三姉妹に新珠三千代、香山美子そして、加賀まりこ。
アラタマは28の長女役を演じていたが、当時37歳。溜息が出る程に、、、、ハァ〜、美しい。
平幹次郎がそのセンスを褒めそやすように、新珠の着物姿(と衣装の配色)は目の保養になる。というか、この映画映像のキモは着物や風景にあった(カメラワークにハッとする瞬間アリ)。対する香山美子の着物の野暮ったさ垢ぬけなさは意図的なものだろう、だとすると衣装スタッフも中々に思えた。
舞台は上野だが、箱根や奈良、丹後や信楽といった地はどこも私がごく最近自転車で出掛けたばかりの旅先で、観ていて楽しい時間だった。組紐の、新作の着想を得るためにする旅とは、一体どんな心持ちでするものなのだろうか?
この映画で加賀まりこ(当時24歳)は些か気の毒な役どころだったが、彼女にしか演じ得ない役だったと思う。姪にそっくりなので、いつもながらついつい感情移入してしまう。
大阪高島屋の専務役・藤岡琢也が登場するとついつい笑ってしまった。藤岡氏はジャズを愛するお方。
家督や愛する人を袖にしてまでも、モノ作りに人生を賭けようと決意するラストシーン、同業同志の東野英治郎にその強い意志を汲み取り理解されて涙ぐむシーンがハイライトだったか。いつもは嫌らしい役どころの多い東野だが、ここでは職人らしい好感度の高い役だった。
徹頭徹尾、新珠三千代の美しさを引き出した、私にとっての名作だった。今の私にとって幾つかの名言が差し挟まれていたが、今となっては思い出せない。
しかし、この時代に新珠三千代特集を組むなんてロイヤル劇場は何てイカした映画館なんだろう。江戸にだってあるまいて。こんな劇場が身近にある幸いを思う。
鑑賞後、岐阜高島屋でマーブルケーキを買い、墓参して帰宅した。
室生寺のシャクナゲを観に、私も5月に出掛けようかな。
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