三の丸の大名屋敷あたりにあった大手企業の松本支店ビルなどはむしろ駅前などに移動して、三の丸の中は高層建築(といっても6階や8階)が減ればいいなあと思っています。天守閣があちこちから見えるようになります。しかし以前に比べ、古くから残っていた一般住宅の質素な武家屋敷や板塀、門や狭い土蔵の小路など松本らしかった姿は消えつつあります。
外国を訪ねて、遺跡や古い都市の洗練された手の入れ方など見ると、野放しの日本の町なみ作りにはこれまで寂しさを感じていました。どこにでもあるような便利な街や、作り物の観光地ではなく、価値あるものを掘り起こしてでも手入れしたいと思います。
僕が今住んでいる甲府の甲府城は、二の丸の上に国鉄甲府駅が出来てしまい、正門の大手門の場所はいま県庁などの前の交差点で復刻は無理そう。二の丸には県庁、県警、県議会が並んで、外堀は駅前通りとして埋め立てられていて、とても往時の姿を思い起こしにくくなっています。けれども、こちらも立派に残る石垣に稲荷櫓や山手門枡形を地味に復元、それに天守すぐ下の黒(くろがね)門を今、復元建築しています。何とか幕末の埋もれた写真資料や絵図でも出てきて、再現が進めばいいなあと思います。150年前のお城の姿、かなう事ならタイムマシンで見てみたい。
中心市街地にビジネスチャンスの失せた平成時代末期こそ、こういう事にちょうどいいのでは?すぐカネにしようとガっつかず、こつこつ気長にやりましょう。
ちなみにこれまで住んだ町では、函館の五稜郭の「天守」旧函館奉行所も復元して建てていました。榎本、土方が詰めた本陣です。完成間際の2008年に転勤してしまったので見ていませんが。名古屋城は立派な本丸御殿が1945年アメリカに空爆されるまで残っていたし、天守だってそれまであったのだから(消失、全く残念至極!)、資料は豊富に残っているわけで、あんな戦後突貫で建てたコンクリづくりのフェイクではない本物を総木曽ヒノキで建て直せばよいと思います。現代の復元技術は大したもののはずです。景気良いみたいですし。
図1:本丸と二の丸。現在左下のくの字部分が埋められていて、これを復元する。
図2:本丸の中の本丸御殿。1700年代前半に火事で消失したので、幕末まではなかった。復元計画には今のところ無い。
図3:本丸、二の丸、三の丸全景。左下の枡形が、今回復元予定の大手門。一番外側の堀は右上の東北部分だけが堀として残っている。これ全部掘り返すのはさすがに無理かな。しかし、完成すればベルサイユ宮殿並。
こんばんは。
私は病気にかかるずっと以前、仕事で古い町並みを数多く訪ねました。文化庁指定の重要伝統的建造物群保存地区、略して重伝建です。
重伝建は、手軽に江戸時代の雰囲気に触れる事ができる貴重な地区なのですがもはや観光地となり、テーマパーク化している所も散見されます。
しかし、その中には現存した民家も数多くありまして、保存と生活を両立させる難しさを垣間見ました。
自然保存にしてもそうですが、住んでいない者からはなかなか内部事情がわからず、思いを伝えるのは難しいものですね。
セキトリさん
以前住んでいたある町では、住んでいる人が「保存と生活の両立」をできず、というのをよく見ました。
内部事情を分からない「住んでいない者」も多いですが、住んでいる者も外からみた姿を良く知らない人も少なくない。こう言う事は時間がかかりますね。
松本にはよく行くのですが、松本城は横目にしか見たことがありません。復元なった暁には行って見たいと思いますが、ま、それまで生きていないでしょう。
わかさん
残っている部分だけでも大したものです。横目でなく真面目に見てください。
僕も生きてないかも。
カミさんの実家が松本なので、松本市内のことは他人事ではなく興味を持っております。
といいつつ、やはり松本城は一回見に行ったきり(^^)。
ですが、この計画のように三重の掘り割りまで復元できれば、全国にも例のない素晴らしい景観の町になることでしょう。
全国の地方都市がどこも個性無く垢抜けて「プチ東京」みたいになるのは目を覆うばかりです。
せめて松本には今の個性を発揮し続けていただきたい。
あと、松本と言えば山岳都市(自分でも「岳都」と称している?)ですから、山をアピールする、オーストリアのインスブルックみたいな町になってくれるとうれしい。
我が甲府はいつも松本の後を追いかけるような町作りをしていますが、いつも「百年の計」がない場当たり的計画ばかりです。今はリニア新駅で大騒ぎですが、これも大局的には考えていないみたいで。
私の記憶にある昔の甲府駅は下記のような円形広場で水晶(本当はただのガラスだったとか)の噴水が地元ッ子の自慢でした。「あんなの山梨の山に入ればどこだって転がってるんだよ。だからだれも盗んだりしないんだ。」と言ってました。
「宝石の町」というなら、こんな風にしてほしいものです。
http://www.yamanashi-ff.net/?p=1935
パソコムさん
リンク先の甲府駅前の写真集、図書館で借りてみます。こういう少し前の町の写真を見るのが大好きです。愛宕山に人造物無く、駅前も今より広く感じますね。ここも二の丸城址の一部だったのですが。このころ武田信玄像はどこにあったのでしょう。公園の整備っていきなり始まって、愛着あるものをズバズバ壊しますよね。立木でさえ、建材のように。
「百年の計」が無いのは松本含め日本全国どこも同じです。甲府からの南アルプスと富士山の展望は素晴らしいのだから、せめて駅前に、展望を遮らない山見ポイントが欲しいですね。甲府城天守台に登ると、来る人が皆口にするのですが、丁度富士山の真ん前に電電公社の巨大鉄塔が野暮に建っているのをなんとかできないものかと思います。
宝石の町といえば、駅北口の二階スペースに高そうな宝石彫刻が展示してあって、うちのかみさんが、こんなオープンスペースに24時間展示で盗まれないんだね!と感心していました。
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