今週と来週で「田宮二郎”黒のシリーズ”特集」と銘打った二作が上映予定で(なんでも全11作!あるという)、今週は「黒の試走車(テストカー)(1962)」が放映されている。来週も観に行くつもり。田宮二郎、結構好きなので。
チラシには「ライバルの自動車メーカーとの情報戦、露骨なる仕掛け、手に汗握るサスペンス映画の傑作!」とあった。実際には傑作と言うには些かの躊躇いがあるが、見所多い良作ではあった。原作は同名の梶山季之の経済小説で、脚本には「雁の寺」でもそれを担った舟橋和郎とのこと。東大出の増村保造が監督した。1962年公開の、白黒映画。
上司である高松英郎に(結果次第で)次のポストを約束された田宮二郎が、なぜにああも従順なのか? 仕事の虫で出世より会社の利益を優先する性格とあったが、挙句に恋人までスパイとして売ってしまうその前向きさ?は現代人の私には理解に苦しむシーンだった。そら、恋人の叶順子も愛想をつかす訳だ。高度成長期の大企業ではよくある風景だったろうか?
ライバルである馬渡との駆け引きはかなり見応えがあった。満州での軍務経験が生き馬の目を抜くモーレツ社員振りに生かされている設定だった。
人の死を目にして、流石の田宮も人間らしさを快復して締め括られたのが、この映画の価値だった。しかし、この一連の熱い駆け引きを俯瞰して、人間の愚かさ小賢しさを感じたのは私だけだったらうか?
午後、森林作業して帰宅する頃に見た西の空は、遥か中国はゴビ砂漠から飛来した黄砂が太陽を不思議な色に映して妙なる美しさだった。
村上春樹の新作が発売の明日、毎日新聞夕刊掲載の記事に、私の名前がちょこっと出ます。暇な方は探してみて下さい。
東京では毎日新聞でしたが、松川村では信濃毎日新聞なので探せません。
戦争体験がその後の社会に好適に作用した面もあったのでしょうが、人を抑圧した今回の様な事例を見るにつけ虚しさを感じマス。
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