骨折した翌晩から読み始めた「ねじまき鳥クロニクル」を今朝、一週間掛けて読了した。
この長い小説の中で、ジャズに纏わる表記は僅かに5箇所のみ。
第1部;P.147「死の床にあるダライ・ラマに向かってエリック・ドルフィーがバス・クラリネットの音色の変化によって、自動車のエンジンオイルの選択の重要性を説いているほうが、あるいは〜」
第1部;P.152「カナディアン・サンセット」
同項「アルバート・アイラーやドン・チェリーやセシル・テイラーの熱烈な信奉者が駅前の商店街のクリーニング屋の店主になるというようなことは果たしてあるのだろうか、と僕はふと思った。」
第2部;P.352「その時にかかっていたのはフランク・シナトラだった。『ドリーム』とか『リトル・ガール・ブルー』といったような古い曲だ。」
第3部;P.92「天上の真っ黒なボーズのスピーカーからはキース・ジャレットのいささかまわりくどいソロピアノが小さな音で流れていた。」
この本の表紙に使われているのは、バリの『プリ・ルキサン美術館』所蔵の鳥の絵だそうだが、ハルキ氏にとってのねじまき鳥のイメージがコレに当たるのだらうか。
私は感想文というものを書くのが学生時代から大の苦手で、文意や他人の思惑やらを適切に掴み取るのが殆どできていないように思っており、その手の国語のテストの点数は実に芳しくなかった。故に、家内との意思疎通に於いても我ながら頓珍漢に感じることも多いのだ。
主人公は、最後に至っても綿谷ノボルを邪悪な存在として赦すことはなかった。結果、クミコがその「プラグ」を抜いた。救いは一体何処に? 誰が救われて誰が報われなかったのか。
なお、私のイメージの中での綿谷ノボルは、Jリーグ浦和レッズの槙野智章選手が真っ先にバンと浮かんだのは何故だろうか?
これで長編小説と分類される村上作品で、残すは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のみとなった。
次回の労災休暇まで取り置こうか。あ、私なんぞが読まなくていい?
梅雨明けやらぬ午後、篠突く雨の中でジーン・アモンズの「カナディアン・サンセット」をレコードで聴く。コンガ入りの同盤「Boss Tenor」、25年経ってなお聴き飽くことが無い。私にとり”ねじ巻き盤”の一枚かもしれない。
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