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4月の日記で紹介した簡易な放射線量測定器を使って、1ヵ月余りの測定結果の第1報です。
測定器については、次の日記で紹介しています。
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-detail-50660
測定は、人の工作や流水などによる変動が少ない、自然の地面(裸地、芝生、草地等)で平坦な場所、地上1mの高さでおこないました。
水は放射線を遮蔽するため、測定は地面が乾燥気味の条件でおこないました。
測定結果は、下記の通り。
空間線量率(ガンマ線を計測)は、1時間当たりのマイクロシーベルトです。(μSv/h)
月日 県 山域 市町村 場所 緯度 経度 標高 空間線量率
◆都心部
601 東京 山手線 新宿区 新宿御苑 35.41.03 139.42.40 34m 0.05以下
601 東京 山手線 新宿区 新宿御苑 35.41.02 139.42.41 34m 0.05以下
601 東京 山手線 新宿区 新宿御苑 35.40.58 139.42.37 30m 0.09
◆奥多摩東部
520 東京 奥多摩 あきる野 奥多摩山麓 35.43.51 139.18.33 120m 0.05以下
520 東京 奥多摩 あきる野 奥多摩山麓 35.43.41 139.18.05 121m 0.07
503 東京 奥多摩 桧原村 神戸岩 35.45.23 139.06.54 445m 0.05以下
503 東京 奥多摩 桧原村 大岳山の南 35.46.14 139.06.19 683m 0.11
503 東京 奥多摩 桧原村 大岳山の南 35.46.23 139.06.28 880m 0.08
503 東京 奥多摩 奥多摩町 大弛峠 35.46.45 139.06.13 985m 0.07
503 東京 奥多摩 奥多摩町 御前山の東 35.46.55 139.05.59 725m 0.12
503 東京 奥多摩 奥多摩町 御前山の麓 35.47.44 139.05.36 457m 0.09
503 東京 奥多摩 奥多摩町 奥多摩ダム 35.47.22 139.02.37 562m 0.10
519 東京 奥多摩 青梅市 御岳山の北 35.48.34 139.10.02 255m 0.10
◆奥多摩西部
519 山梨 奥多摩 奥多摩町 ドラム缶橋 35.46.41 138.59.22 520m 0.14
519 山梨 奥多摩 丹波山村 後山林道口 35.47.00 138.58.23 560m 0.08
519 山梨 奥多摩 丹波山村 飛竜山登山口 35.47.38 138.54.51 640m 0.09
503 山梨 奥多摩 丹波山村 村の南部 35.46.57 138.55.14 723m 0.08
503 山梨 奥多摩 小菅村 小菅の湯P 35.45.11 138.56.59 738m 0.12
503 山梨 奥多摩 小菅村 松姫峠 35.43.41 138.56.58 1274m 0.12
503 山梨 奥多摩 上野原町 鶴峠 35.43.52 138.58.39 861m 0.09
◆奥秩父
503 山梨 奥秩父 塩山市 笠取山登山口 35.50.10 138.49.22 1332m 0.12
503 山梨 奥秩父 塩山市 一ノ瀬林道 35.49.27 138.49.42 1398m 0.05以下
◆大菩薩
519 山梨 大菩薩 甲州市 柳沢峠の北 35.47.25 138.48.06 1350m 0.07
519 山梨 大菩薩 甲州市 裂石登山口 35.44.19 138.48.14 900m 0.06
◆丹沢北部
520 神奈 丹沢 相模原市 丹沢北山麓 35.32.54 139.08.07 295m 0.05以下
520 神奈 丹沢 相模原市 相模湖南岸 35.36.38 139.10.20 210m 0.05以下
◆信越
429 新潟 魚沼 魚沼市 大湯温泉 37.11.41 139.04.43 285m 0.14
526 長野 信越 飯山市 鍋倉山麓 36.58.50 138.27.09 508m 0.05以下
526 長野 信越 飯山市 鍋倉山麓 36.58.37 138.27.39 309m 0.11
◆日光
504 栃木 日光 日光市 日光植物園 36.45.04 139.35.10 648m 0.12
504 栃木 日光 日光市 旧田母沢邸 36.45.06 139.35.37 610m 0.17
測定結果について、次のようなことを思いました。
