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降りようとしてもう一冊、ヤマケイ新書の「体験的登山技術論」が目に入って「おうおうおぅ、こんなところにおわしたか。」と三冊を手にして階下へ。
今日は外出してカレーの材料を買い、岳人誌を(立)読み、冷房バリバリのかつやでこの新書を手に取った。
「体験的〜」は、5月に遭難死した澤田実氏唯一の著書で、ヤマケイ新書でありながら過去に岳人誌に連載されたものに加筆して纏められたもの。ヤマケイ、よくやったり。
終章は野人成瀬氏が泣いて喜びそうな件多く【そういえば二人には類似点も多く、また共に愛知県人で、海外遡行同人での総会時に対面の機会を作ったことがある】、31は氏が死んでしまった今となってこそ(悲しいかな)輝く文である。氏にとって、この著書で伝えたかった真意は「Be creative!(創造的であれ)」であったろう。登山であれまた、人生であれ。
何万と居るであろう登山者人口の中で、氏の意向を汲んで「物見遊山ではない」山登りを実践している者が果たして何割いや何パーセント存在するのかかなり疑問ではあるけれど、少なくとも私やyoneyama氏はその系譜にあると思って今も登山を続けている。示し合わせて黒部の谷中で火を囲む機会があったら良かったが、今となってはそれも叶わぬ夢である。黒部の東澤田に、いや東沢谷の二ノ沢大滝でもご一緒出来たら良かった。澤田さんのリードなら、捲かずに左手を登れるはず。何つったってあなたは称名滝初のワンプッシャーですから。
と、4段目の難しいピッチのリードは澤田さんだったか山岸氏だったかを調べようとしたら驚くべき事実がっ、、、、、、、！！！！！
『2019年8月8日、中嶋徹氏が称名滝の4段全ピッチのフリーソロに成功！』の報がっ。何故にこのタイミングで。
ここいら周辺の縦糸横糸を作文して纏めようと準備していた矢先の出来事に唖然。これでは明日も出社できそうにない。
凄い、8月もまだ上旬だぜ。
融雪で水量多いこの時期に。称名滝登攀は晩秋手掛けるのが相場だというのに。核心は四段目以上に三段目だったと見た。
澤田さん、まだまだ山の世界は面白過ぎるヨ(中嶋氏もまた、地質屋だ)。
しかし、これとて大西良治氏の称名川完全遡行には未だ及ばないのが大西宇宙人説たる所以なのだけれど。
夢幻のこの世の片隅で、昨日買うてきた鈴虫が夢現(ユメウツツ)に鳴く。リーリー、と。
現実の世に生きる私は、、、、、、、カレーを作ろう。
私の作るカレーは何でこうもレシピに則らずに適当に作った方が美味く作れるのだろうか。これもやはり「創造的」カレーだからに違いない。
創造する心、忘れないようにしたい。
しかしアレをフリーソロか、華麗に舞った中嶋氏も心が幾度弾けたことだらう。また理解の及ぶであろう父親は如何なる心情で息子を見送ったのであろう。
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