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家の、一番手の届き易い本棚に「基礎から学ぶ森と木と人の暮らし」を置いている。
この本は、中高生にも理解が及ぶよう実によく編まれた本で、林業全般の基本に立ち返る際によく開く。
良書なので林業に関心がある、もしくは関心を持ってみたい方には協力に、いや強力にお薦めします。
中で、滋賀は旧朽木村(2000年に皆で出掛けた芦生の沢登り、楽しかったなぁ)の農林家・栗本慶一氏ご先祖の話が好きで、酔って開くことも多い。
慶一氏の父、四代目栗本重太郎氏は1958年に『栗本林業』を興し、所謂「拡大造林期」に社会需要に応える形で天然林を伐採し、スギ・ヒノキの人工林へ転換する仕事をされていた。活況に湧く「怒濤の伐採時代」を経て「そして、何もなくなった」話は、当時の林業界を上手く切り取った一ページだろう。
二代目以降続く「頼まれたら断らない」「よっしゃよっしゃ」の二つ返事気質で、どう見ても利益を生まない、むしろ損が出るとわかっているような山でも重太郎氏は頼まれて買っていたそうだ。買うことが決まると、重氏は必ず「じゃ、ちょっと参らせてもらうよ」とその家の仏壇に手を合わせたそうな。ご先祖さんが山守りしてくれたおかげで今の山がある、それを伐らせてもらいます、と。
一見損な取引に見える山仕事を嫌がらず引き受けると、何故か思いもよらない事態で結果的に儲かる、損をしない、ということが重太郎氏にはよく起こったそうで、条件不利地で仕事をしていると、台風が来て隣接地の良い山の木が被害に遭ってそちらの整理も頼まれ、結果的にはそちらの材が良い値で売れて十分に採算が採れた、といった具合に。
重太郎氏は、復員兵として南方の激戦地から無傷で帰ってきた方で、自らからの強運を確信していた風でそれを神のご加護と思っていた、とのこと。
一見損にみえる依頼でも、これも何かのご縁と受け止めて快く仕事をする。結果的にうまくゆくことが繰り返されるのは、ご先祖様のおかげと考えたそうだ。
これを読む以前に、私にも同様の話があったのを更に思い出した。それも書き付けてみたい。
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