(1)都心部
新宿御苑は、関東地方で放射性物質の降下量が比較的少ないところとして、比較の基準のために測定しました。
確かに、測定限界の0.05マイクロシーベルト(毎時)以下の値でした。
しかし、念のため、園内の芝生のくぼ地(雨があれば池に向かって地表の流水が集まる場所)付近の芝生では、0.09と高い値が出ました。
3・11の事故のあと3月15日以降に新宿区は8マイクロシーベルト(毎時)の値が記録されています。当時降下したうちセシウム137は、まだ都心部でもはっきり検出可能です。
(2)日光
日光での測定は、都心部とは逆の目的で、つまり場所によっては年間1ミリシーベルト以上の外部被ばくの恐れがあり、除染が必要で、山菜などにも1キログラム当たり100ベクレルの基準超えがありうるエリアとして、比較のために測定しました。
0.12、 0.17と、やはり高めの値が出ました。
現在の除染基準0.23 に迫る値です。
(3)奥多摩
原発事故から半年後の測定では、稜線付近(三ツドッケなど)の狭くない地域で、3〜4マイクロシーベルトの値が登山者によって計測されてきたのが、奥多摩です。
麓の町と比べ、山間部の車道沿いや谷筋などで、0.1前後の低くない値がどこででも測定されました。
奥多摩湖のドラム缶橋のある駐車場では、0.14と日光市に迫る値でした。
この結果から、もし雨水・流水等による濃縮効果がある場所なら、昨秋の秩父・横瀬で、基準超えできのこが出たようなことは、十分に起こりうると思いました。きのこには、種類によっては、セシウム等を濃縮して吸収するものもあります。富士山のふもとでも、昨秋、基準超えのきのこがでましたが、地形や降下時の濃淡によっては、南関東の山では、今後も基準超えはありえます。
(4)奥秩父・大菩薩
測定個所がまだ不足していますが、奥多摩と同様の傾向が感じられます。
長く通ってきた私のきのこ観察フィールドがこのエリアにあります。その場所は夏以降に測定する予定です。
採集したいきのこが見つかっても、流水の流路や落葉の堆積具合いなどをよく観察して、また必要ならば測定もして、採集を判断したいところです。
しかし、湿った場所では、線量は低く測定され、正確に把握はできません。
湿った場所で高い値が出れば、その場所のきのこや山菜は、お子さんにはまず避けた方が良いということでしょう。
(5)丹沢
測定個所は一部ですが、線量は低めです。
しかし、隣りの富士山で昨秋、基準超えの野生きのこが出ています。
(6)信越地方
南関東などに比べ、地面を形成する岩石の自然放射線量が、0.03マイクロシーベルト前後と高い地域です。その分を差し引いてなお0.05を超すようならば、福島の事故の波及があるということになります。
新潟県内には影響が及んでいないということですが、測定地点(開けた駐車場、砂利と土)は高めでした。
鍋倉山麓の千曲川沿いの公園でも、芝生の条件、平坦地で、1か所については高めの値が出ました。
以上ですが、観測地点を今後も少しずつ広げ、傾向を見守って行きたいと思います。とくに日光・那須方面に準ずる汚染をうけてきた奥利根・赤城方面が気にかかります。
今回測定して感じたことは、汚染の広域さです。
たまに食べる山菜やきのこからの被ばくは、積算するなら大きな値ではない。それに比べると、北関東で濃く、南関東でやや薄く汚染された関東地方では、その地域の農作物の摂取による日々の放射能の取りこみは、積み重なればより大きな量の摂取になります。
1年365日のうち、山菜や野生のきのこを採集して食べる機会は、多くて数日間です。これにたいして、関東地方の野菜を食べる日数は、1年のうち100日とか200日という頻度になるでしょう。
そうすると、畑の野菜の放射性セシウムの量が、野生きのこの10分の1、20分の1の濃度としても、放射性セシウムの総摂取量は、野生きのこからよりも数倍〜数十倍も多くなる計算になります。
東日本の汚染の濃淡がいろいろの地で、人口にして3000万人前後の人びとが、2年、3年、4年・・・と、こういう環境で、避けがたい食生活をおくる。
「この量以下の内部被ばくなら大丈夫」とは誰も言えない。影響の有無を含めて、非常に低い割合でも現に起こるかどうかの「確率的影響」を調べる実験が、結果的に続けられていることになります。
不合理さを思います。
秋に向けて、さらに測定地点を増やします。
これまでの山の放射能汚染は下記に。
http://www.yamareco.com/modules/diary/990-category-18
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