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ベニー・グッドマン、日本では時に「紅井良男」とも翻訳されるもその実、性格は良くもない人物だったようだ。
★『Benny Goodman in Moscow』
は、私の秘蔵版だった【写真左】。
以下自慢になるが、入手はニューヨーク(以下、紐育)で1996年4月末頃の、暖かくも寒くもない時期だったと記憶する。
おわッ、こんなところでお目に掛かれるとはこれも何かのご縁とばかり、中古レコード店で安くも高くも無い値で購入した。
当時この盤は、日本で紹介されることもなく（勿論CD化も再発もされてはいなかった）私自身この情報自体を何処から入手したかも定かではない。レコードひっくり返して、パーソネルを見て購入を決めたか？
けれど、その旅から帰国(1996/5)して読んだジャズ・ベーシスト、ビル・クロウ氏著/村上春樹氏翻訳の『さよならバードランド―あるジャズ・ミュージシャンの回想』(1996/1)の春樹氏による巻末「私的レコードガイド」に掲載在って、かなり驚いた。当時としては唯一といっていい位にこのレコードについて言及する紙媒体はなかったので。
場所の記憶に違いないのには理由がる。特段紐育に印象は無い。
紐育では本場とあって夜な夜なジャズを聴いた。噂通り、日本に比べると格段に安く、これは本国に於けるこの音楽の立ち位置を示してもいた。
中で、イタリア料理店zinnoで開かれたライブと記憶するが、一バックパッカーにとっても懐に優しい料金で、ジョン・バンチ(Piano)と、guitarのバッキー・ピッツァレリ、若手bassの変則トリオで「New York swing」というグループが演奏していた週だった。若手ベースは知らない方だったが、ジョン・バンチやバッキー・ピッツァレリについては夫夫数枚のレコードを所有していたので勿論知っていた。また、後にこの3者の共演盤も体よく入手した【右写真】。
演奏後の中休みに私の座るカウンターにやって来たお二人と拙い英語で会話した。ジョン氏は写真の通りにちょっと怖い博士みたいだった【右写真真中】。バッキー氏に対しては息子のジョンさんとの親子競演盤良かったッス、と言うと「そうかい、あれは私も出来は良かったと思っている。息子も張り切っていたからね」とか何とかペラリペラリコペラペラリと喋って握手を求めてきた。7弦ギターからあのスインギーなフレーズをジャカスカ生み出し、Zoot Simsとも共演しているバッキー氏の大きなその手は、えらく柔らかだった。
その翌日に件のレコードを入手し、パーソネルを見れば何と偶然にもピアノがそのジョン・バンチだったのだ。
しかしグッドマンが連れたピアニストが何故彼だったのか？ 幾らも他に候補は居たろうに。
購入当夜、余程サインを貰おうと店舗前まで行ってジョン氏がピアノに向かって演奏している姿まで見ていながらも「まぁ、いいか」と踵を返したのは何故だったのだろうか？
帰国してこのレコードは実家に置きっ放しにして、暫くは聴くこともなかった。
故郷に戻った2000年頃、実に頻繁に聴いた。レコードからカセットテープに落として(！)、そのカセットを沢登りのお供に必ず車載した。
ここでのズート・シムズとジョー・ニューマンのアドリブフレーズならば暗記する位に聴き込んで、口笛で吹けると思う。
春樹氏のように「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」は吹けないけれど。
最近、レコード未収録曲が加わってCD化されたのを知って手に入れた。なんてったって「+16」ですから。
以下、CD盤での曲コメントを。
��；スタン・ケントンにも同趣向のメンバー紹介を兼ねたソロイストの競演曲があったが、こちらも聴いて楽しい。「+16」にこれの未発表曲�┃�があって最高。ただし、��と��は同音源だぁよ。
�Α┘離螢離蠅如�曲終わって拍手喝采の後「ズー(ト)、ズー(ト)、ズー(ト)」コールは、親分ベニー良男氏には相当面白くなかったことだろう。
��；此処でのトランぺッター、ジョー・ニューマンの作曲。私はこれでジョー氏のファンになって以降、彼のレコードはかなり集めた。ここでもまたズートが活躍する。それを受けて大将のクラリネットも奮起するが、楽器そのものの「懐の深さ」「格の違い」が露呈した形になってしまっている。勝負アリ。
尚、地球上に割合存在すると思われるズート・シムズファンには必聴必携盤でしょう、コレは。
沢登りの記憶と共に、2000年当時美濃手漉き和紙の世界で多少の縁あった清水君という将来を嘱望された同年生の彼が自死した記憶とも重なって、楽しさと悲しさの同居した想い出レコードである。彼が居たら、美濃和紙地図も今とは随分と違った風合いになっていたことと思う。
このCDにある音楽が再度、死の記憶と共に収まらないといいのだが。
そう思って今日も聴いている。
【以上を書いたのが母の逝去日3日前の2/23であり、危惧の念を抱いた通りになってしまった。私だけの特別な思いではありますがこのCDには皆さん、くれぐれもお気を付けあそばせ。】
今朝たまたまテレビを観ていたら、天皇皇后両陛下のタイ国御訪問のニュースが流れていた。その中で皇后がラーマ１０世現国王に「以前、貴国を訪問させていただいた時、国王がベニーグッドマンの曲をクラリネットで吹かれました。あの感動ははいまだに忘れられません。」とおっしゃっていた。
高貴な方々もGoodmanを聴くんだなと思った。
マースケ様
タイ国王とて良男氏の音楽も聴きましょう。演奏となると、さぞや難しい事に思います。
ただ、Badmanだったら聴いていなかったかもしれない、と思うと名前と言うのはげに大切なモノナリ。Badmanだったら、も少し性格良かったかも。
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