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昨年2015年10月25日より林業・木材製造業労働災害防止協会は「林業・木材製造業労働災害防止規程」の変更をし、現場作業員に対するチェーンソー防護衣の着用を現在の「努力義務」から「義務」化した。
防護具の上からチェーンソーを誤って当ててしまっても、仕込んであるファイバーが食い込んでチェーンの回転を止めてくれる、というものらしく、youtubeにもその手の動画もある。
ミスをしないための鍛錬ではなく、ミスをしてしまった際の対応策。
う〜ん、車の自動追突防止装置と言い、ちょっと走る方向間違ってやしないかと考えるのは私のみ?
こういった方向も不要とまでは言わないが、自意識の啓発やケアレスミスを一度たりとも起さない基礎体力を鍛えるのが「ミスをしない」ことへの方法であり「攻撃は最大の防御なり」はちょっと違うか?
医師であり育児評論家であった松田 道雄の名著『育児の百科』にある「育児は民俗である」の言葉同様に林業もまた民俗といえ、地域に根差し生み出された伝統がある。
これまで使われてきた地下足袋に対しても「回転中の刃が当たれば怪我をする」とダメ出しをして底の厚い鉄板入り安全靴を履くよう指導する向きが近年あるが、山場悪く、時に木の上に乗ることもある際にビブラムでは返って転倒の機会も多くなる。微妙な足裏感覚が肝なのに。指先はネコの肉球センサーと同じものなのだからして、裸足に回帰せねば。また木材搬出についても同様に、問答無用で欧州林業の流儀を踏襲してしまうのは思慮が無さ過ぎるのではと思う。地勢も、気候区も、人情も違うというのに。
確かに使ってみると判るが、チェーンソーは考え方使い方によってはこれほど恐ろしい機械もないと思う。
ジェイソンならずとも、使用上の注意をよく読み理解しないと手に負えない道具になりかねない。
原動機付自転車と同じ排気量のマシンによる切創は、それは惨たらしいものがある。切創というよりは、チェーン幅のエグリ取りである。
今の風潮からすると、ゆくゆくはすべてをハーベスタ等の高性能林業機械が行い、現場作業員(おっと、最近は森林技術者と呼称するらしい)は材木に触ったりチェーンソーを手にして作業してはいけない時代がやって来るかもしれない。それでは鉈鋸以前の包丁や鋏まで持てなくなってしまうかも。料理包丁で怪我する人がいるが、それは基本が為っていない何よりの証拠だ。基本ができていない人間がチェーンソー仕事をすれば、間違いなく怪我をする。間違いなく、事故を起こす。
耳栓して通学する中高生を見ても思うけれど「自分ではなく相手が我が身の危険を回避してくれる」と思っている人間に、この仕事上で怪我事故無くやり過ごすことは不能だ。木は、相手の意思に気遣いなく"自然に"倒れてくるだけなのだから。
方法を誤れば怪我をする。当然のことだ。
技術や感覚を磨いてそれら危険を回避し一日をやり過ごすのが林業や登山の妙味だと思う。
頭がモヤモヤとしている最中に奥山で騒音立ててチェーンソー振り回すと、気分が晴れる。
何事においても経験する側に立ってみないことには接近も叶わないけれど、暴走族連中もそんな心理なのかもね。
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