コーヒー豆を買いに店を訪問すると、図らずもその至近に「音猟師」(仮称CDショップ)が目に入ってくる。
母の逝去を悼んで、今日という日を係留する意味に於いて「投錨する」行為、つまりはCD購入に至った。
今日はいつものように中古CDは買うまい、新品を買おう。
ただし、ゴッサンとの面会時間も迫っている、制限時間僅か10分の内でお選びなさい、との設問でザザザッと抜いたるCD、以下3枚に。
●葬送/ゲーリー・バートン
◇Jo+Jazz/Jo Stafford
○セロニアス・モンク/ソロ・オン・ヴォーグ
●「葬送」は、随分以前より気に掛かっていた鉄琴奏者「ゲリトン」のディスクで所謂コンセプトアルバムだが、今の状況にして題名からして「モロ」過ぎて感情移入にまでは至らなかった。
◇ジョー・スタッフォードのこのディスクは定番ながら所有していなかったのでジョーに見つめられるまま、これを機に購入した。
確かイシザキの野郎が持っていた為に買わずに済ませてきてしまった。流石は鉄板、いや定番で、腰の据わったバックバンドが華をキッチリ添えている、いや支えている。ちょっとアウトローなピアニストのジミー・ロウルズ、そしてリーダー盤では些かコテコテに過ぎるテナーのベン”フロッグ”ウェブスターがここぞと存在感を見せている。
○モンクのこれも定番で、正に”文句”なし。
レコードで持ってはいるものの、今はプレーヤーで聴く環境に無いためいよいよCDを購入した。
「セロニアス・モンクのいた風景」でだったと記憶するが、村上春樹氏にとっても特別な存在のレコード(CDではない)らしく、そこで熱く語られている。
前出イシザキは「煙が目に滲みる」を推していたけれど、ミュージカルナンバーのジャズ化だけあって曲調がキャッチーに過ぎる。私なら「リフレクションズ」だ。1980年代後半頃の正に受験期、今や大学教員でもある菊池桃子氏の深夜ラジオ番組のエンディングで同曲が使われていたのを聴いた記憶が抜けない為に、私にとっては特別な曲だ。「煙滲」に比べたら物憂げで、思索に富んだ感じが強くする。reflections;影?反省?回顧?反射?反映?それとも非難?
気の効いた今日日のピアノ小学生でも弾きかねないこの訥々としたピアニズム、いややはり誰にも真似のできない唯一無二のものだらう。
ピアノソロという形態が、今の私の心情にドンピシャと言うか、突き刺さり過ぎる。
これでした、今の私の心の係留盤。
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