![]() |
![]() |
![]() |
昨日『特殊伐採』に出掛けたから。
「特伐(トクバツ)」なんて呼称する事業体もある。
墓の管理組合から苦情が来て、所有山林から墓へと覆い被さる枯松を除去して欲しいと通達があって、その山林所有者より弊社が伐採を依頼されて私が駆り出された。
下見に行った段では「こんな枯れ松、(自重も無いし葉も枯れて無いので)ちょっとやそっとじゃ倒れたりせんよ」と言いかけたが、世間一般の方には今しも倒れてきかねない木にしか見えない様だ。
この手の依頼はちょこちょこあって以前、栗の木の伐採依頼の件ではこの健全な栗の木が風で倒れるような事態が発生する時には、御宅の家屋の方が先に倒れてしまうはずですが、、、とはおくびにも出さず。栗が成るというのに。
で、今回は枯松なのだが、木のない陽当たりの良い側に枝葉の勢力を拡げるのは樹木の性質としてあって、お墓空間に枝がビローンと熊手のように伸びていた。重心が墓を倒壊したがっている向きにある。
神社やお墓の伐採は祟りが恐ろしいので、十全に参ってから作業に取り掛かった。
枯松の幹に長い二段梯子を立て掛けて、紐で固定する。
伐って落下する枝が墓に直撃を与えない範囲でチェーンソーで伐り落とす。
樹上で立っているだけでも消耗なので、手早くチャッチャと仕事を進める。
何とかすべての枝を切り落とし、幹のみのツンツルテンにして、また後日。
牽引具を用意し、ワイヤーを掛けて林地へと引き込み伐倒する。
生木と違って枯木は予期せぬ動きをすることがあるために(林業での労働災害で、枯れ木に纏わるものは実に多い)、念には念を入れて確実な方法で倒す。失敗は許されないところが特殊伐採の特殊さ所以である(これに特化した保険も実際はあるようだが、お高いようだ)。
何とか、祟られることもなさそうに作業を終えられた。
特殊伐採は、いつもと違う汗を掻く。
山仕事を「山」でしかできないようでは特殊伐採は仕事にできない。
街中でも正確、確実に百に一つの失敗も無く自信を持って仕事ができないようでは適わない。
こればかりは場数を踏まないことには一人前にはなれまい。
また、人件費と手間とを掛け過ぎても仕事として成立しない。
ヨセミテ仕込みのロープワークを駆使して寺社の老齢木の枝落としを生業にする部隊も他所にはあるようだが、それだけを囲える大金を払ってくれる仕事ならまだしも「極力安く上げて欲しい」では、全く合わない。
大きなラフタークレーン借りてきて、少人数一日で片付けられる力量仕事量の範囲でないと成立しない。
そこが難しい。
特伐、林業であって林業でない。
そこが難しい。
初めまして。同業です(笑
確かに厄介な仕事ですが家や道に被さってるケヤキなんかを倒す時のあの緊張感が好きです。
お金の問題もありますがウチは技術料と説明して納得してもらってます(苦笑
特伐じゃないですがこの間、ドクターヘリが出動する災害がありました。お互いケガには気を付けましょうね。
岳粉様、こんにちは。
私も別種の汗として、この仕事は好きです。人目が在るのがちょっと難ですが。
ドクターヘリ出動は林業の労災ででしょうか?
弊社内でも半年前に重篤な労災が発生しました。
お互い留意してこの魅力ある仕事を続けていきたいものですね。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する