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学生時代の同居人に、オヤジがコスタリカ大使である浜野井(仮名)という男が居た。
私の感覚として、確かな舌を持っているという意味に於いて、育ちの良い家庭の子息に料理の上手な奴は多い。勿論例外もある。
浜野井もその内の一人だった。(それを云うと私の居た大学にはその手の育ちの良いボンボンが結構な数居た。)
「何が食べたい?」と問われて、サグカレー(ほうれん草のカレー)を所望したらミキサー持ち込みでそれはもう美味しいモノを作って供してくれたことがある。
函館ということで、ゴッコ汁【グロテスクともいえるゴッコ(ホテイウオ)を使用した北海道の鍋料理】なるものを作ってくれたのには正直驚いた。
今とは違って当時の私は料理の「りょ」の字も知らない一学生だった。
ある時その浜野井が、牡蠣が安く売っていたと言ってカキフライにして振る舞ってくれたことがある。
私と同居人の星加(仮名)は喜んで食べ、もう一人の同居人大蔵(仮名)は苦手だということでそれを食べなかった。
中心部が冷たい気がしたものの、ビールで嚥下して飲み続けたら・・・・。
翌朝、吐いた。大いに吐いた。場外ホームランだった。
星加も、浜野井も同様に食べた分相応に症状が出た。一番酷かったのが当の本人浜野井で3日休み、時点が私(二回休み)、星加は吐いて一日寝て登校出来た。
これが確か1995年冬の事と記憶する。
牡蠣は恐ろしい、と。
1996年春、地球一周の途上のアメリカはニューオリンズで、名物の牡蠣に出くわした。
う〜ん、一年前の苦い経験でチョット手が出せない。
けれど折角西廻りでここまでやって来た、ジャズ聴いて立ち去るだけでは如何にも惜しい、と知り会った旅の人とオイスターバーへ。
陽気な黒人の店員が、景気良くズラリ並べた牡蠣にケチャップどばドバぶっ掛けて「食べてみ、美味いから」と申す。
レモンのみ振り掛けたその牡蠣を、恐る恐る呑み込めば、、、、
「ウマっ!」
後先構わず仔細構わず食べに食べた。後は野となれ山となれ。
幸いにして、何事も無く朝を迎えられた。翌日も店に向かったことは言うまでもない。
先週末土曜24日に生食用の牡蠣を2パック購入した。期限は翌25日メリークリスマス。
その日に一パックを父母私で分けてムハムハ言って食べた。申し分無く美味かった。
翌夕、事情あって行けなかった為、代行した姉に両親と共に食べるよう伝えた。
聞けばその姉昨日26日は、牡蠣に当たって寝ていたとの事だった!
えっ、両親は何でもなかったというのに。
「当たりそうやで生は厭!」と言っていた姉に「昨日食べても大丈夫だったし賞味期限内なので美味いから是非!」と言った矢先のヒットだった。
牡蠣、危険だからこそ美味いというのは間違いなくあると思う。
ハラハラして食べるその快感といったらもう比類ない。
御免。
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