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2016年12月05日 13:55登攀全体に公開

南壁

 「ああ、南壁」は藤木九三の御子息、藤木高嶺氏の著書だが、入手後、未読。
 岳人誌連載文中、何故か氏のものだけは読んでいないのは某かの因果と思う。

 近郊山の南壁へ、石氏と共に出掛けた。
 日曜早朝、介護の一環で両親の居る実家へ。サラダ拵えてコーヒー淹れて、そのご近所の石氏宅へ1分でお迎えに上がる。
 わずかドライブ10分で登山口に着き、久方振りのリアル登攀に身も引き締まる思いで準備していると、
 「アぁ〜、ヘルメット忘れた〜」と石氏。
 何せ近いので、笑って済むところが今回の登攀行の良さでもある。

 目指す壁は、谷川岳一ノ倉沢でボルトが使用されたことを受けた試登ルートもあるという、戦前より活用されてきた歴史ある岩場との事で、大学パイセン須田氏が高校山岳部時代に登ったことがあるとの情報もあらかじめ得ていた。
 だがしかし、このクラシックルートが近年触れられた情報も無く、我々にとり「忘れられた壁」として存在したものの、市内からもハッキリと遠望できるあの壁をトレースしたい思いが一致して、氏の招集にエントリーした次第。

 この壁に挑むに当たって、私としてもクラシックに徹したい思いがあった。
 ザックは昭和40年代モノと思しきナイロンザックを背負い、昭和50年代モノと思しき旧式ヘルメットを被り、ハーネスもヘンリー・バーバーに倣いスワミベルトで通したかったがドッペルザイルとあり沢登り用簡易ハーネスで容赦願い、足回りはアクセスから登攀まで当然地下足袋で通してクレッターシューズは携行しなかった。ロープは麻だと尚良しだったが化学繊維で妥協し、結婚祝いに頂いた特大ビックブロをチムニールートに合わせて持ち込み、軽装であることをいいことにヘキセントリックまで詰め込むと、流石の石氏も面白がってくんさった。
 スッキリとした壁ではあったものの、苔も生え所謂「クラシック」振りは申し分なく発揮された。小樽赤岩で見覚えのある錆びてヒン曲がった軟鉄ハーケン(30年物?)に先人の痕跡をみて心温かくなる。リードした石氏に対して不遜な物言いであることを承知の上で申せば、流石は「時代」を生きた方と思わせるライン採りだった。デシマル云々ではない、貧弱なプロテクションに耐えて突っ込み登り切ってしまう力量は、室内ジムでは得難い質の能力だらう。オールドクライマーの迫力を垣間見た思いだった。私にはとても登れなかったことだらう。その露出感高い岩登りに、クライミング本来のヒリヒリする高揚感を感じた。陽当たりある好天下に「冷や水」が降り懸かり、釣瓶で樹林帯までルンルン登り切って終了。エナガ、ヤマガラの小群れの歓待を受けた。

 一瞬とはいえ、ガッと熱くなれる瞬間がここにはあった。
 ごく身近な環境下でここまで遊べたことこそが貴い。

 その夕刻、国鉄の駅へ栃木から帰ってくる家族を迎えた際に、夕照に映える南壁を振り返り見て「あすこを登ったのだ」と思っただけで大層気分が良かった。復路で雨が降り出したものの、心は晴れていた。
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この日記へのコメント

登録日: 2007/5/15
投稿数: 5707
2016/12/6 18:16
 RE: 南壁
「あすこを登ったのだ」はいいもんですね。
画像中央部に曇りでしょうか。よく炙ると取れるかも。レンズに水入ってますね。
登録日: 2008/6/30
投稿数: 818
2016/12/7 8:15
 RE: 南壁
スケジュール聞いてお誘いしたい思いでしたが、色々と御座いまして。
「曇り」は万古川水没由来です。レンズに入った万古汁がそんなして乾いてしまいまして、この状態です。ハレーション?狙いで使っています。


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