とはいえ本命は外し、取り敢えず半端物を街の古書店に出してみた。
ブックオフが出版業界に与えている悪しき影響(出版社や原作者に利益還元されない物流等)は聞くところである、ので「新しいかそうでないかだけで査定」せずその本の真価を多少なり査定しようとする心ある古書店に出してみたのだったが結果、、、、トホホだった。
当の古書店が悪いのではない。そもそもの物流機構からして高額買取が出来ない現状なのだろう。
「十五年前までなら山書は結構回転もよくて高値買取もしていたんですが、、、。」と、歳若い店主は言う。
これまでのその手の購買層が終活とやらで今や売り手に転じ、少子化で唯でさえ減りつつある買い手すらも今は断捨離だのデジタル化だのでモノを持ちたがらないときている。
稀覯本とは言わないまでも、それに準じる山の本ですらアチャチャな値付けであった。これらは流石に引き揚げた。
甲斐庄楠音(かいのしょう ただおと)や国吉康雄、ルオーの図録も、金原ひとみや角幡唯介の単行本もジャズ本も、その値付けにブクオフよりかは籠った心を感じたもののまぁ何というか、、、、であった。なお、ナショジオ等の雑誌は今時値が付かないらしい。
部屋に空間が生まれたことに意味を見出して、付け値で買い取ってもらった。
売り手の部屋が片付いた上に金まで儲けていたら古書店という商売は成り立つまい。空間の等価交換。
また私は、こういった際に現金を持ち帰ることはせず、ソコに在る現物に等価交換して帰る様、心掛けている。
以前訪店した際に目を付けておいた、版画家・田中恭吉の図録に替えた。とは言え+二千圓だったけれど。恭吉の生誕地、和歌山の県立近代美術館が編んだ労作にして装丁に手の込んだ豪華本「TANAKA KYOKICHI a Retrospective(2000年)」
23にして夭折した田中恭吉、自らの喀血死を予見しての作品群が圧倒的である。
田中恭吉作品は和歌山県立近代美術館に所蔵されているものが多いが、7月に出掛けた四阿山の立つ須坂町の「須坂版画美術館」にもあるようだ。
スッキリした。これを良しとしたい。
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