チラシの雰囲気から余り惹かれるところはなく、ロイヤル上映作にしては珍しくスルーしかけたものの、これが意外な面白さであった。上映最終日に飛び込んだ。
面白いと言っては失礼に当たる内容で、新幹線騒音公害を生む国鉄と一研修医との対決を、エリート捜査官・田宮二郎を挟んで展開する。チラシを見た段では、犯罪者が田宮二郎で刑事が近藤正臣だと勝手に思い込んでいた。出だしから関根恵子のサービスカットあり、期待は嫌が応にも高まった。
監督は増村保造で、音楽は藝大出の林光。
これを観ると、4月に観たばかりで内容の似た同年作品「新幹線大爆破(1975)」(佐藤純彌監督)と比較したくなるところだが、健さんを以てしても魅力で上回ることは無かった。これは邦画でもかなり上位に位置する質の高い作品に思う。
主役の近藤正臣、実に好演である。梶芽衣子も看護婦であった過去を持つ一癖ある役をうまく演じている。捜査官・滝川保役の田宮二郎もハマリ役だが、閃きや勘に頼った捜査法に些かの疑問を感じるのは私だけではあるまい(当たってたからいいものの)。白い巨塔だけにはない、田宮二郎の代表作の一つだろう。私の好きな鈴木瑞穂が両映画に登場していた。小池朝雄もとぼけた役でヨカッタ。
0信号【無線停止信号(163.07MHz)】を送る高速道路のシーンは、見覚えがあると思ったら名神高速道路の岐阜区間でないか! 車はトヨタ・セリカさん。
国鉄総裁邸に深夜乗り込んでしまう展開が今風にないけれど、場を立ち去る犯人秋山を直ぐに通報したりしない男気は、今の時代に忘れ去られた闘う者同士の仁義だろう。今では理解に苦しむ若者すら居そうな気配である、通報しなかった非をいつまでも容赦なく突き続けるのが今の時代だから。
井川比佐志と橋本功は、、、、、、似ている。全然似てない?
本映画を観てイの一番に思い出したのはフレッド・ジンネマン監督の傑作映画「ジャッカルの日」だった。押し入れにVHSのテープがあったはず。また観直したい。
なお、この映画「動脈列島」について熱く語るサイトがあり、フレッド・ジンネマンについての言及がここにもあった↓。
http://2lanewhitetop.web.fc2.com/doumyaku.html
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