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ヒッチハイクを覚えたのは19の春だった。大学探検部の活動で、日本最後の清流と言われた後志利別川をボートで降った。活動を終えた際に、部のミッションとしてヒッチハイクで札幌まで帰れという。アメリカでは右手親指を突き立てたサムズアップを取るが、左側通行の日本では左手となる。コツとして、ソレと察知したドライバーが駐車できるスペースを確保できる場所に立つことが大事である、と教わった（気がする）。北海道では割にすんなりと乗せてくれる車に出会えたものだった。これまでに、随分な数の車に乗せてもらった。300台？、いや200台くらいか？
25の時に旅したチベットでは、朝も早よからヒッチを試みるチベタン(チベット人)をバスから眺めて、大いに感心したものである。気温低い5時に、だぜ。いや、彼らは紙幣をピラピラさせて右手を振っていたから正確にはヒッチではない。超高原での白タクひっ捕まえ行為である。きっと彼らは着の身着のままで夜明かししての行為であり、尚のこと感慨は深かった。チベッタンは実にタフである。キャンパー何て、自慢する程のことも何もない。
で、見習って私もその直後にチベット高原でヒッチハイクを試みて乗せてもらった（夜明かしこそしなかったが）。皮のひん剥かれた赤い二頭のヤギと、多量の生理用品と共に荷台に揺られてチョーオユーとチョモランマを眺めたのも今では懐かしい。同乗した望月さん、今もお元気か？
で、2024年である。
53にもなってまだやっているのは私と故・野田知佑くらいなものではないか。
�＼茵構気論轍�で、豊田ナンバーの電気自動車(外車)が停まって乗せてくれた。それも自転車まで。優しい声で話す方で、登山も嗜み名刺も頂戴してその後も遣り取りが続いている。
�∪莉気眄轍�で、浜松ナンバーの小峠さん(仮称)が乗せてくれた。米作りをしているそうで、20代の頃に北海道をセロー(オートバイ)で廻ったことがあり、懐かしさから拾ってくれたそうだ。軽トラ故に、荷台に自転車ごと載せてくれた。農林水産業の発展と食料自給率向上の話をして手を振った。
�Ｅ稽菊麕鵑留�で停まってくれたのは、またしても豊田ナンバーの車で、それもアウディ！ 親が私より二つ年上と言う27歳の方だった。この方も穏やかな口調で話す人で、私の知らない世界の話を聞かせて下さった。
この不穏な時代にヒッチハイクで人を乗せようとするこれら方々には、何かを信じようとする力があるのだと思う。
その何かとは何か？
それは人であり、未来であり、また御自分なのだろう。今に希望はある、と。
ヒッチハイクの何が好きか？
それは賽を投げた自分の身が30分後にどう転んでいるのか、その出鱈目振りが好きなのだ。取り敢えず、酷い目に遭ったことは一度もない。シリアや台湾でもやったことがあるが、幸いにして良い目ばかりが出た。
ドカジャン着た薄毛ハンチング帽のサイクリストが左手を上げていたら停まってやって下さい。今後もまた、宜しくお願いします。
【写真は��の方】
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