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2015年06月24日 06:09山の雑学全体に公開

甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほぼ再掲)

先日、表参道から金峰山まで登った。
レコはこちら「梅雨時恒例 / 表参道から登る金峰山」(2015/6/22)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-664789.html

「表参道」とは、古来の甲府から金峰山に登拝するルートのことだ。
そのルートは今も甲府市北部から歩くことができるのだが、その距離は40km超であって、日帰りできる距離ではない。
私が歩いた大弛林道から「KK分岐」まではトロッコ廃軌道などを利用しての横道。それでもその先で五丈岩を仰ぎながら登る古道の雰囲気を味わうことができた。
二年前にも「甲斐国志」から金峰山の項を紹介したことがあるのだが、この機に読み直してみた。
いまとなってはあまり知られていないこのルートを多くの方に知ってもらうために、以前よりも読みやすく直して再掲したいと思う。
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(前略)
これより御室(おむろ)に至る一里、その間、黒木立にて下草は熊笹なり。
日陰、葛、万年杉等を生ず。日ノ御子(ヒノミコ)沢、丸石沢あり、合流して東に流れる。水晶嶺に小石英、打ち石等を産す。
御室川を渡りて御室神社に至る。社前に番所あり、四架七梁にしてその中を神門とす。
左右に厨(くりや=台所)の設けありて道衆の休宿に供す。西に浴室あり東に厠(かわや=便所)あり。
御室神社より山宮(=奥宮)に至るおおよそ50丁。坂下に第九鳥居を建つ。
これより道、すこぶる峻険なり。断崖に鉄鎖を下してこれを登攀するところ二ヶ所。また大ハシゴを施す所あり、八ッ子梯と名付く。
これを上がれば路傍に片手回しという数丈の巌(いわお)あり、かたわらに勝手明神の祠を置けり。籠守神は御室の西数丈の突巌上の円石を祠るという。また丸石とも言うは巌頂に一円石を戴く。真白にして美なり。
聖巌は道士の笈(おい=僧侶が仏具などを入れて背負う箱)を負いて山に登る形に似たり。四五相連れり。その他奇岩怪石一々名状すべからず。
おおよそ御室より上の巌石は他山と異なり満面の巨岩、積み重なりて山となるがごとし。
木々は岩間より生ずれども風雪寒烈なる故、老大屈曲して長じ難し。たいてい、もみ、つが、からまつ、とうひ、しゃくなげ、つつじ、いぬひの類なり。
天狗の社、児の吹上(ちごのふきあげ)という所をしのぎて窮髪に達す。
その絶頂に特立する一大巌を御影石という。高さ25間、横18間。その巌の南面かたわらに神祠を建つ。これ即ち山宮なり。また本宮ともいう。
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あらためて読むと、この江戸時代の様子が現在もほとんど変わっていないのに驚く。
「食堂・浴室・WC付き」という「御室神社」はほとんど「山小屋」だったようだ。
そして、ひょっとすると、私のレコのShot12の岩が「道士の笈を負いて山に登る形に似たり。」という「聖巌(聖なる岩)」なんじゃないだろうか?
そう言われれば、そう見えないことはない。昔の人はいい発想している。
さらに、「籠守神は御室の西数丈の突巌上の円石を祠るという。」とある「突巌上の円石」とは、私が小尾八幡山の山頂でみたドーム形の大岩のことに違いない。
下記レコのShot46。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-197491.html

江戸時代も現代もまったく同じ風景なのだ。
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コメント

RE: 甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほぼ再掲)
こんちはpasocomさん

毎年恒例の梅雨時期の表参道からの金峰山、お疲れ様でした。(なぜか日記にコメント・笑)

去年と違って今回は梅雨時期でも五丈岩を目指す醍醐味が味わえたようで良かったですね。森林限界っぽくなってからが解放感があって特にいいですよね〜 荒川の渡渉はワタクシがドボンした 狭い所を渡ったんですね ワタクシはストック使って、そのストックがすべってバランス崩したんですよ〜(笑)

