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「あっ」と言う間に咲いて「イっ」てしまった感あり。
海老根;エビネ、である。単子葉植物ラン科エビネ属の多年草。地上性のランである。
古い球茎が何年も残り、地表近くに連なる形状にその名の由来があるとの事だが、この和名も如何にも日本らしくていい。
掘り起こして確かめてみたことは未だ無い。
親方のキヨッさんによればかつては岐阜でも一大ブームがあったそうで、珍重され随分な盗掘にも遭い、今のところ環境省のレッドリストの準絶滅危惧(NT)にも指定されている。
幸いにして近年それも去り、眼の聡いキヨッさんが「山でもちょくちょく見掛けるよ」うになるまでには復活してきた様だ。
拙宅の隣家の玄関先にも、三軒隣の家(石斛とはまた別の家)にもそれはあったりする位に、割合知られた蘭である。
花の色は変異が大きいが、基本はがく片と側花弁は赤褐色、唇弁は白または薄紫紅色。派手さはないものの近くで見つめるとそれなりの雰囲気は備えている。サギソウ程ではないにせよ、今しも飛び立ちそうな唇弁の形が好ましい。
唇弁が赤みを帯びてしわが寄っているのをサルの顔に見立てたことに由来するサルメン(猿面)エビネなんていうのもある。こちらはワンランク上の絶滅危惧II類(VU)とのこと。
今でこそ会社を去ったが、かつての同僚バッキーが殊の外このエビネが好きで、山で採ってきては鉢に植えて社屋裏手に幾鉢も置いて愛でるような奇特な男だった。ウチのエビネはその内の一鉢だ。
植物と鳥と金華山とを愛する優しい優しい心根の男で、品の無い人らからはそれ故に軽視されがちでもあった。頭の回転が速過ぎるけれど、世との折り合いの付け方が下手で仕事を被る苦労人、腰痛持ちの風邪を引かない体質で加えて飲酒喫煙癖が抜けないガリガリクンだったが、今どうしているか?
何にせよ正義感の強過ぎる性格でこの会社に居ることは適わなかったのだ。
花の「ハ」の字も興味の無かった私が、樹種覚えとは違って仕事上必要とされもしない花卉(特に野生ラン)に多少なり関心を持つようになったのは何に起因するのか?
う〜ん、今となってはそのなれ初めを忘れてしまった。
上記バキバッキーが居たこともある。
デカい木を「ドーン」とヨキ(斧)で倒した隣で、「おっ、ヤブレガサ(山菜、山野草)や。これは金になるでな。」と小さな植物(カネ?)に目を向けることも忘れないキヨッさんの大らかな姿(延いてはそのカッコよさ)に感心したことが取っ掛かりだったか?
何にせよ、まずは手当たり次第に現場で聞いてはメモを取り取り、帰宅して図鑑で調べる。を繰り返すうちに、少しずつ覚えられてきた。ほんの少しですが。
そうして山をウロウロしている最中に「ツチアケビ」なんぞ見つけると「おおっ」何て声を上げられるというのも文化的な人間ならではの所業と思う。
アケビが生るのもツチアケビの果実が生るのもまだ先の事なので、近いうちにまずはエビを食べたいと思う。
この日記生きて読んだらバッキーよ、請う連絡。
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