いや、今もある。
だが、私の言うところの「自由書房」は無くなってしまった。
30年程前、中学から高校に上がって自転車での通学範囲が広がると、岐阜市街地が射程範囲に入ってきた。
高校生当時の自分には、自力で行動できる範囲が一体どれくらいなのかが今一つ把握できずに郊外から「ケッタマシーン」でヒットアンドアウェイを繰り返しその範囲を徐々に拡げた結果、自由書房神田町本店にも頻繁に行けるようになった(更にその流れで伊勢志摩や北海道【こちらはフェリー利用で】にまで出掛けた)。半ドンの土曜と言えば出向いたものだった。
思い出せば、往時の書店内の熱気たるや、それは訪問の価値ある景色だった。
文化の拠点という感あり、文化的家庭環境下に無かったそんな私には憧れもあったのだらう。
今と違って情報収集は自然、紙媒体の書物新聞からという時代背景もあって、立錐の余地無しとまではいかないものの一階二階三階まで、サラリーマンから学生、主婦老人子供に至るまで立ち読み客がズラリ並んで熱心に文字(や漫画面)を追っていたものだ。店員も威勢よく活気に満ち、レジも購入客で列を成していた。
それを思うと今や、、、、。
教科書卸の”あの”大衆書房も無くなった(日比野氏の「百山百渓(続)」を購入した店舗なので思い出深いのだ)。
2008年の文化の日をもって神田町の本店が閉店する話は、山一證券廃業よりも驚いた。高島屋店への営業集約と店舗自体の老朽化が閉店の理由だったけれども、文化の礎が消失するのは余りに淋し過ぎた。
そうして「自由書房」は無くなってしまった。
往時はパルコの階上にもあった、メルサにも、各務原にも出店していたし、うちの近所の芥見店なんてのが出来て驚いた覚えがある。当時は嬉しかったな。
しかし今や、それらすら全て無い。芥見店も2015年12月31日をもって閉店した。
新興勢力の「三洋堂」の影響? いや、やはりアマゾン始めネット通販事業に押されたものとみるべきだろう。
それも時代の趨勢といわれれば身も蓋もないけれど、岐阜駅にもあの「三省堂」が攻め込んできてみたりと不思議な動きもあるので期待したい。
三省堂と言えば、上京したら神保町で悠久堂を冷やかすより早く三省堂に行って地図コーナーで五万図を購入するのが常だったが、今やそれすら時代違い。地図もダウンロードかぇ。
これすらも「問題」ではなく時代の「回答」なのでしょうか。
懐かしいですね。私もこの店でよく25000分の1地図を取り寄せていました。考えてみればここ20年ぐらい、長住町の屋外立ち飲みで一パイひっかけるだけで、そこから柳ケ瀬方面へは行っていませんね。
一階奥、その際に元気のいいお姉さんが対応してませんでしたか?
私は5万図派でした。
そういえば芥見の閉店前にセールをやっていて、古本も置いていました。私はそこで今西錦司先生の「山と探検」を手に入れています。
macchanさんは私よりまだ若いが、お互い歳をとりましたね。こんなことを話題にするなんて。
あの時並べられていた中古本には山岳書がポツポツと混じっており、その際に中村保氏の「ヒマラヤの東」や高木泰夫氏「奥美濃」もあり入手しました。
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