|
|
|
『蠍座通信』によれば、
「義理と人情の相克を日本的様式美のなかで描き、鶴田浩二や高倉健、藤純子といったスターを生んで一時代を築いた東映の任侠映画も、六〇年代末になると流石に観客から飽きられて下火になる。それに代わって実録やくざ映画の旗手として頭角をあらわし東映のエース監督として活躍したのが深作欣二だった」とある。
「緋牡丹博徒」シリーズをすべて観終わったその流れで、偶然にも深作作品の代表作ともいえる「仁義なき戦い」を観たことになる。
とにかく緋牡丹と違って乱闘シーンや拳銃乱射音がバンバンと喧しく、子供たちと観るわけにはいかない映画だった。正に、血みどろの争い。
今日の「広島死闘篇」では「駒」として扱われてしまう主役の北大寺欣也や、絶縁されてしまう程のハチャメチャ振りを発揮する千葉真一も勿論印象に残ったけれど、私の中では成田三樹夫が強く印象に残った。ドロップアウト男、ナリタミキオ。
また、腹を刺して出獄を試みる某氏役梅宮辰夫の実行への勇気を想像した。昨日、研いだばかりの包丁で指を切った位で腰が引けてしまう私には理解を越えている。
暴力とは一体何なのか。
話し合って決する以上の価値があるのか、暴力には。
戦争が終わって２０数年が経ったころの中年男たちのハートを掴んだのかな。今から２０数年前といえば、わしら世代から見ればまだ最近。時代物はそういう感覚で再計算してみることがあります。特攻隊の生き残りの中年男には、ヤクザ映画がハマったかもしれません。
戦争体験というモノが未経験の我々には想像ですら及ばないところがあって歯痒いのですが、一度は危険に晒した置き所無い命をこのヤクザな世界が拾い上げたと解釈するのは穿ち過ぎでしょうか。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する