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派手な展開はなく、脚本的には地味ながら、味わい深い表現が目を引く。登山愛好家的には、沢登りのシーン、父の親友が雪崩に巻き込まれ流される描写、それに山をすすむうちに足が自動的に踏み場を察知してすすんでいくのを信頼する感覚など、身に覚えのある表現が多く、リアリティを感じる。
「僕は足の動きを頭で制御するのをやめて、自由に動くに任せていた。自分の足は信用に足る存在で、おそらく踏み誤ることはないだろうと思えた。」(p162)
父親と息子、男と女、死んだあとになって深まる理解がある。中心の山と八つの山の寓話が、物語すべてを例える話として構成されていく。「帰れない山」の解題は最終頁に。原題とはやや違う邦題だが、どちらもふさわしい。どちらも意味はわかりそうでわからなそうで、作品全体をおもいかえすうちにふわふわと浮かび上がってくる。
父はドロミテに帰ることはなく、ピエトロはグラーナに帰れないのか。
著者が描きたかったブルーノみたいな友人を私も持っているのか。私にとっての須弥山はどこだろうか。
モンテローザの語源はバラ色のローズではなく、氷の古語が語源とのこと。
これもなかなか良かったです。
フォンターネ、案内読むとますます派手な展開無しのおもしろそうな内容ですね。ありがとうございます。
5年前とは早い頃ですね。「野原」と「ある一生」、読みたい印ついてます。クレストでは、クセニヤ・メルニクの「五月の雪」良かったですよ。
五月の雪は知りませんでした。2017年4月の発行なんですね。帰れない山よりも前でした。図書館で探してみます。検索してたら「六月の雪」も出てきて乃南アサさん、こちらも読んでませんが序に見ようかなと。
遅まきのレスになりましたが、風邪ダウンから回復したところです😷
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