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「オヂサン、もしかして林業の人、ですか？」
「如何にも。」
「あの〜、林業ってどうゆう仕事なんですか？」小5の女子が尋ねる。丁寧語で。
木を伐る仕事や、では底が浅い。よくぞ私に聞いた！ 突然の質問にも十全に応えられるよう、これまで私は林業の勉強をしてきたのだ。水産学士、ナノデスガ。
「そうやなぁ、目標は色々とあってそれぞれ違うんやけど、この山では鳥と人が気持ち良くなれる山を創っとる。」
枯れ木の伐倒を見せて、コシアブラを輪切りにして土産に持たせた。年輪を見て「これは(年輪の目が)細かいのでヒノキと習いました。幅の広いのがスギ、と。」ヤレヤレ。学校での林業学習もその程度かと呆れた。欧州では生物多様性の観点から枯れ木は伐らないことになっている国もある、とも伝えた。枯れ木には虫が喰い、それに鳥たちが寄ってくる。
この一ヶ月、伊木の森で除伐と呼ばれる作業を続けてきた。作業の休憩時に、御嶽や木曽川を見下ろす。古人は木曽川の源があの白い山であることを知っていただろうか？
山川から目を転じ、平地に広がる街並みを見下ろして思う。脱炭素社会、地球温暖化抑止いや防止とは程遠い、21世紀の今である。家家家、高層集合住宅に、車車車。大都市に比べれば緑豊かな地方都市なのだろう。自衛隊が予行演習に飛ばす輸送機・飛行機が排出する膨大な炭酸ガスを想像する。自国防衛のために排出される世界の炭酸ガスを無くせたら。
健康維持のためにこの山を登りに来る老人たちは、車でここに乗り付ける。で、山を歩く。
国や企業体の果たすべき役割ばかりが俎上に上がる脱炭素の話だけれど、個々人が自らの問題として十分には捉えられていないと思う。日々、一人一人ができることはあるはず。プラスチックの過剰な使用を、これからは真のゼロエミッション可能なエコマテリアルである木材で代替していくことが大事に思う。伐り捨て間伐はイカン、人力を使ってでも運び出して活用しなくては。カスケード利用があるべき姿だが、今となっては林地に捨てられた木材を、化石燃料使用削減のために薪としてでも使っていかなければ我々世代は凌げても、子供たちの生きる時代は高温化、災害の激甚化で厳しさを増すばかりだ。自分達さえ良ければ、ではもう通らない段階に入っている。
そんな思いで、礼を言って下山してゆくマスク姿の三人を見送った。林業、面白いでな。
脱炭素を越え、私は「脱脂肪」を提言したい位なのだが、それが実現するのは22世紀のことになろうか。腹に蓄えた脂肪を、薪割や林地からの搬出のエネルギーに転換し、脱炭素社会に還元する体制をつくれまいか。スマホを触っているよりかは楽しみも多いと思う（焚火、薪ストーブ）。労働対価というfanを以てして、医療費削減にも寄与する、はず。名付けて「脂肪遊戯」。
日曜雨の午後、そんなことをうつらうつら考えた。
【追記】FC岐阜、4-0で勝利！ 川西は、相変わらず頼りになる男だ。
mocchan90さん はじめまして
お考えを持って山や自然を守って頂いていること、ありがとうございます。
各所各地各分野で、地球の許容限界を超えていることが伺える状況というのは、とてもヤバい（危ない）状態だと感じます。これまでの文化文明は、原発だけでなく、地球の環境バランスの許容限界を超えた垂れ流し（＝トイレの無いマンション）的文明だったような気がします。
仰るように健康のために遠方の山へ行くことも、散歩や近場で満足する自制が求められる時代になってしまいました。
ヤスジ様
コメントありがとうございます。
現代の真の危うさは、スマホや溢れ返る情報に惑わされて人間が考えることを放棄する傾向が強いことに思います。でも、知識と知恵とは別物のはずで、日々考え続けることが楽しみにも繋がる良薬に思われます。山登りも同様でしょうか。
花見すら規制を受けて息苦しい時代ですが、それすらも乗り越えられる知恵がきっとどこかの片隅に転がっているのだと思います。
除伐後の伊木の森、とても綺麗な森で歩いていて気持ち良かったです＾＾
伊木山登山時にも、何度も自衛隊の飛行機が上空を飛んでいました
私も「脱脂肪」を目標に、地球に優しい生活を心がけたいと思います
何故に私が殴られる！？
モノを考えて山を歩くだけでも優しさに通じると思います。
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