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2016年11月22日 13:37全体に公開

葬列

 昨週、義姉が急逝した。私と同年46歳に成ってじきの事だった。
 ある程度は予見もできた出来事で、さりとて心の準備が出来ていたわけでもなく、取り急ぎ家族一同で訪栃した。ホウレイ。街中の黄葉を目にして、この時期に栃木に来ることが初めてであることを知る。
 急性心不全との事で、未だ自分が天に召されたことも自覚してない風情の、そんな顔をしていた。

 私の幼少時も同様だったが、親類縁者が亡くなり黒服だけ着せられて葬儀一連の流れの渦に巻かれて何が何やら判らないのが今回連れた子供達自身の思いだったろうが、後付けで思い起し理解することだろう。葬列を組み歩んだ光景、焼香や献花の芳香、見慣れぬ黒服の叔父や叔母や真木よう子。。。
 そして、一人の人間がこの世から去った事の、その重みを。

 
 葬儀の際に義母に聞いたところによれば、亡くなった姉は幼少時は虚弱体質で小さく細身だったが、活動範囲の拡がった高校通学時よりストレス起因のバソキヤ過食で太り始めて様々な疾病を抱えるようになったという。
 私が結婚承諾の為に初めて訪れた際には、年収60万男(月収ぢゃないよ)のこの私を、両親共々極めて好意的に迎えてくれたのを覚えている。この地特有の鷹揚さかと思ったがいや、姉特有の人懐っこさの成せる業だった。その余りの純朴純粋さに、時に焦げるように見入られて閉口することもあったのは、私の中の不純さを見透かされた証左と今にして思う。
 通夜の官守りで御主人とも話したが、姉は野性味を残しているのか所謂"カン"が鋭く、困り果てたここぞというタイミングで電話が掛かってきたり唐突に会いに来たりと不思議な能力も持ち合わせていた。この義兄もまたその実直さ故に様々なものを抱えて生きてきた方で、そんな似た者同士の二人が互いに引きつけ合い暮らせた3年間はさぞや幸福な期間だったはずだ。
 キリスト教に入信していたこともあり、教会関係者にも参列頂いた。その姉が我が息子の事を特に気に掛け、また姪の誕生を殊の外喜んで周囲に話してくれていたことを知った。
 姉が暮らしたこの地は古くからの集落で、地域に密着した生活がありまた本来的近所付き合いも成立しており、姉との別れに際してそのご近所さんが大いに泣き悲しむシーンもあった。

 実妹である妻曰く「輪廻転生があるとするなら、姉ちゃんは人間役は今回が初めてのことだったんだと思う。」と。ジツマイ。だとすれば、あの勘の良さともツジツマが合う。
 純粋な貴女には何かと生き辛い時代だったことと思う。
 もっともっと優しくしてあげられれば良かった。
 退院したら再度こちらに呼んでゆっくりのんびりしてもらおう、と話をしていた矢先のことだった。


 互いの光の輪が重なる向こう側で、また会いましょう。
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