水曜夕刻、仕事終わりの一本にと手を掛けた杉の玉切りで受傷した。
過去に伐り倒されたそこそこの太さの杉の木を、みっともないので玉切って落ち着かせようと警戒心なく切った。予め下から切っておいて上から切断しようとチェーンソーの刃を入れたのに「食われた(挟まれた)」時点で気付かなくてはならない事例だった。「おかしいなぁ、これで刃先を喰われるとは」喰われたチェーンソーを救出すべく腰に下げた手鋸で僅かな切り残しをゴシッゴシッと切り上げていった刹那、身体が跳ばされた！
3本の杉に伐り込まれて"こわって"いた(弓なりになっていた)部分を鋸断した結果、末口直径25�僂凌�の幹が40�冂�横に撥ねて私の左膝をしたたか打ったのだった。遠目から見えたというグラップルオペレーターの課長が「吹っ飛ばされた」と表現するように、跳ね飛ばされ打たれた痛みで暫く起き上がれなかった。左膝が痛いのなんのって。地面でゴロゴロのたうって痛みに耐える間に思ったのは「盆の五日山行が〜〜」だった。オマケに家内子供三人が明日から栃木両親と北海道旅行に出掛けるというタイミングだったので、これ如きで出発をためらわせることになってはならないとの思いもあった。
幸いにして何とか立てるので骨折はない、ただ以前居た事業体で同様の事故が発生した際に受傷者は足裏の靱帯切断で一年と半年を治療に充てた事例を知っていたので、靱帯損傷を警戒した。けれどその夕刻には予約を入れてあったので、足を引き摺って出掛けたのは整形外科ではなく歯科だった。そっちぢゃない。
翌日も既に予定が入っていた伐木講習の補講に出掛けて修了証までは貰ったものの午後の作業にはとてもぢゃないけど耐えられない痛みだったので休んだ。近所の整形外科は木曜午後が軒並み休診で、勤務先からもせっつかれたのでようやく本日午前に受診した。
綾戸智恵いや、上戸彩と石原さとみの相の子の様な美受付嬢が「まぁ、ワイルドなお仕事の上でお気の毒に」と潤んだ瞳で私を見ていたのは単なる気のせいかもしれない。患者はオジイオバアばかり也。レントゲン撮って下った診断は「打撲」で、骨や靱帯に損傷は見られないという。あぁ、煮干食べててヨカッタ。
待ち時間にと家からパッと手にして持ってきたハルキムラカミがミコノス島で38の時に書いたという「Norwegian Wood」を、緑の登場する項を中心に読んだ。帰途、ビデオ屋にあったので青パパのトライ・アン・ユン監督作品を借りて観たが、映像化する意味をちょっと考えてしまった。水原希子が緑役。直子役の菊地凛子は確か本人が積極的依願したと記憶する。一言だけ、香住海岸と玉山鉄二の配役はドンピシャだった。あ、森の中に坂本龍一を探したが見当たらず、残念。
我々が暮らした恋の街札幌も20年ですっかりと変貌を遂げたようで、そんな感慨を妻がリアルタイムに伝えてきた。我々もともすれば本ストーリーのような展開になったやもしれぬ、これまた人生は不確実性の連関か。
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