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著者初の音楽エッセイという。
むか〜しのとあるジャズ本にジャック・ウィルソンというシブ〜いピアニストに氏がサインをねだる話があったがかなり面白かった(先日読み返した)。残念だがその話は未掲載であるが。
ジャズに関するものが三篇、スタン・ゲッツとウィントン・マルサリスはいいとして、もう一遍はこれまた渋ピアニストのシダー・ウォルトンときており、それが巻頭を飾っている(「強靭な文体を持ったマイナー・ポエト」)。
勿論それらも面白いのだが、中で私が好きで読み返すのがゼルキンとルービンシュタインを評した一篇である。私の中ではルービンシュタインよりもゼルキンに惹かれた。
随分以前にどこかのセコハン屋でレコードコーナーを漁っていた際に50円とか150円で乱売されていた中にクラシックのレコードが並んでいるのを見出して何枚か拾い上げた。クラシックは全くの門外漢なので、ピアノ編成であることとジャケットとでピンときたものを摘まんだまでだった。この本を読み返して、よもやその中にゼルキンタマのレコードはあるまいか？とサラッと家探ししてみたら何と！
「・・・・あったよ！(高橋源一郎)」
ジャズレコードに紛れていたのだったが、不思議とすぐに見つけられた。縁だろうか。
春樹氏の言う��29：ハンマークラヴィアこそ入っていなかったものの、ベートーベンのソナタ��14,8,23の入ったものだった。セロニアス・モンクのピアノソロを聴いた後では、何とも煌びやかな演奏である。
ルドルフ・ゼルキンを聴きながら、林業や仕事、家族のことに思いを馳せた。
それらが上手くいかなかった意味を。
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