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いや、別に私が勝手に設定したわけでなく、ちゃんと2004年ロサンゼルス市議会が11月13日の誕生日を「ハンプトン・ホーズの日」とする決議を行った。
ホーズは私が一等好きなジャズメンであり、ピアニストである。
生きざまと、そのピアニズムとが。
十代の頃には既にピアニストとしてアート・ペッパーなどの有名所と共演歴があり、かの天才アルトサックス奏者であるチャーリー・パーカーとも演奏を共にした。
ホーズには1952-54年にかけて日本での軍務駐留歴もあり、ジャムセッションを通して折よくビバップの伝道師として穐吉敏子や植木等(g)?等の当地日本人ジャズメンに歓迎された。その当時の愛称が「ウマさん」とはそのまんまや〜ん、いやHawesなので曲解となる。レコードにもその証拠が残っているが、些か面映ゆいと言いましょうか、時代と言いましょうか。
順風満帆な活躍を見せていたものの、当時のジャズメンの通過儀礼ともいえる麻薬禍に侵され結果、奇しくも30歳の誕生日1958年11月13日に逮捕されて医療刑務所に収監された。ケネディ大統領の特赦により5年間で放免されたが、出獄した娑婆のジャズにおける時代も変化し、また精神的な変化もあっての事だろう、演奏スタイルを変化させて自己内面の表出に腐心した結果として1967-68年に敢行した世界ツアーで各地に残した録音に観るべきものを多く残した。フランス、ドイツ、そして日本にも2枚のレコードを残して、往年のファンを大いに喜ばせた。
ジャズ評論の世界では、名声を成した1955年の録音『Hampton Hawes Trio vol.1』を代表作として推す向きがあるが、個人的にはヘロイン中毒という挫折を乗り越えて再起し、表現方法を改めて成した『Hamp's Piano / ハンプス・ピアノ(MPS)』を愛聴している。録音バランス宜しからずとの話もあるがそれを押しても素晴らしい。全てが手放しにスバラシイ。捨て曲駄曲無し。1998年にCD化されて一般的になったけれど、それまでは聴くことも叶わない稀少盤で誰も褒めてこなかったディスクだが、随分以前から荻窪の「アケタの店」オーナーでピアニスト/オカリーナでもある明田川荘之氏がとある雑誌でベタ褒めしていた切り抜きを今も持っている。聴いている人はちゃんと居るものだ。
Bill Evansも演奏していた「My Foolish Heart」や「枯葉」をここで取り上げているのは、山下洋輔がエッセイで語っていたように当時の時代の寵児エバンズに学んだ形跡の発露なのだろう。
1998年北海道時代の国道白線引きバイトの、超早朝の仕事始めに発奮音楽としてこれを旅館で聴いていた。同じ仕事で同宿の誘導員のオッチャンが楽理の事で話し掛けてきたので聞けば、若い時分に東京での大学生時代にジャズギターを齧っていたとのことだった。結婚娘持ちの身だったが、浮気が原因で離婚して身を持ち崩し、今はアルバイト生活で糊口を凌いでいるのだった。
このディスクを聴く度、当時50は過ぎていたあのオジサンは達者に暮らしているだらうか、と思い起こす。
ホーズは、1977年に脳出血で急死した。48歳であった。
私も遠からずそんな歳を迎える。
あ、飯田でイチジクをお土産に下さった笑美さんには御礼に「ワニのホウズ」をお渡しする気でおりますのでいつか、また。
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