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世間一般に山崎豊子原作の映画化された作品として知られるのは『白い巨塔』だろうか。カレーなる一族、いや『華麗なる一族』というのもあるそうだが未見。
その「白い巨塔」(1966)もロイヤルで観たが実に面白かった、というのは適切ではない気がする。惹き込まれた。以前に唐沢主役のテレビ版も大いに楽しんだ、いや惹き込まれた。
「白い巨塔」のようなモロ「社会派」よりも、人情の機微や市井の人々の生活模様を描いた今回のような作品の方が私には肌に合った。
●『暖簾』(1958)
恥ずかしながら主役が森繁久彌とは気付かず、また父吾平と次男坊の二役とは更に気付かず。
しかし、二役させる意図が判らない。あれでは森繁氏は撮影大変だったことだらう。
自然災害、戦争を乗り越え、息子による再興を経ての波乱に富んだ主人公吾平の人生と、受け継がれるその暖簾。
暖簾は頭で押して潜ってはなりません。
山田五十鈴が良いわ、乙羽信子も中村メイコも好演だった。
お松(乙羽信子)の娘役、扇千景が美し過ぎる。このお方が後に政治家になるとは果たして誰が予想できようか。
●『横堀川』(1966)
NHKで放送されたドラマ放映中の映画化だったそうで、その原作は山崎豊子の「暖簾」「花のれん」「ぼんち」を合わせた作品という位の予備知識で観にきて「これって、興業師の創業話っぽくないか?」と思えばやはり吉本興業の祖、吉本せいの半生がモデルになっているそうだ。
「ぼんち」(1960)は、1998年あたりに札幌の豊平区だかの区民会館開催の市民講座の一環で観た記憶がある。「雁の寺」の好演でファンになった若尾文子目当てで観たと思うが(ホント、美しい)、これが山崎豊子モノとして初めて観たもののはずで、かなりの好印象を持った記憶がある。
若々しい倍賞千恵子が見もので、寅さんのサクラしか知らない身には実に新鮮だった。
また「暖簾」でザ・大阪の女を演じた浪花千栄子(コ、怖ヮ〜)が高利貸しババァとして登場し、そのひやしあめを飲むシーンは最高だった。機会有らば、いや機会を作って是非にご覧あれ。
ただ「暖簾」に比べると物語に平板さを感じたのは正直なところで、加えて幕切れも尻切れトンボ感は否めない。
この映画の音楽監督は、後にオペラシアター今やくざ、いや「こんにゃく座」の座付き音楽監督、作曲家となる林光氏である。劇中でその才気をビンビンに感じた、ということは残念乍なかった。
これら映画中にも人が亡くなるシーンが度々見受けられたが、今の私には他人事に無い。
共に昆布商を舞台にした話で、劇中にも折に触れ映されるおぼろ昆布(とろろ昆布ではない)製造シーンは、物語の暗喩「身削りてこそ事も成る」と解釈するは思い込みが過ぎるか。
いや、暖簾のラストシーンから「人生はちゃ〜んとダシを効かせて生きなはれ」がサブテーマなのかもね。
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