チョウジザクラの深山型で中央アルプスから南アルプスにかけて分布するとあるので間違いなかろう。割合珍しいはずだ。
それにしても開花期が深山だけあって遅い。ミツバツツジ然り。
この花を覚えたのは、親方からの切り花としての差し入れがそもそものキッカケであること、また元同僚のバキバッキーの彼女が大学院でサクラ属の遺伝子解析を研究対象とする人物だったこともあって、そのお墨付きの桜だったことに因る。
花期は山ザクラやソメイヨシノよりも早いために、それらが咲く前に”つなぎ”として持って来てくれるのも、記憶に残る一因である。
名の通りに横から見ると丁子(クローブ)型の花で、ウワミズザクラと共にサクラらしからぬ桜、である。
ソメイヨシノ開花の後に親方が珍しくプリプリとして事務所に入ってきた。国道に覆い被さる木やその枝条を伐って処理する施業を地元森林組合が請け負って片付けた結果、ここいら周辺ではかなり稀少なその丁子桜を根元からブッツリと伐採してしまったそうで、「もう来年から持って来てやれんぞ」と悲しい風情で説明してくれた。
「あいつら何でも伐ってまいやがるでなぁ」と、いつになくオカンムリだった。
希少種だからというでなく、仏教にもあるように、そう、
「無知は罪」
なのである。
私とて無知ゆえに伐採してしまった可能性は大いにある。
いつぞやバッキ―が(キヨッさんに言われて)伐り残しておいたタカノツメ(若葉が山菜)を「仕事しっかりやってくれんと、もうっ」とひとりごちて伐ってしまった私だった。山菜で、三出複葉で、樹皮は白っぽい何て知識は何年も後の事だったし、ましてや丁子桜を覚えたのも今年の事だ。
無知は罪〜! シーナリンゴが歌詞にのせて歌っていそうなセリフだ。
なお、スパイスとしての丁子(クローブ)は大した好みではなく、むしろクミンやコショウの方を大いに好む。二つは相当に優れもののスパイスに思う。
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