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中学生時分にジャズメッセンジャーズの何度目かの来日公演(1963年、14歳)に出掛けているところを見ると、早熟もいいところだ。
村上氏は小説家以前、1971年22歳で高橋陽子氏と結婚(初めてチョコレートをくれた女の子と同姓同名だ)、1974年25歳にして国分寺にジャズ喫茶「ピーターキャット」(夜はジャズバー)を開店していたことを御存知の方は多かろう(多くない?)。適うことなら時代を遡って是非とも訪問してみたいとお思いの村上ファンも多いことと想像する。
夜毎その店舗キッチンテーブルで書き続けた『風の歌を聴け』で文壇デビューを果たして以降は周知の通り。
なお、この処女作がじきに第81回芥川賞候補にノミネートされているのは驚きだ。この際の「選評の概要」があり、丸谷才一、瀧井孝作、吉行淳之介、遠藤周作の各氏が悪くない感触を以て迎えている。また、名指しこそしていないが欄外で大江健三郎氏が本作を酷評しているのがいやはやなんとも。
また、高橋源一郎氏は『群像』に応募しようと『風の歌を聴け』が掲載された『群像』1979年6月号を書店で立ち読みし、「たぶん僕はそれを読んで、世界で一番衝撃を受けた人間かもしれない。僕はその前に十年分読んでいて新しい作家なんか誰もいなかったので安心してたんです。それが一ページ目を読んで『・・・いたよ』って(笑)」と後年語っているのも興味を惹く。
ブレイク以前にはジャズ関連誌に中々ハードボイルドな持論を載せ、インタビューも受け、陽の当たらないかなりマニアックともいえる奏者(シダー・ウォルトン、ジャック・ウィルソン!)について愛とレコードを持ってエッセイを書いており、過去のそう云った氏のジャズ関連掲載誌を収集するのが最近の私の数少ない趣味でもある。
氏をジャズの書き手として意識したのは『やがて哀しき外国語』中の一項が初めてだったと記憶する。ウイントン・マルサリスを旗手とした「新主流派」を伝統芸能継承者と喝破したのには大いに腑に落ちるところがあった。
以降、単行本としては『ポートレイト・イン・ジャズ1・2』(非常に端正な文章群である)や『意味が無ければスイングは無い』、最近では『セロニアス・モンクのいた風景(翻訳)』も出版されたが、手に取る回数が何と言っても多いのが『さよならバードランド(翻訳)』で、巻末掲載「私的レコードガイド」が実によく練られた労作である。”精魂傾けた、貴重な”と商品説明にあるが、実際そうだと思う。
何が凄いって、本書の登場人物縛り(特に筆者のビル・クロウ)の下で、あれだけ多様なレコード(一部CD)を書架?からホイホイと抜いてきて掲載し、論評までしてしまっている。少なくとも七千枚以上は所有しておられるのではなかろうか? 更には実によく聴き込まれており、ディスクレビューが逐一的を得ている。私も学生時代には暇にあかせてよく聴いたものと思っていたが、何が何が。職業にまでして聴き倒していた「厚み」が凄みになっている。
またもう一冊のジャズ本『ジャズ アネクドーツ』の翻訳は、今は無きSwing Journal誌に連載の形で成されたが、その毎月の翻訳末項に掲載される【訳者短信】を読むのが楽しみだった。ある月【1995−10】には、氏ご自身が聴き古した段ボール詰め国内盤ジャズレコードを送料のみ負担で差し上げます、ついては原稿用紙一枚程度で「どうして私はジャズを好きになったか」といった作文を送って下さった方の中から一名様に。といった、今思えば何とも親密感のある遣り取りが可能な時代もあった。既に20年程前の話か。
『ポートレイト・イン・ジャズ』では和田氏とのコンビネーションでここまで書けてしまえている点も(和田氏の選択は決してモダン寄りではないのにも関わらず)、ちょっとした驚きだ。
なお、『ポートレイト・イン・ジャズ』の掲載画は展示会後に販売されたとの話を聞いたが、きっと凄い状況になっただろうと想像する。
先日まで「村上春樹はむずかしい」という岩波新書を読んでいましたが読みとおすのが難しくなり半分ほど読んだところで図書館へ戻りました。中身が難しいんじゃなくて、期限がきてしまいました。そこで、デビュー時の酷評などのことを書いてありました。ジャズはなかなか疎いままなのですが、僕も引っ越しの旅幅1mほどのレコードを運んでおり、もういまさら捨てはしないのですが、これをひっこしの度にいちいち段ボールに入れたり出したりしなくて済む、そのままレコード箱になって家具になり、引越しの時はそのままフタをすれば運べる箱、みたいな箱無いもんですかねえ。自分で作ろうか。いいのがあれば今週末までに教えてください。
ディスクユニオンがその手の収納ボックスを取り扱っている事を聞いたことがありますが、yoneyamaさんなら自作でしょう。といって時間も無いでしょうから、スーパーに出向いて2lぺットボトル6本入れの段ボールに落ち着きそうですね。私はもう引っ越しに悩まされることは無いのでうはははは、です。引っ越しがむばってください。とはいえ直前まで手掛けないんでしたよね。
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