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測量業務で一緒に山を歩いた感じでは、体力も普通にありまた相手の動きを見て始動する機敏も備えており、この仕事上での適正は割合高い方に見えた。人当たりも良好で、愛想無い人間多いこの業種の中ではかなり得難い存在ではあった。
チェーンソーは殆んど使用しない労働条件下で主として重機のオペレーターとして従事していながらも被災した。イレギュラーで担当した作業中での事故だった。
林業の経験は無く、土建業からの参入でこれから経験を積んでいこうとしていた矢先の事故だけに、どうにも遣り切れない。
林業と言う仕事はやはり特殊作業である。相手にする木という対象も重量物で所謂自然相手の仕事だけに労働環境が刻々と変化してマニュアル化の難しい現場であり、だからこそ面白い仕事だともいえる。
扱う道具にも習熟期間が必要で、チェーンソーなどは便利で高性能である反面、扱いを間違えると途端に危険な道具へと表情を変える。
(最近とある有名な林業関係者のブログに「chainsow accident」で検索する貼り付けがあってクリックしたらば、目を背けたくなるような画像が出てきた。閲覧注意)
道具の扱いに慣れたからといって仕事全体の掌握ができるわけでもなく、一本とて同じものは無い性質の違った木を相手に伐倒して枝を払い、玉切って(造材)林地からワイヤーや集材機、今日日はスウィングヤーダ等の高性能林業機械を駆使して山場の悪い林地より搬出し、トラックに積み込んで市場へ出す。これらが連携を必要とする共同作業である点もミソである。時には危ない目にも遭い、体力的にも甚だシンドイ思いもしてやっとこさ搬出して売りに出した材木が、労賃も生み出さない淋しい値付けの現状だ。拡大造林期(昭和20−30年代)に金を生むと信じて随分な奥山まで担ぎあげ植栽されたスギヒノキの値(5976円/本【40年生スギ】;1980年)が、今や877円(同;2007年)という情けない体たらく。労働内容自体は如何にも判り易く、アウトドアでのスカッと爽快な仕事なのだが。
かつては労力に見合う材価で売り買いがなされ、やったらやっただけの見返りもあったというが、今では山林所有者からは「金を払わんでいいなら間伐してくれていい」と技術職に対する返礼がこのような言われようでは林業従事者は誇りを持って仕事もできまい。寿司屋やウナギ屋には当たり前のように支払われている「技術料」という対価は、林業界では「補助金出るんでしょ?」の一言なのがちょっと訳知り顔の認識なのだ。受益者負担は?森林の有する多面的機能を発揮する名目上の公益性との交換条件?搬出材価との相殺?
おっとっと、話が逸れた。いよいよ私も老人の繰り言めいた作文が増えてきた。
今日そのT氏が復職され、終業後事務所にも顔を出された。血色良く、ちょっと肥えて見えた。
アバラに響くことも多々ありましょうが、より一層の経験と研鑚を積んで「キツい、キッケーン、キタナ〜イ」職場から林業という魅力的生業の「肝」を是非掴み取っていただきたい。
こんなに面白い仕事はそうざらにはないと思う。
殊登山でも思うこと多いが、この過酷で危険で魅力溢れる労働の適性は、一体何に置かれるのか。
日々の地道な鍛錬こそがモノを言うと信じたい。
重力を含めて応力が大きくなるものを扱うときは
直感的力学、KY危険予知力、KKD経験感度胸がないと
危ないです。
林業や農業の対価は、良くも悪くも世の中の価値観が変わるまで我慢できるかどうかです。
shigeさま
コメントありがとうございます。
そうですね、何と申しましょうか三次元的な?いや総合格闘技的な?感覚を備えないことには対処しきれません。それも瞬時の対応を迫られたりもします。登山と似ています。
また農業も同様に、汗水垂らし精魂込めて作ったものに少なくとも心が向けられる世でないことには報われません。そもそもモノを生み出す喜びに価値が置かれることが原点にあると考えます。
macchan90さん、こんにちわ。
林業は傍目で見ていても、
高所有り、重量物有り、斜面有り、
過酷な自然環境有りと
かなり大変そうです。
最近は、ハイテクマシンに補助金と
なんとか労働力を確保しているようですが、
やはり過酷で危険で大変な仕事には
違いないですね。。
せめて労働の対価に見合った
販売力営業力がついてくれればと思います。
K-yamaneさま
コメントありがとうございます。
私は常々、若い人たちにどうにかこの魅力的な仕事を適正に伝えたいと思っており、登山が魅力的に映るのと同様に感じてもらえないものか、色んな立ち位置から林業を客観視するよう努めています。
労働に対する正当な対価が付いてくるのはまだ随分と先の話だろうと思います。
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