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一見（読）、平易な文章で書かれてサラリと読めてしまうので軽い印象を受けるのだが、対象への掘り探りが深く、本端に折り目が多く付いた。
何故ヒトは山に登るのか、の考察は「ぶらっとヒマラヤ」にあった。旅や移動することの意味、不安とは、気持ちとは、そしてアフリカとは？（P.218）が「ふらっとアフリカ」にはある。（また、笑える小地雷が幾つも仕掛けられてあるのも本書の読みどころである。）
先週の私の作業に照らせば、刈払機で草むらの上面だけをさっと刈ってそれらしい仕事にするのが私のやり方なら、当の藤原さんの作業は刈払機をかなぐり捨てて、草の根ごとむしり取って検分（見聞）する風である。
私は30年前の25の時、大学を卒業してすぐ教授の伝手でマグロ延縄調査船に乗り、ペルー沖で一稼ぎして太平洋を横断した序でに陸路地球を一周したことがあるのだが、これも正に"地球のウワッツラ"をザラッと撫でただけで終わった。英語なんぞ話せなくても海外は旅できる、とうそぶいて。
ズールー語習得は後付けとはいえ、現地語を身に付けて旅する土地を深く知ろうとする好奇の度、真摯さが強く伝わってくる。地元民の食べる定食を手で食べ、友達の友達の家を泊まり歩き、時に野宿しヒッチハイクも織り交ぜて。バックパック、ではなく紙袋一つ手に提げて。私も（55にして）宿泊やヒッチハイクのズーズーしさに関しては人後に落ちないけれど、当の藤原さんも相当である。
国境でも山でも苦境に立った反面、すぐ先の未来に好奇心を抱く酔うような倒錯感には身に覚えがあって頷いた。中で一番共感した部分は、私がメキシコで同じ思いに耽ったことのあるP.102ｰ103の件だった。私にとっての、旅の効用であり貴重な価値だった。
「この情景を観ることはもう二度とないだろう。自分の人生の中でいまだけのこと、たった一度のことなんだ。そんな当たり前のことがとても貴重に思え、私の胸を突いた。」
ヤマレコユーザーで「ぶらっとヒマラヤ」未読の方は、併せて是非！
ヤマレコ日記に「ツィゴイネルワイゼン（�掘吠�浪編」を書いているところです。
放浪、旅、風来坊そして登山は人間の究極の憧れだと思います。それは全て一銭のゼ二にもならないことだからです。「清貧の思想」ということばがありますが、ゼニを儲けようとすると、人間はダメになってしまう。
「ふらっとアフリカ」ぜひ読んでみます。
以上。
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