オモテ金は甲府から、、湯村温泉郷辺りから始まるんでしたっけ?途中で金桜神社の里社?とか通るんですよね。かなりの距離ありますから一日で一気には無理そうですね

昨日(23日)勝沼に行ったので帰りにアコウ平から降りて荒川でちょっと釣りをしようと思ったんですけど天気も不安定だったしアコウ平への「魔の登り返し!」があるのでやめときました
2015/6/24 7:16
RE:Cさん/ 甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほぼ再掲)
なぜか日記へのコメントありがとうございます。(^^)

表参道(古道)はどこが起点かというのは実はよくわからないのです。しかし山に入るポイントとしてはやはり湯村山あたりのようです。
そこから登ると「白山」という山の山頂に「八王子神社」というのがあり、その説明板には「金峰登拝道の途中」とあります。
その先でいったん山を下って荒川を越え、いまの甲斐市北部から昇仙峡ロープウエイの山頂駅のところを通って金桜神社に至ります。これが「里宮」。そこからは黒平(くろべら)を通って御室神社に向かうことになります。随分な遠さですね。

御室小屋手前の渡河、なんとか丸太橋でも掛けてもらえないものでしょうかね。多少の流れなら石を投げ込んで飛び石にしてもいいのですが、あの流れでは「焼け石に水」です。
それと、やっぱり最後の登り返し! これがなければもっと強力にお勧めできるのですが、自分でもあれがいやで・・・ちょっとお勧めしづらいのでした。
2015/6/24 7:36
RE: 甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほぼ再掲)
pasocomさん、おはようございます。

金峰山って、どこのルートから行っても同じ山頂ではありますが、アプローチが変わると印象が変わる不思議な山です。
山梨側からは「きんぷさん」、長野側からは「きんぽうさん」と読み方も変わりますが、やはり五丈岩という神々しいシンボルが、様々な地方の方達から信仰の対象であったと想像できますよね。

ダン之助でした。
2015/6/24 8:27
RE:dan_no_sukeさん/ 甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほぼ再掲)
おはようございます。
金峰山は確かにおっしゃるようにアプローチが異なるとかなり印象が変わりますね。
山容も甲府側からだと左右に尾根を延ばして堂々としていますが、北杜市などからだとけっこう山頂が尖っていて鋭利に見えます。

名前も山梨と長野でちょっと違う、面白いです。ちなみに山梨では「きんぷうさん」とか「きんぷせん」、またはただ「きんぷう」と呼ぶことが多いです。
もともとこの山名は奈良の「金峯山寺(きんぷせんじ)」を勧請したことからだそうですので、「きんぷせん」がもっとも古来からの呼び名かもしれません。

「きんぷうさん」と「きんぽうさん」を統一して「きんぷさん」としたのは国土地理院。両側の顔を立てたのでしょうね。
2015/6/24 8:49
パソコさんRE: 甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほぼ再掲)
湯村起点だとすると白山、羅漢寺山を通るんですね。ウチの裏山だし、その行程の半分くらいは途切れながらも歩いています。一回通しでやってみたいなあ。ウチから歩いて三日あればできそうですね。白山から昇仙峡長瀞橋と、金桜神社から黒平までが繋がっていないです。
日本百名山の中で深田さんは、大正時代の学生の頃、通ってまだ10年くらいの中央線を夜行で来て、甲府駅から歩いて昇仙峡辺りの宿に一泊して表参道登ったそうです。そんな時代も良いですね。
2015/6/24 9:14
Re:yoneyamaさん/ 甲斐国志に描かれた「金峰山表参道」(ほ...
おはようございます
金峰登拝道ですが、白山からは以前私が探索したように県道昇仙峡ラインに出るようです(漬け物屋の西のほう)。そこで荒川を渡ると敷島吉沢側で昔鳥居があったという場所がわかっています。常説寺という寺の脇から登り始め、「太刀の抜き岩」で「甲斐市自然観察道」に出て昇仙峡(羅漢寺山)を経て金桜神社です。ですので長橝橋は通りません。
金桜神社からは東脇の道を入り、猫坂という峠経由で黒平に入ります。これは現在の林道ではないですね。
ゆったりしていた時分とは違ってなにごとも忙しい現代では、なかなかこのルートを通しで歩くことは難しいですね。
正しいルートも以前は頑張って追求していたのですが、最近は八ツの方にかまけていてご無沙汰になってしまいました。

こんな記録を見つけました。「金櫻神社から金峰山・小川山へ」
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-554054.html
2015/6/24 10:13
プロフィール画像
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