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その代りに「金星」を見た。
昨年晩秋の話。
雪が降るまでの我々作業班の現場は、石灰岩の地にあった。施行地に至るまでのアクセスが悪く、定時より早めに出てのドライブ一時間弱で徒歩片道二時間の往復四時間弱の現場だった。年嵩のいった同僚は「こんなにも遠くの現場はカナワンわい」と愚痴をこぼすこと多かったが、私にとってはトレーニングと思えば金を貰ってのソレに当たるので苦でも何でもなくむしろ歓迎すべきことだった。オマケに間伐作業でチェーンソーを持つ時間もその分減って、腕の細い私にとっては重労働時間が間引きされて言うことはない。仕事を終えての下りでも、トレーニングと実益を兼ねて檜のタンコロ(薪用に短く切った材木)を一つ二つ背負って下山したものだった。オマケに車での帰途、石灰岩台地から吹いた(湧き出した)湧水を汲んで更にお土産を増やして帰宅できるのだからもう言うことはない。
更に、石灰岩特有の植物もあって花、特に野性ランの好きな私にとってはもう一つの楽しみだった。熊谷草こそ無いものの、海老根は結構見掛けたもので、花期ではないものの、春を思うと疲れた身体の作業の合間に心が和んだ。
ある時、海老根の類と思われるものの葉が一回り小振りな感じのソレを見つけた。通い道にポツポツと、一段高い施行地には花が咲いた痕跡の花茎も付いた葉が見出された。花を知る同僚とも、こりゃ何じゃ? 海老根の類には違ぇねえが、と話したものだった。
帰宅して調べてみたところ、どうやらアレは金星ランではなかろうか、との私の見立てである。金星蘭、ただこれは高山に生える寒冷地性海老根とある。施行地は高山性とはいい難い標高で、ちょっと考え難くもあるけれど消去法から金星ランであるとここではしておこう。今から咲くのが楽しみである。
そして昨日、件の細葉の蘭に花が付いているのを見出した。やはり、金星ランだった。
図鑑によると「花は淡黄緑色で平開し、僅かながら芳香あり」と。芳香は、確かに微香で、石斛の芳香を更に上品にした感じと言おうか。
これまで見てきた野性ランの中でも一等気品にあふれるものである(あ、布袋蘭もヨカッタ)。
皆既月食未見も吹き飛ぶ出来事だった。
macchan90さん こんにちは〜😀
キンセイランなんて初めて知りました。
エビネの仲間なんですね🌸
サルメンエビネすら見たことがないのに、キンセイランなんて程遠いですが、県内に自生地があると知るだけでもすごく嬉しいです🤗
前にホテイラン?のような珍しいランも見つけていらっしゃったような…?!
macchan90さんの観察力は桁外れですね❗🌸
私もいつか出会えるといいなぁ🤗
black様
私も自生地が知れて嬉しかった一人です。私の目については節穴です。目敏い同僚が見つけてくれなかったら今回このような幸いは訪れなかったはずです(何かにつけ目敏い)。私はブラックさんのク草の方が羨ましいです。
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