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歩いてすぐの岐阜県立美術館で開催中の「フランスの風景 樹をめぐる物語」を観にヨロヨロと出掛けた。
どうやら春の東郷青児記念・損保ジャパン日本興亜美術館での展示が流れてきた企画展の様だ。
風景画にさしたる興味も無いけれど、画題が『樹』となれば私が行かずに誰が見る、と言われた気もしたので入館した。週末、テレビのある実家でNHKで紹介があったのを見ての訪館だった。
「コローからモネ、ピサロ、マティスまで」と表題にあるので期待して行ってみれば、コローもモネもマティスもそれぞれ一作品のみの展示だった。おいおい。
バルビゾン派の第一章に興味を惹く作品が多かった。バルビゾン村はフォンテヌブローの森に隣接していることもあって、森の中に点在する大岩も画中に配して在り、後年ボルダリングで手掛けられるであろう岩だと思って眺めるとまま面白く観られた。
また、ドレの「嵐の後、スコットランドの急流」といった大作や「アルシエの泉」「急流のそばの幻影、または妖精たちのランデブー」といった作品には森の中を流下する渓流も描かれており、私のような沢登りを愛好する向きにはポーッとしてしまうものや、「森の中の焚火」には私のような焚火を愛好する向きには堪えられない作品もあって満足した。
私はどうやら印象派には興味が薄いようで、先の自然主義的風景画の鑑賞に掛けた時間に比べるとモネもピサロもスーッと通ってしまった。
目的の一つだったコローにはちょっとした思いがある。
フランスの画家であるジャン・バティスト・カミーユ・コローについては2008年頃に「真珠の女」が【コローのモナリザ】として日本で持て囃されて国立西洋美術館等で展示され話題にもなったことがある(名古屋でも展覧されたと記憶する。その際にレプリカの「青衣の女(青い服の婦人)」を購入して今でも食事する部屋に飾ってある)。
1996年春に地球一周の途上でパリに寄った際に丁度「Corot:1796-1875」という回顧展がGrand Palaisで開催されており、「青衣の女」を目の当たりにして感激したものだった。コローの作品はルーブル美術館を中心にオルセーその他フランスやあちこちに散らばっており、一堂に集めた作品群を僅かな滞在期間中に図らずも観ることが適ったのは幸いなること甚だし、だった。
今回コロー唯一の展示作品「エトルタ近くの風景」がその際1996年にドイツからグラン・パレに運ばれて展示されていたかは定かではないけれど、この小品の前に立って20年振り再会の感慨を持ってこっそり手を翳すと、ポァ〜ンと温もりを感じられた(気がした)。
事のついでと廻った同時開催の常設展「ミゼレーレ(MISERERE)【主よ憐みたまえ】」に全てがブッ跳んだ! 腰の痛みもスッ跳んだ?
岐阜新聞の元代表取締役会長の杉山"スーさん"幹夫氏が購入し寄贈したものと言う【450部の内の一部】。この方、確かピカソの小品も数点寄贈してるし、センスあるなぁ。
正に圧巻!!!!!!
ズラズラズラとただ並べただけの展示法が、返ってこれら一連の作品群の迫力を伝えることに奏功している。全58点一挙公開。
野獣派の版画家ジョルジュ・ルオーの面目躍如たるものがここには在る。
道南在住の月村朝子氏がこれを観たのをきっかけに思わずブログを「立ち上げて」しまった気持ちも判らないでない。
こちらは11月27日までとのことなので、また観に行くはず。これは是非に!
常設展では他に、これまで展示されてこなかった熊谷守一作品に良いものがあった。李禹煥もあった。土屋輝雄という素晴らしい郷土画家(日本画家の土屋禮一氏の父君)を知れたのも今回の訪館の収穫だった。求龍堂の出版の本を購入した。
満腹で美術館を後にする。
岐阜くんだりで(山をおいて他に)こんなにも充足できる空間があるとは。驚きの一日だった。
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