カラスミだった。
何年振りだろう。
以前頂いたのも台湾でのこと。蔡さんという日本語ペラペラの気のいいオジサンに、温泉に浸かりつつ「北国の春」を聴かされつ、食べさせてもらった。
現地にしてもお安いものではなかったはずで、海老商売で当てたのだと豪気にバキボキ割って呉れた。
初の訪台時のことなので1993年1月のはずだ。早24年!
そう、カラスミは金気を入れず(包丁入れず)に喰え、とラズウェル細木漫画本「酒のほそ道」に有ったので先ずは皮剥いてバキッと割って口にした。
わっ、濃厚チ〜ー〜ズ。
大根に挟んで食べると濃厚さ加減が丁度穏やかになる。
子供たちに食べさすと、美味しんだけどエグみが後味に残るようで、三者同様の顔変化が見て楽しい。
まぁ、子供が勇んで食べる性質のものにない、食べ過ぎ注意報の嗜好品である。
子供たちの表情と「酒細」で思い出したのが「苦味」という題名の章のこと。
飲み屋でフキノトウ味噌をアテに一杯やってたお爺が、ソレを孫に食わせて苦い顔を見るのが楽しみなのだと言い、続ける。
『子供時分はあんなにも嫌っていた苦味っていうモンを、歳とると好んで口にするようになるんだから不思議なもんだねぇ。
苦いってのは酒の旨味を引き出す大事な要素で忌み嫌う性質のもんぢゃぁねぇ。苦みばしったイイ男、良薬口に苦し、何て言葉もある。
甘いだけの人生なんて面白れえか?兄ちゃん? あ?』ってな。
説教垂れていい気分になってると、その飲み屋にオッかぁが「いつまで飲んでんだい」。
それを潮に「マスタァ、苦玉あるか?」と二日酔いしないという鯉の苦玉ゴックンして帰っていったこのお爺の背中にマスタぁ一言。
「あれでも大将、団子屋で大の甘党なんだよ」
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