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これまで「事務局」「世話役」として同人を主導してきた幹事ＭＴＧさんは今回をもって退き、同人としての集いは実質の最終回となった。
同人組織はこれをもって役目を終え、今後は組織としてではない集会の運営を若手へと譲った形で決着を見た。
その集会はＷＣＭ(ウインタークライミングミーティング)の沢版を目指し、来年もまた開催されるそうである。
1998年、海外の沢登りフィールドを求めて所属団体を越えた横の繋がりを携える同人として7名で興し、当初はその機能を有効に発揮したその集い「海外遡行同人総会」も、二十年の時を経て情報化の流れの中で役割を果たし、機能を終えたといえよう。
見方を変えると、新たな段階に発展的解消を見たと言えなくもないか？ いや、同人機能が向上した訳ではないのでやはりそうは言えまい。
その分析はここでは措くが、自身の参加も今回が最後となると感慨一入であった。
報告会前に上映された「海外遡行同人の20年」には、結成数年後に集った拙宅での総会(という名の飲み会)写真が余りに懐かしかった。
結成当時は台湾はじめ海外の沢登り世界が殆ど”掘られる”ことなく地球上に眠ったまま横たわっており、特に我々の熱き眼差しは台湾の未知未踏巨大渓谷に注がれていた。台湾島東面の、林道や人間の侵入を許さないほどの峻険大峡谷群ほぼすべてが無垢のまま手つかずで「在った」！
またそれと同時進行で、韓国はじめパプアやグアム、NZに中国大陸、イギリス、スペイン、ボリビア等の海外でも沢登りは展開された。
台湾東面渓谷に絞って話せば、当初メンバーによってある程度の成果を収めながら積み上げ進んだ遡行実績も、イーカンシ―という悪魔の様な拒絶的大峡谷で頓挫した。これは、登れまいて。
そこから世紀を跨いだ数年を経て、彗星の如く現れたのが、かの大西リョージ氏であった。
登れない滝が出てくると、その両岸傍立ちの急峻さから延々と時間を掛けて高捲いて日数を消費していたこれまでの遡行スタイルを、ボルダリングで鍛え上げたその登攀力で何としてでも突破して中を通過し、その遡行距離を伸ばしに延ばすスタイルで、これまで不可能視されていた超長大渓谷をワンプッシュ(二週間だったか？)で成し遂げてしまうという壮挙を立て続けに成し遂げた。おまけにあのイーカンシ―のファーストアッセントまで成し遂げてしまい、我らロートルは「開いた口が塞がらない」状態であった。それに加えて、未踏部のファーストディッセントまで成してもう、あんぐり。
佐藤氏はじめ同行各氏のずば抜けた力量に負うところも勿論大きかったろう。それにしても、こんなにも短期間で台湾東面大渓谷群のベールがひっ剥がされるとは一体誰が予見できたことだろう。
少なくとも私には、そんな激動とも感じた20年であった。
今回の報告は３件。少ないけれどそれら内容は胸にグググッと迫るものだった。
台湾東面渓谷の一支流、NZのグルーミー悪絶ゴルジュ下降、そして柏瀬祐之著「山を遊びつくせ」にも掲載あったボルネオはパナタラン川遡行が約半世紀振り＠に実践された！ かつて読んだその渓谷が目の前のスライドに在って、正直ドキリとした。
報告会が済んで、いつもの懇親会へと移行した。集合写真も撮って。
この集まりのお陰で、永く憧れた沢登りのレジェンドから最先端のエグイ若手まで、普通に暮らしていてはとても会えない種類の人間たちとの面会が叶った。ビックリ人間から怪人、人間社会には適合し難い際どい人種まで、夢を語るに懐の深い人も多かった。これだけ特殊な人間たちの集まりなのだから合う人、また合わない人、気難しい方、反対に鏡写しのような方にも会えた、と思う。
今回の集いをもって参加を最後とするなら、私がこれで会うのが最後になる方も居ると思い心寂しくもあった。
が、それもまた人生だ。縁あればまた会える。
末筆になりますが、二十年の長きに渡って重責を負ったＭＴＧ幹事さんには心よりの労い言葉を送りたい。誠にご苦労様でした。今となっては感謝ある呑み、いや感謝あるのみです。
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