目にもどこが県境なの？という感じですねえ。
国道141号線を走っていてもどこで県境を越えたのか、わからないほどです。
そのため、清里（山梨）と野辺山（長野）はなんだか別の県という感じがせず、一体の観光地になってますが・・・。
いつ誰が名付けたのか。県境だから「県界尾根」って芸がないというか、そのまんまですよね。そのセンスのなさはおそらく相当現代に名付けたんじゃないかと思います。（だから坂本某氏犯人説ですが）。
Casuminさんは「五葉尾根」の「五葉はカエデ説」ですか。私は単に尾根が五本に開いているのか？と地図も確認しないで想像していました。実際そんなには支尾根はなさそうな・・(^^)
先日の「御題目尾根（材木尾根？）」の隣には「御神楽（おかぐら？みかぐら？）尾根」さらに「笹�堯覆気気�ら）尾根」なんてのがあるようで、その名を追究していくのは大変そうです。
真教寺尾根と呼ばれていた尾根の名が隣の尾根に移ってしまった。またまた面白そうな話題で困ります。北岳レコ途中 なのに
年代を見ると明治初めの頃に廃藩置県があった。それにより、真教寺尾根を長野・山梨の県界と定めた。やがて県界尾根と呼ばれるようになり、「真教寺尾根」の名が消えそうになり、隣の尾根に名を付けた。思い付きの推論ですがいかがでしょうか？
今日はここまでピーカンで残念でした。今日の天気図では高山いけないですね、話脱線して申し訳ありませんが、昨日S＆Gのコンサートに行ってきました。http://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=011201
遅い時間で2千円は高いけど、多分一番大きな劇場に5人だけ、臨場感たっぷりコンサートより快適でした。昔にタイムスリップしてきました。おかげで超寝不足(´Д｀)。11日までですよ
北岳のレコですか。それはお邪魔をしてしまったようですね。
「廃藩置県」。なんだか中学校社会科の復習みたいですが・・・調べて見ると明治7年（1871年）に施行されたそうです。
一方、日記本文に書いたように「もう一つの魅力」によれば昭和初頭（具体的には昭和2年ころ＝1927頃）の古登山地図（山梨県立図書館所蔵だとのこと）には真教寺尾根の所には「五葉尾根」と書かれているのだそうです。
（その古地図に現在の県界尾根のことが何と書かれているのか知りたいですね！）
現在の県界尾根が山梨・長野の県境となってから真教寺尾根が登場するまで約50年以上。これはやはり掛かりすぎで因果関係は薄いとにらみます。
しかも「真教寺尾根」が最初に書かれた記録が公的なものではなく、一道場主の記録だというのは怪しさいっぱいです。
この人物の「日本青年修養道場」という名。どういう修養をしたのか触れられていませんが、もし修験道に近いような修養であれば自らを江戸時代の修験者の末裔のようにとらえ、思わず登山道に先達の寺名を冠してしまった、などという推測はいかがでしょう。
私が言いたかったのは、県界尾根がその昔「真教寺尾根」と呼ばれていたわけではなく、事実として眞鏡寺の修験者が開いたルートはそちらだったということ。どうせ江戸時代頃には尾根に名前を付ける習慣はなかったようですし。
したがって日記では名前を横取りしたかのように書きましたが、正しくは歴史の経緯を無視して命名してしまったというところじゃないかと思います。
pasocomさんの推察は大変興味深い。
この際、八ッに関わるいろいろな歴史を
紐解いて下さい！
まだまだありそうですね。
おはようございます。コメントありがとうございました。
確かsiriusさんにとって北杜市は第二、第三くらいの故郷だったような。八ツについてもいろいろご存じでしょうし、興味も人一倍でしょうね。
私の推察は素人考えですから専門家から見ると笑止千万なのかもしれません。でもこういう一見荒唐無稽な話を誰かがすると別の方がそうじゃない本当は・・・・なんて語り始めたりしてだんだんわかってくるんじゃないかと期待しています。
確かに、まだまだこれだけではなく、権現、赤岳以外の阿弥陀や編笠、西岳にもそれぞれ秘密？があるかもしれませんね。
こればっかりやっていると考古学者になってしまいそうですので、ぼちぼちで進めたいと思います。また成果が出たらご報告をしたいと思いますが、期待せずにお待ち下さい(^^)
pasocomさん、こんばんは。
この日記、読み逃していました。
土曜日、ちょうど真教寺尾根を登ったので、途中に何か古い物がないか探したのですが、明治30年？と書いてある石碑が牛首山にある位で他には何も見つからず、古い道なのかな〜？と思いながら辿りました。
一方、下りの県界尾根はあまり注意もせず下ってしまい・・・。
このシリーズ、これからも楽しみにしております。
コメントありがとうございます。
maruiさんの赤岳レコも拝見しました。
牛首山の石碑も県界尾根小天狗の石碑も、私の参考書「もうひとつの魅力」に書かれています。
牛首山の方は正面に「黒府摩利支天」とあるそうですが、いわれは不明らしい。
また小天狗の方は「東方薬師如来」とあるのだそう。
はからずもmaruiさんが思われたように真教寺尾根はさほど古い道じゃないようです。あとは牛首山の三角点くらいしかない(^^)
県界尾根の方はもう疲れていらっしゃれば仕方ないことです。
こんな素人の洞察ですが面白く読んでいただければ幸いです。
「シリーズ」になるかどうか・・・・？？ わかりませんが、今後も何か面白そうな発見などあれば書いていくつもりですのでよろしくお願いいたします。
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