その『家族』は山田洋次監督作品であり、いわゆる民子3部作(『家族(1970年)』、『故郷(1972年)』、『遙かなる山の呼び声(1980年)』)と呼ばれるものの第1作である。
先週観た「故郷」が本作に次いで制作上映されたそうだが、その「故郷」(1972年)のエンディングが島を去る涙のシーンで終劇し、今回観た「家族」(1970年)の始まりが島を去って北へ向かう流れで、私個人の中で繋がった気がしたのはきっと、ロイヤル劇場側の配慮であろう。上手いと思った。
また、上映年1970というのは私の生年と一致しており、全くの他人事には思えない映画でもあった。
長崎の伊王島から、福岡、福山、大阪、東京、青森、函館、果ては道東は中標津まで、汽車、新幹線、船を乗り継いでの半ロードムービーといってよかろうか。
伊王島は自治体人口に占めるカトリック教徒の比率が日本で最も高かったそうであるが、意図したところがあるのだろう。
長女が道中病死したりまた、ようやっと辿り着いた開拓村で歓待されたその晩に笠智衆が逝ってしまうなど、かなりキツい展開でもあるが、予想通りに妊娠して終劇という予定調和で未来への希望を与えている。
宇都宮出身の春川ますみはチョイ役ながら印象に残った。端役のハナ肇、渥美清にはもうちっとご登場願いたかった。
音楽担当は1928年北海道留萌生の佐藤勝氏。同じ北海道出身の伊福部昭氏の影響を受けたそうだ。
青函連絡船内で嫁と父に仕様も無いことを言う井川には、笠智衆や周囲の観客同様に「それ言っちゃアカンがな、親父として」の声が聞こえてきたが、私同様のそのショーも無さ未熟さに思わず同調してしまった。
倍賞千恵子は中標津隣の北海道野付郡別海町に別荘を持っているそうだが、それはこの映画が縁となったか。吉岡秀隆が倍賞の別荘に遊びに来た際には、(吉岡に)マッサージを頼むほどの仲であるという。
さて、いよいよ何とかして『遙かなる山の呼び声』を観なくては完結しない。
こんにちは。
春川ますみは寺山修司の作品には欠かせない存在でした。「誰か故郷を想わざる」の<空気おんな>で演じた投げやりなアンニュイはこの人にしか出せないでしょう。
雨も降っていることだし、柳ケ瀬へでも行ってみるか。
マースケ様
春川ますみは「田園に死す」にも登場していましたが、テレビのイメージが我々の世代には強いです。当映画は5/4までなので、是非!
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